「長文の読解ができない」、「英文を何回も読んでも理解できない」と悩んでいる人におすすめするテクニックが精読です。
精読は「英語のリーディングのテストでいい点数が取れない」という人にも役に立つ方法で、速読と一緒におこなうことで長文の読解力がグッと向上します。
おもな精読のやり方として以下の3つを記事内で解説しています。
- 意味の塊に整理して理解する
- 意味の塊どうしの関係を読み解く
- パラフレーズして自分の言葉で理解する
これらに加えて精読の練習に関するアドバイスも紹介していますので、リーディングを上達させたい人はぜひ目を通してみてください。
目次
長文の読解を精読で上達させる方法
長文の読解力をあげるためには速読(Skimming)と精読(Scanning)を戦略的にできるようにすることが効果的です。
速読はその名のとおり、すばやく文章を読んでいき
- 全体の主旨を理解する
- パラグラフごとのトピックとキーワードを抽出する
ことを目的とします。
そして精読では文章の意味や情報を深く理解することを目的とします。
長文の読解ができるようになる精読の勉強方法とコツは以下のとおりです。
それでは1つずつ順番に解説していきます。
勉強用の教材は9割わかるものを使う
まず精読の勉強をするための教材を「9割ほど理解できる」ものにしましょう。
「9割ってほとんどわかってるから意味なくない?」と思うかもしれませんが、読解力の向上のためには難しすぎる教材を使ってはいけません。
その理由は
読解は単語や文法の知識を利用して文章の意味を理解するためのテクニックです。
このテクニックを学ぶことがリーディングの目的なので、単語と文法そのものばかりに時間を使わないようにする必要があります。
結果的に難しすぎない教材を使うほうが「読解力」の向上に向いていることになります。
たとえ9割わかる教材を使っても新しい単語や難しい文法はたまに出てきます。
その時にはしっかりと調べて新しい知識を蓄えるようにしましょう。
あくまで単語と文法を調べてばかりではリーディングの勉強にならない、ということです。
速読して主旨を理解してから精読をする
さきほども述べたように、長文の読解では速読と精読をすることで効果的にリーディング力をあげることができます。
しかしひとつの文章や記事に対していきなり精読をするのではなく、まずは速読をすることが読解力の向上につながります。
速読によって得られる「全体の理解」と「パラグラフごとの要点とキーワード」が精読を効果的・効率的にするための布石となります。
とくにテスト問題を解いているときや、特定の情報を探しているときに「パラグラフごとの要点とキーワード」があれば長文のどのあたりを精読すればいいのかがすぐにわかります。
これによる利点は
です。普段の生活でも日本語で無意識のうちにしていると思います。
これがまさに速読と精読です。英語でも同じことができるようにしましょう。
詳しい速読の方法は↓の記事を参考にしてください。
意味の塊に整理して理解する
実際に精読をするときにはまず文章を意味の塊(フレーズ)に分解することで理解しやすくできます。
たとえば以下の文章を読んでみます。
意味の塊に分解するとこのようになります。
こうすると長かった文章が短いフレーズのパーツになり、少し理解しやすそうに見えてきますよね。
精読においてはこのように詳細に文章を読み解いていくことで理解していきます。
区切りのつけ方は人によって多少の違いがありますが、おもに以下の方法でできます。
- 主語と動詞の塊
- 2回目以降の動詞がでてきたとき
- 前置詞がでてきたとき(to, for, in, on, with など)
- 関係代名詞がでてきたとき(which, that, who, where, when など)
- 条件が与えられたとき(if, unless, as long as, till, after, before など) などなど・・・
ここで気づくかもしれませんが、意味の区切りをつけるためには文法の知識がかなり大切になってきます。
文法を勉強していけば意味の区切りのつけ方が分かるようになり、文章を読むときに意味の区切りを見つけられるようになります。
ちなみにここで紹介した例は細かく区切った場合で、慣れてくるといくつかのパーツをつなげてまとめて理解できるようになってきます。
文法の勉強に役立つ教材を↓の記事にて紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
おすすめの本(文法):English Grammar in Use
意味の塊どうしの関係を読み解く
意味の塊に区切ったあとはそのパーツごとの関係性を読み解くことが精読のコツです。
まずはさきほどの例を使って関係性を読みといてみます。
イラストにしてみると以下のように関係性が描かれます。
文法の知識をもとにこのようにパーツごとの関係性を明らかにしていきます。
多くの場合は直前のパーツと関係していますが、5のように飛んで遠くのパーツと関連するときもあります。
こういった関係性にはパターンがあります。いくつかの例とキーワードをあげると以下のようになります。
関係性 | キーワード | 例文 |
---|---|---|
一般的な言葉と詳細 | 関係代名詞 | That is a person who is an expert of philosophy. |
原因と結果 | because, as a consequence, due to など | English is difficult to learn for Japanese because grammar is very different. |
追加 | and, in addition to, as well as, also など | The interpretation of long English sentences requires understanding of effective techniques as well as continuous practice. |
反対 | but, however, although, whereas など | It is known as a common tactic to undertake Skimming and Scanning to read and understand English articles although it is not taught wwell in Japan. |
前置詞による関係(前置詞の種類によって異なる) | in, on, to, for, with, of, by など | The advice of Scanning is shown in these example sentences of IELTS sample reading articles from the internet. |
ほかにもたくさんありますが、こういったキーワードからフレーズの関係性を理解するようにすれば精読の効果があがります。
とくに関係代名詞と前置詞は混乱しやすくなるので、しっかりと文法の勉強をしておきましょう。
パラフレーズして自分の言葉で理解する
ここまでくれば区切ったフレーズそれぞれの意味と、お互いの関係性がわかっていると思います。
つぎにこれらの情報をもとに文章全体の意味をつかみます。
しかしリーディングでは慣れない単語や言い回しが出てくることが多いので、いまいち頭にスッと意味が入ってきませんよね。
ここでオススメなのがパラフレーズをして文章を自分の言葉になおして理解する、という方法です。
違う単語や言い回しでおなじ意味の表現に言い換えること。
たとえば"improve"をパラフレーズすると、"develop"といった類義語に置き換える, もしくは"make something better"といった言い回しにパラフレーズできます。
さきほどの例文を重要な情報を抜き出してパラフレーズしてみましょう。
となり、文全体として
“This guy said when we talk about life-extending therapies, we must think about the quality of life.”
とパラフレーズすることができます。
もとの文章と比べて分かりやすくなっていませんか?こうすることでスッと頭に意味が入るようにするのが精読でパラフレーズをする理由です。
ポイントをおさらいすると、
- 書き言葉を平易な言い方になおす
- 自分の理解しやすい言葉を使ってダイレクトに理解する
この2点を意識して精読の練習をしていけば長文の読解力が向上していきます。
精読でしてはいけないこと
最後に精読をするときにしてはいけないことについて簡単に書いていきます。
以下の3点だけ気をつけて精読をするようにしてみてください。
- むずかしい教材を使う
- 日本語に直す
- 音読する
むずかしい教材を使う
記事の最初のほうも書きましたが、むずかしい教材を使うとリーディングの上達は期待できません。
なぜならわからない単語や文法が多すぎてリーディングのスキル向上に集中できないからです。
とくに英語の初心者や中級者でもニュース記事や英語の文献を読むのはオススメしません。
こういったネイティブ向けのものよりも英語学習者向けのものを使うようにしましょう。
日本語に直す
難しすぎる教材の弊害にはもう1つの問題があります。それは日本語に頼ってリーディングしてしまうことです。
日本語に直しながら精読していると、文法の違い、表現の違い、理解の速さなどに悪影響がでます。
そして日本語に訳すことになれてしまうと他の技能(リスニング、スピーキング、ライティング)が伸びなくなってしまいます。
精読に限ったことではありませんが、英語を英語のまま理解していけるように勉強していきましょう。
このいわゆる「英語脳」のつくりかたは↓の記事で解説しています。
本気で英語を上達させたいなら絶対に必要なこと:英語で思考する
音読する
音読は賛否両論ありますが、僕はオススメしません。その理由は
- 発音への悪影響がある
- 英語脳ができていないと理解しやすくならない
からです。
発音することと内容を理解することの2つを同時にするのは単純に大変です。
それに自分で声をだして聞いてもリスニングが得意とかでないとあまり意味がないように思います。
最悪なのが音読しても理解できないうえに適当に発音してしまってスピーキングにも悪影響が出ることです。
こういった理由から精読では音読は必要ない・おすすめしません。
まとめ
今回の記事では英語の長文を読解するためのテクニックの1つである精読のやり方について解説しました。
精読を練習する方法とコツを以下のようにまとめます。
- 勉強用の教材は9割わかるものを使う
- 速読して主旨を理解してから精読をする
- 意味の塊に整理して理解する
- 意味の塊どうしの関係を読み解く
- パラフレーズして自分の言葉で理解する
さらに精読でしてはいけないこととして以下の3点をあげました。
- むずかしい教材を使う
- 日本語に直す
- 音読する
英語の長文には速読と精読という2つの強力なテクニックを駆使することで大きく上達できます。
リーディングのテストで苦労している人や、何度も文章を読んでもなかなか理解できないという人にぜひとも試してもらいたいテクニックとなっています。
下の記事では精読だけでなく英語の長文読解力を伸ばすための勉強法についてまとめています。興味があれば参考にしてください。
英語の語順は日本語と違うため、慣れないと何度も聞き返したり読み返さないと理解できないことが多いかと思います。原因は文法における言葉の順番の違いと、英語と日本語を行き来することに起因します。この記事ではまず文法と語順の型について解説して、英語の語順のままスッと理解できるようにするための効果的な勉強のしかたを紹介していきます。