英語を上達させたいと思うのであれば英語脳が必要になります。もし海外で生活をしようとなるとなおさら日本語脳から脱却しなければいけません。
日本語で思考しながら英語を使うと、日本語に相当する言葉を探して使うことになります。これでは英語を日常的に自然と使えるようにはなりません。日本語を介して英語を使っているうちは以下のような問題がおこります。
- 自然な表現ができないので相手が理解してくれない
- 日本語の意味をベースにして英語を使うため、意味が正しく伝わらない
- 英語を見たり聞いたりしてもうまく訳せない(もしくは日本語に存在しない)ので理解できない
- 訳す必要があるのでコミュニケーションがずっと遅いままで上達しない
こういった問題を乗りこえてネイティブのように自然でスムーズなコミュニケーションができるようになるには英語脳が絶対に必要です。
記事の内容
英語で思考するということ
まずは英語で思考するということがどういったことなのか想像してみましょう。英語脳ができあがった人はどういう風にあたっまが働いているのか、僕個人の経験をもとに以下のようににまとめます。
- 頭で考えるときに英語でしゃべっている
- 英語で何かを聞いた、見た、読んだときに、日本語を介さずに理解できる
- 英語を話す、書くときに日本語を介さずに英語で考えて発信できる
- 知らない・わからない英語に出会ったときに日本語を介さずに英語で人にきいたり調べたりできる
- 何かに反応するときに英語で反応する(what? oops.. damn it! など)
- 英語で意味が分かるが日本語ではわからない言葉がある
英語を自然にそのまま理解したり、自然と頭に浮かんでくるようにしないとある程度のレベルで英語力がのびなくなってしまいます。
僕自身は2~3か月かかって英語脳ができはじめました。最初はまだ意識しないと日本語で考えてしまいましたが、徐々にきづくと英語で考えているようになっていきました。
英語脳をつくるのには時間がかかるし、気持ち的にもしんどいです。しかしそのぶん見返りが大きいです。どういったものかというと
* 英語能力の成長曲線がさらに急になる(学習効率大幅アップ)
* 個々の能力の成長限界が高まる
* 相手を理解する能力と伝える力が向上する
* コミュニケーションの速度が上がる
他にもあるとおもいますがこのあたりが主な利点だとおもいます。
英語圏へ移住したい人にとっては英語脳を持っているか否かで生活の質や満足度がかなり変わってしまいます。もし海外移住などを考えていなくとも英語脳があれば人とのコミュニケーションが圧倒的に楽にできるようになります。
英語脳のつくりかた
さて、次にどのようにして英語脳をつくっていくかについて書いていきます。英語脳のために必要なマインドシフトと学習方法は次の通りです。
- 絶対に日本語を使わないという強い意志を持ち実践する
- 日本人と会わない・あっても英語でしか話さない
- 英語でしか思考しない時間をつくる
- 自分は日本人だということを忘れる
- 英語で自問自答する
- 辞書は英英辞書しか使わない
- 発音の勉強以降は一切日本語を使って勉強しない
- デバイスの言語を英語に設定する
- 日本語ではなく英語のコンテンツを見る・聞くようにする
- 睡眠をしっかりととり、一夜漬けはしない
それではひとつひとつ解説していきます。
絶対に日本語を使わないという強い意志を持ち、実践する
英語脳を作るためにもっとも効果的でおそらく最も大変なことは、とにかく日本語を使わずに英語で生活することです。そのためにはつい日本語で考えてしまう自分を抑えて英語で考え続けられるようにする必要があります。
日本に住んでいる人はどうすればいいのでしょうか?英語の勉強のためになるべく工夫して生活を変える必要があるでしょう。日々の生活で必要のないことを洗い出して、その時間を英語の勉強のための時間にできるようにしましょう。
日本語を使わない期間は長いほうが良いです。1日の間でもなるべく多くの時間を英語だけで過ごせるように工夫しましょう。生活に多少の支障が出るかもしれませんが、意思を強く持って臨めばかならず英語脳ができあがってきます。
日本人と会わない、あっても英語でしか話さない
これは語学留学生や国内の語学学校に通っている人などにとくにオススメな方法です。
究極的には日本語で考えないようにするために日本人と交流しないのが一番いい方法だと思います。相手が日本人だとわかったとたんに英語で話すことに抵抗を感じてしまい、つい日本語で話してしまうものです。
オーストラリアでもたまに日本人の語学留学生と話す機会がありますが、僕が日本人と知るとやはり日本語で話してきます。相手が英語を勉強している日本人であれば英語で会話するのはお互いのためになるので、躊躇せずに英語で会話するようにしましょう。
そうはいっても相手が日本語で話しかけてくる可能性も高いです。しかし一度日本語で思考してしまうと、英語での継続した思考が止まってしまい、癖として定着しにくくなります。
相手が日本語で話しかけてきたり、返事をしてもかまわず英語で話し続けましょう。先ほども言いましたがもし相手も英語の勉強をしているならお互いのためです。それでも相手が日本語で話して来たら、次から話す機会を減らしたほうがいいです。そうしないと英語脳をつくる妨げになってしまいます。
僕の場合は英語学校に通っていた期間は日本人を意識的に避けて、自分からは絶対に話しかけませんでした。一度だけ他の日本人の人と語学学校で同じクラスになりましたが、初めて話した時から最後までずっと英語でしか話しませんでした。
語学学校の場合は周りに日本人ではない人も多くいたので、日本語で話すのは失礼だという意識も持っていました。たまに日本に興味を持ってる人に日本語で話しかけられたり、日本語を話してみてくれと頼まれたりしたが、すべて英語で返していました。
これくらい徹底的に英語で生活しないと英語脳はつくれないと思います。そうでなくてもかなりの時間がかかってしまうと思っていたので、徹底的に日本語を封じていました。そのせいでクラスメイトに嫌われる可能性もありましたが、僕のほうは人生がかかっていたといっても過言ではなかったので、嫌われるのを恐れずに日本人とでも英語で話すことを徹底しました。
気持ちを強く持って絶対に英語脳をつくってやる、という気持ちで臨みましょう。
英語でしか思考しない時間をとる
日本にいる場合はここまで徹底してできないでしょう。しかし工夫しだいで英語のみの時間と期間を増やしていけます。結果的に留学するよりは時間がかかると思いますが、それでも英語脳を作ることは可能なはずです。
学校や仕事などではさすがに全員英語で話すというわけにはいかないでしょう。それでも家に人っりでいるときに日本語を禁止にすることはできるし、外国人と交流する時間をつくったりすればより英語で生活する時間をつくれます。
少なくとも毎日数時間は日本語禁止の時間をつくって過ごすようにしましょう。少ない時間でも毎日続けていくことが重要です。1~2か月も続ければ、ふとした時に自然と英語が頭に浮かぶ時がくるはずです。まずはその瞬間を目指して頑張りましょう。
自分は日本人だということを忘れる
英語で思考して日本語を使わないと決めた時間や期間は、自分が日本人であることを忘れ、ただ英語を使う人間だと思い込むこともいい方法です。極端すぎるように聞こえるかもしれませんが、意外と効果的です。さらにもし日本人をみたら自分とは違う外国人だと思うことにしましょう。
この心構えを持って、英語で思考することや常に英語を使うことへの抵抗感を少しずつ減らしていくのが目的です。これは僕のケースですが、日本人の反応(おっと!とか、えっと..とか、寒!とか)を英語に変えていきました(oops..! とか it’s freezing! といった具合に)。
最初はこんなことを言ってる自分に違和感しか感じなかったのですが、徐々に慣れていきそれを自然に感じるようになりました。まさに自分自身を洗脳しているようなものですね。これだけが理由ではありませんが、英語脳ができあがったころにはもう一つの人格ができたかのような気もします。今にして思うとこういった極端なことを実践していくことでうまく英語脳をつくることができたと思います。
ある意味で第二の自分を演じるような感じです。自分が英語しか知らない人間だと思って、ネイティブのような話し方や振る舞いを演じているうちに慣れてくるでしょう。
ひとつ個人的な体験では、日本で英語の教師だったという人にオーストラリアで会ったことがあります。当然全体的な英語能力は高かったのですが、英語で話していても日本語で考えているのがよくわかりました。会話で使っている言葉のチョイス、相槌やしぐさなどが全て日本語だったことがその理由です。言葉としぐさが一致していないととても不自然に感じます。自分が日本人であることは変わりませんから、英語の上達のためにネイティブのようなしぐさや話し方をマネしてみるのもいい方法です。
考えているときに日本語を挟んでしまうと英語の思考が途切れてしまいます。そうなると日本語で反射的に答えようとしたり、言語の切り替えによってしっかりと発音することができなくなってしまいます。通訳になりたいなら必要な技能だと思いますが、そうでなければ日本語を一切挟まないようにしましょう。
英語で自問自答する
自分は日本人ではないと自分に言い聞かせつつ(洗脳しているみたいですが・・・)、英語で自問自答するのも効果的です。実際には独り言のように声に出しても出さなくてもいいと思いますが、これによって半強制的に英語で考えるようになり、日本語で考えるスキを減らすことができます。
たとえ間違った英語表現をしても問題ないので、まずは自分自身と英語で会話するようにしましょう。英語で考え続けさえいれば英語脳の発達に必ず役に立ちます。
たとえば昼食をどうしようか考えるときは、 what should I have for lunch…? I guess pasta would be nice…. Which restaurant should I go….? Perhaps, just eat something at a food court to save money…. こんな感じで英語で自問自答する癖をつけると、時間とともに自然と英語で思考できるようになってきます。
英英辞書しか使わない
発音の勉強を終えてからはすべての英語学習の段階において英英辞書を使いましょう。
英英辞書を使うことには英語脳を含め多くの利点があります。
- 日本語で考えるスキをつくらず、解説を読んでいるときにも英語で考えて英語脳をつくる役に立つ
- 英語で英単語を説明、もしくは表現する能力を伸ばす
- 英和や和英で単語を調べると日本語訳の意味が場合によって間違っていることがあるため、それを回避することができる
当然ですが和英や英和辞書を使うと日本語が視界に入ってしまい、脳が日本語を使おうとしてしまいます。これでは英語脳の発達を妨げてしまいます。こういったことを避けるために英英辞書を使うようにしましょう。
英語でわからない単語なんて山ほどあります。僕自身もいまだにたくさんあります。しかしここでするべきことは日本語で意味を調べて日本語を通して英語を理解することではありません。それよりも自分の知りうる英語で理解できるような説明や解説を見つけることが大事です。そのためには自分に合った辞書を見つける必要があります。
僕がおすすめするのはロングマン英英辞書です。この辞書は基礎的な英単語のみを使用して、英単語を説明しています。大体中学校ほどの英語がわかれば大丈夫なようにつくられており、多くの単語を知っている必要はありません。
ちなみに他の辞書、例えばケンブリッジなどはおすすめしません。なぜなら辞書を引くことによってさらに知らない単語に出くわし、結局1つの単語のために10個の新しい単語を学習しないといけないといったことがおきてしまうからです。
知らない単語を次から次へと調べていくのはお勧めしません。そんなにたくさんのことは一度に覚えられないし、当初覚えるべき単語を忘れてしまうかもしれないからです。悲惨なのは、一般に使われない単語を覚えてしまい、それが記憶容量を圧迫してしまうことです。その点、ロングマンを使えば単語の意味を知るために他の単語を調べるということがかなり少なくすみ、覚えるべき単語を集中して学んでいけるはずです。
英英辞書のもう一つの利点として、日本語による間違った意味や使い方を避けることができる点です。これは和製英語にもみられることですが、その言葉が使われたシチュエーションによって意味が違ったり、言語と文化の関係性が日本と英語圏で違うことから起きてしまいます。
英英辞書の使い方について↓の記事にて詳しく解説しています。
発音の勉強以降は一切日本語を使って勉強しない
以前にも何度か触れましたが、発音の勉強に関しては日本語の解説で日本語で考えながら進めていって問題ありません。これについては詳しい発音の勉強方法について別の記事でまとめてあります。
しかし発音の勉強を終えて他の勉強を始めたら、そこからは徹底して英語のみで勉強していかないと英語脳は発達しません。
これはどんな教材や情報を使うかによって影響されます。たとえば文法の学習用に教材を買うのであれば、文法の解説・練習問題・回答などのすべてにおいて日本語ではなく英語で書かれているものを選ぶようにしましょう。
結果的にはおそらく外国の出版社から出ている教材になると思います。ネットにある教材でもいいと思いますが、とにかく日本語を使わないで学習を進めることが大事なポイントです。
僕がオススメする教材については随時記事にしてまとめていきます。
デバイスの言語を英語に設定する
ちょっとした工夫ですが、すべてのデバイス(スマホ・PCなど)の言語設定をすべて英語にするというやり方があります(僕もやりました)。
なんだかんだいってスマホやPCを見る機会は多いので、そのたびに日本語を見なくて済むようにしましょう。最初は戸惑うかもしれませんがすぐになれるので問題ないはずです。
さらにブラウザーやアプリの言語も英語にしてしまって徹底的に英語をつかって生活することに慣れていきましょう。
日本語ではなく英語のコンテンツを見る・聞くようにする
普段は日本語のコンテンツ(エンタメ・アニメ・ニュースなど)を見たり聞いていると思います。これらを英語のものに変えてみるのもいい方法です。ただしこれは好き嫌いもあるので一概には言えません。
僕の場合は洋楽がまあまあ好きだったので、英語の勉強のためにももっと積極的に聞くようにしました。歌詞をチェックして勉強しようとしましたが、難しすぎたのでそこまではできませんでしたが。
あとはドラマや映画などもあります。僕は正直興味がなかったし、理解するのがかなり難しいのでほとんど見ませんでした。理解できないと当然つまらないので、ムリにしなくてもいいでしょう。
もっと簡単なもの、ESL(English as a Second Language)むけにつくられたコンテンツなどは初学者にもわかりやすいものが多いので、まずはそういったものを探してみるほうがいいでしょう。
睡眠をよくとり、一夜漬けはしない
最後に、基本的なことですが睡眠をよくとることが脳の学習において重要な役割を持つということは科学的に証明されています。人間の脳は寝ている間にその日の経験や記憶を整理し、情報の関連性を見出し、知識として記憶に定着させる作業を行っているらしいです。
これについて僕自身が実験したところ実際にかなりの効果がありました。普段は2~3週間前から始めていた大学でのテスト勉強を、2か月前から少しずつ始めたことがあります。すると驚くことに2か月も前に勉強したことがすんなり思い出せ、同じような勉強量でもかなり高いパフォーマンスを発揮することができました。
これは脳が寝ている間に学習し続け、それが知識として定着し発現するまでにいくらかの期間を必要としているからです。そのかわり一度定着した知識は長期記憶されて、簡単に忘れないようになります。
反対に一夜漬けは短期記憶に向いています。つまりテストなどで高得点は取れるかもしれませんが、学んだことが知識として定着せずにすぐに忘れてしまいます。英語学習にどちらが向いているか一目瞭然ですね。少しずつ継続して勉強していきしっかりと睡眠をとることが結果的に英語上達への近道となります。
おわりに
今回は英語で思考し、英語脳を作り上げる利点とその方法について紹介しました。重要な点をまとめると
- 絶対に日本語を使わないという強い意志を持ち、実践する
- 日本人と会わない、あっても英語でしか話さない
- 自分は日本人だということを忘れる
- 英語でしか思考しない時間をとる
- 英語で自問自答する
- 英英辞書しか使わない
- 発音の勉強以降は一切日本語を使って勉強しない
- デバイスの言語を英語に設定する
- 日本語ではなく英語のコンテンツを見る・聞くようにする
- 睡眠をしっかりととり、一夜漬けはしない
次回はまた勉強の流れについて、特にidiom, synonym, ライティングについての記事を書きたいと思います。
旅行写真: Castelo dos Mouros (Sintra, Portugal)