学生時代から手を付けていなかった英語のやり直しをしたいという人はこういった不安があるかと思います。
闇雲に英語の勉強をはじめるのは失敗や挫折のリスクが高く、社会人ともなれば時間も限られているのでなるべく効率的にかつ着実に英語学習を進めたいところです。
ただ、もう1度英語を勉強するにしても今までの学校での勉強と同じようにしても英語は使えるようにはならない、ということはわかるかと思います。
ではどうすればいいのか、この記事で以下の点を英語のやり直しをする場合の勉強法として紹介します。
注意:この記事では海外で働くことを目標としている人向けの内容になります。
記事の内容
英語学習をやり直す前に決めるべきこと
どういった勉強法で英語を学び直すかについて話したいところですが、その前にいくつか考えておきたいことがあります。
- 英語で何をしたいのか決める
- 必要な英語力を考える
ということです。これらの回答によって最適な勉強法は変わってくるからです。
本当に英語が必要か・英語で何をしたいのか明らかにする
人間は面倒くさがりなんで本当に必要ではないことはしたくないはずです。なので本当に英語が必要なのか、英語で何がしたいのかをはっきりさせておきましょう。
そうすることでどれくらい勉強を続ければいいのか、どういった勉強をすればいいのかを考えやすくなります。
とくに「英語ができるようになりたい」と漠然としていると何をすればいいのか、いつまでにどれくらい勉強すればいいのか自分でもはっきりとわからないのでズルズルと上達しないまま勉強を続けてしまいがちになります。
そこでおすすめなのが「英語を使って何かをしている自分の姿」を想像することです。
たとえば
- 海外の1流ホテルで仕事をする自分
- フライトアテンダントとして世界中を飛び回っていろんな国から来た人とコミュニケーションする自分
- 外資系企業に就職して国際的なチームで活躍する自分
- 海外協力NPOに参加して世界中の貧困問題の解決に貢献したい
などなど、こういうことができたら楽しそうとかかっこいいとかいう目標があると、気持ち的にも勉強に身が入るし、そこからやるべきことを逆算して考えることができます。
TOEICとかIELTSといったテストでの点数は目標の目安としてわかりやすいですが、その先にしたいことがないといつの間にか高得点をとることが目標になってしまうので気をつけましょう。ビザなどの関係で必要になることはありますが、基本的には力試しや自分の現在地の確認のためのツールだと考えておくのがいいと思います。
英語でしたいことや、なりたい自分といった目標から逆算していき、今の自分がどうするべきか、そしてどう段階的に成長していくかといったロードマップをつくることが、英語学習のやり直しを成功させる第1歩になります。
必要な英語力を考える
「英語を使って何かをしている自分の姿」を目標とすれば、どれくらいの英語力が必要になるかが見えてきます。それをさらに細かい具体的な目標とすることで英語学習をやり直す場合の勉強法を考えることができます。
僕の場合を例とすると、最終的な目標としては「プロのエンジニアとして英語で仕事をしていろんな国に移り住みながら自分にとって住みやすい場所を探す」といった目標でした。ちょっとふわふわしてますが当時の僕の想像力ではこれが限界でした。
いずれにせよ、その目標を達成できる頃の自分にはどれほどの英語力があるだろうか考えます。
- 同僚やクライアントの言っていることが1度で理解できる
- 英語でビジネスの話や雑談ができる
- メールやレポートを読む・書くことができる
- 英語でエンジニアとしての専門的な仕事を説明・理解できる
- ミーティングやディスカッションで自分の意見を言って貢献できる
- プレゼンやインタビューなどで自分の考えや成果を発表して伝えることができる
などいろいろな状況を想像しながら具体的にどんなスキルが必要なのかを考えます。
- 英語のまま理解できるようになる
- ネイティブのように英語で考えて話すことができる
- きれいな発音で誰にでも伝わる英語を話せるようになる
- 適切な文法を使って誤解を生まずに意思疎通できる
- エンジニアのレポートや技術書を時間をかけずに読解できる
- 論理的でテクニカルな内容のライティングができる
などのスキルが必要になってくるということがわかります。テストの点数だけでなくこういった能力を目標にすることで実践的な英語力を測りながら伸ばしていくことができます。
とはいえ今までに経験したことのないことを想像するのは難しいので、ネットで調べたりして参考になりそうな情報をインプットすることで自分に必要な英語スキルを明らかにしていきましょう。
知識重視からスキル重視の勉強法へ
今までの学校教育で、ほとんどの人はある程度の英語を「知っている」状態ですが、「使える」とは言い難いです。そのため闇雲に勉強をはじめる前に、勉強法について1度考え直すことが大切です。
学校での勉強法は
- 文法知識の詰め込み
- 単語の暗記
- 和訳と英訳
- 問題を解く
といったことに比重を置いています。これらは決して無駄ではなく、おかげで単語と文法の基礎知識や、時間さえあれば長文の読解ができる人がたくさんいます。これまで力を入れてこなかった発音や話す・書くスキルなどを勉強していけば英語でのコミュニケーション力がつくのは想像がつくと思います。インプット系の勉強は言ってしまえばいつでもできるので、いかにアウトプット系の勉強をしていけるかが大きなポイントになります。
僕が語学学校に留学したときにも気づいたのですが、その国の英語教育によって学生の得意・不得意が全く違います。日本人はほとんどの人が高レベルの文法知識と単語を知っており、さらにPunctuation(スペルや句点読点などの使い方)もしっかりしています。しかしほかの国から来た人は「流暢に話せるけどスペルがわからない」とか「先生の英語を完璧に聞きとれているのにhe/his/himを使い分けられない」などの歪な英語力の人がたくさんいました。
何が言いたいかというと、勉強のしかたによってできることとできないことがこんなにも違うということです。
日本人の場合は、自分の目標に必要な英語力を考えてそのためのスキルを鍛えられるような勉強法を試行錯誤していかないと、いままでと同じで「使えない英語」から抜け出せません。
逆に「英会話ができるけど読み書きができない」なんて言う人は文章でのコミュニケーションがうまくできないのでその弱点を克服するように勉強していく必要があります。
とくに海外で仕事をしたいとなると、知識一辺倒な今までの勉強だと伸び悩んでしまい挫折してしまう可能性も高いです。
避けるべき挫折しやすい勉強法
英語の勉強をしている人は誰でも「字幕なしで映画を見たい」とか「英字新聞が読めるようになりたい」といった願望があるかと思います。しかしそういった英語超上級者でないとできないようなことをすると挫折率が高くなります。
そうでなくともTOEIC300点くらいの人がTOEIC500点レベルの英語を理解しようとしても、「わからない単語を調べる」「英語だとわからないので日本語に訳して理解する」ということばかりになってしまい、「使える英語力」は伸びないし自分の実力のなさを実感して勉強のやる気が失くなっていきます。
要は自分の英語力にあったレベルで勉強しないと学習効率が悪くなり、つまらなくなって挫折しやすいということです。
挫折せずに英語力を伸ばす勉強法
英語学習のやり直しをする場合には挫折してしまう人が多く、モチベーションと自信を保ちながら勉強していくにはその時の自分の英語力よりちょっとだけ高いレベルの英語を勉強していくことが大切です。
なぜかというと「英語がわからない・できない」という状況が繰り返されると自信を失くす・つまらなくなる、そして挫折してしまうからで、逆に小さな成功体験(聞きとれた・詰まらずに英語で話せたなど)を重ねていければ自信を失わずに自分の成長を楽しむことができます。
ここからは英語の避けるべき勉強法とおすすめする勉強法について書いていきます。
挫折せずかつ使える英語力をつけるためには以下の点をおさえて勉強していくことが重要です。
- 今の英語力+αの教材で勉強する
- 英語で英語を勉強する
- 暗記するよりも使っていくことを優先する
- バランスよく勉強して相乗効果を得る
今の英語力+αの教材で勉強する
「日本語に訳さなくてもわかる限界」が今の英語力で、そのレベルから少しだけ高いレベルの教材で勉強することで、英語が難しすぎずかつ上達していける勉強法となります。
目安としては9割ほどは聞いたり読んだりして理解できるような英語の教材を使いましょう。そうすることで「英語を理解する」訓練になり、残りの1割で新しい表現や単語などを学んでいけます。
今までの「単語や文法を覚える」「日本語に訳して理解する」というアプローチから「現時点での英語力で聞きとる力・読み解く力を鍛える」という方法へシフトする感覚です。
まず単語と文法を完璧にしてから英語を使う練習をする、というのはムリだしそういった知識があっても、それらを使って意思疎通する訓練をしないと使い物になりません。
本来必要なことは英語でのコミュニケーション力(聞く・話す・読む・書く)をつけることで、その訓練をしていくなかで補完的に単語や文法といった基礎を身につけていきましょう。
英語で英語を勉強する
英語で考えて英語のまま理解し、英語で考えて英語のままアウトプットするようにして勉強を進めていきましょう。
日本語訳を使って何かを理解できたり表現できたとしてもそれは本質的には英語力ではありません。
たとえば日本語で英文や言いたいことを頭でつくってから英語に変換しようとすると、意味が伝わらなかったり、そもそも言葉が存在しないといったことがおこります。またリスニングの場合には単純に日本語に変換している時間はありません。
浅く簡単な英会話以上を求めるのであれば、英語を英語のまま使いこなすスキルが必要で、そのためにできる1番の勉強法が英語で英語を勉強することです。
難しく聞こえますが、さきほど書いたように「今の英語力で9割理解できる教材」を使うことで英語で英語を勉強することが可能になります。
詳しくは下の記事で解説しているので参考にしてみてください。

英語で英語を勉強することの効果は大きく、勉強のしかたさえわかればそれほど難しくありません。この記事では英語で英語を勉強するべき理由とその効果、そして英語での勉強法について僕自身の経験をもとにして具体的に書いていきます。
暗記するよりも使っていくことを優先する
英語力を伸ばすということは英語を聞く・読むことでしっかりと意味がわかる、伝えたいことを話す・書くことができるようになることです。基礎は確かに大切ですが、基礎を積み上げてばかりではなく自分が持ちえる基礎力を最大限使っていかにコミュニケーションをとるかを考えないといけません(学校での詰め込み教育から脱却して英語を使うことを重視する)。
そしてそのためには英語で実際にコミュニケーションをしていく、それも日本語に頼らずにすることで本当に必要なスキルを伸ばしていくことができます。
英語を使って意思疎通をしようとして初めて自分がどこまでできて何ができないのかが理解できます。そして問題点を見極めてそれらを勉強・練習していくことで英語力を底上げしていきましょう。
サッカーで言うと基礎であるドリブル・パス・シュートを練習していったとして、実際に試合で使い物になるかどうかはやってみないとわかりません。実際にやってみると対戦相手が邪魔してくるし味方も動き回っているしで圧倒的に難しいです。
英語も同じようなもので基礎ばかりやっていても練習したことが実際に使えるわけではありません。なので実践と修正を繰り返していくことでようやく英語を学んで自分のものにすることができます。
バランスよく勉強して相乗効果を得る
もう1つ重要な勉強法が聞く・話す・読む・書く・文法・単語・発音をバランスよく勉強をしていくことで、学んだことをほかの技能で応用していくことです。
そうすることで五感をフルに使いつつ、学び直しを最小限にしつつ学習していくことができます。
たとえばリスニングで新しいフレーズを覚えたら、それをスピーキングやライティングで使っていきましょう。もし文法の勉強で新しい文法の使い方を学んだらそこで満足せずに実際に使っていきましょう。ライティングで使った表現をスピーキングで使う事でも相乗効果でより効率よく学んでいけます。
反対に特定の勉強に集中しすぎると英語を使ってコミュニケーションをする機会が減ってしまったり、特定のスキルだけが伸びてしまい、相乗効果があまり期待できません。
そうならないようにまんべんなく異なるスキルを伸ばすようにしていけば学習効果が高まるはずです。
より効率的な英語の勉強法は別の記事で解説しているので参考にしてみてください。

「海外で働けるような高いレベルで実際に使える英語力」を目指している人向けの効率の良い勉強法を6つのポイントにまとめました。たくさんの時間とお金をかける前に勉強法の見直しとして読んでもらえるとうれしいです。
まとめ
この記事ではどのような勉強法なら英語のやり直しが上手くいくかについて書きました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 英語で何をしたいのか決める
- 必要な英語力を考えて逆算して計画を立てる
- 知識重視からスキル重視の勉強法へアプローチを変える
- 今の英語力+αの教材で勉強することで英語コミュニケーション力を高める
- 英語で英語を勉強することで日本語に頼らない本当の英語力をつける
- 暗記するよりも使っていくことで学びを得る
- バランスよく勉強して相乗効果を得る
英語学習のやり直しでは挫折しないことも大事ですが、まずは何のためにどのくらいの英語力が必要なのかを考えておきましょう。そうしないと何年もズルズルと非効率的に勉強をしてしまい、貴重な時間をムダにしてしまうこともあり得ます。
本当に英語が必要であれば、あとは挫折しにくい勉強法を実践していきましょう。そうすれば挫折するリスクを下げつつ着実に英語力を底上げしていけるはずです。
他にも大人がするべき勉強法や、英語学習のロードマップについても記事にしているので興味があれば目を通してみてください。

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