【work】と【walk】の発音は日本人にとって永遠の課題のように思えますが、そんなことは一切ありません。
この記事ではこれら2つの単語の発音のしかたと聞き分けについて解説していきます。
正確さに欠けますが、忙しい人向けに発音のしかたと違いを短くまとめると
となります。
記事の中ではさらに深い内容について書いています。
記事の内容
【work】と【walk】の発音と違い
まずは発音のサンプルを聞いてみましょう。
【work】の音声(イギリス発音)
【walk】の音声(イギリス発音)
【work】の音声(アメリカ発音)
【walk】の音声(アメリカ発音)
発音を比べると、【w】と【k】は一緒で、違いは母音である【or】と【al】にあります。
発音記号で違いを確認してみます。(イギリスとアメリカ発音の両方ともみていきます。)
単語 | イギリス発音 | アメリカ発音 |
---|---|---|
work | wɜːk | wɜːrk |
walk | wɔːk | wɒːk |
母音の部分が違う発音記号になっているのがはっきりとわかると思います。
問題はどうすればこれらを「聞き分ける・使い分ける」ことができるか、です。
その方法について解説していきます。
【work】と【walk】を聞き分ける・使い分けるために
この2つの単語を聞き分けるためには、まずこれらの音の違いを理解する必要があります。
たいていの人は「なんとなく違いがわかる」レベルで止まっていてそれ以上知ろうとはしません。
さらに多くに人は、頭でカタカナ発音の「ワーク」と「ウォーク」だと思い込んでしまっています。そしてそのせいで実際にリスニングした音をこの日本語の音に当てはめようとしてしまっています。
そのせいではっきりと英語の音の違いを聞き分けることができなくなり、リスニングにも悪影響を与えています。自分がしっかりと発音できない音を聞き分けるのが難しいのは想像できると思います。
ではどうするか?
発音記号の音だけでなく、どのように発音するのかを「口の形や舌の位置」などを具体的に調べて、それに沿った発音を練習することです。
この方法でまずは自分が発音できるようになることが必要で、そうすれば音の違いを脳が認識してくれてリスニングも上達します。
ここから先は実際にこの練習方法を【work】と【walk】で実践して、自分の発音が上達するプロセスを実感してほしいと思います。
発音を上達させる
発音を上達させるには、発音記号の「口の形や舌の位置」を意識して練習していくことが重要です。
そのためにこの記事では【work】と【walk】の発音記号を1つずつ練習していきます。
この練習で出てこない発音記号も同じように練習していけば、基本的にどの英単語でもきれいに(一発で伝わる)発音できます。
解説と練習を以下の順に進めていきます。
- 【work】【walk】共通の【w】と【k】について練習
- 母音をイギリス(【ɜː】と【ɔː】)とアメリカ(【ɜːr】と【ɒː】)発音に分けて練習
2では好きなほうの発音で練習してください。違いに興味がある人は両方とも試すのもおもしろいと思います。
【w】の練習
まず最初の音である【w】は、いかに口の形をつくる・動かすかが重要になります。
発音のしかたは予備動作(1)と発音時の動作(2)にわけられ、3つめの注意点として母音を含まないことに注意しましょう。
【w】の予備動作(おちょぼ口)↓
【w】の発音時の口の状態↓
日本語の「わ」は口を縦にあけて発音すると思いますが、英語の「w」は口を前後に動かす、という違いがあります
この口の形の影響で、音は日本語の「わ」よりも「ゥw」のように聞こえるはずです(「ゥ」じゃなくてそれっぽい音に勝手になる、という意味です)。
口の形や動きを大げさにすることで、かなりきれいな「英語の音」になります。日本語に比べてもっと口の周りの筋肉を使っていく必要があります(ニュースキャスターと同じように発音する感じです)。
【k】の練習
つづいて【k】は、カタカナの「ク」に似ていますが最も注意すべきところは母音を発音しないということです。
【w】と同じように、発音の仕方は予備動作(1)、発音時の動作(2)と母音についてわけられます。
【k】の発音(予備動作)↓
【k】の発音(舌をはじく)↓
ここからは母音の発音をイギリスとアメリカ発音に分けて解説します。
母音をイギリス発音で練習
確認ですが、【work】と【walk】の母音の発音記号は1つづつです。
- work = wɜːk
- walk = wɔːk
この【ɜː】と【ɔː】を練習しましょう。
【ɜː】の練習
【work】に使われる【ɜː】のイギリス発音のしかたは以下のポイントを押さえれば習得できます。
イギリス発音ではよく聞く「巻き舌」みたいなことは一切必要ないです。
【ɜː】の舌の位置↓
【ɔː】の練習
【walk】に使われるイギリス発音の【ɔː】は以下のポイントに気を付けて練習してみてください。
- 「オ」よりも口を前に突き出し、大きめに開ける
- 音はほぼ「オ」で大丈夫だが、口の形を崩さないようにする
【ɔː】の口の形↓
口の形さえできていればきれいな音になるはずです。
母音をアメリカ発音で練習
アメリカ発音で練習する場合にはここから読んでください。
まずは発音記号を確認しましょう。
- work = wɜːrk
- walk = wɒːk
【w】と【k】はイギリス発音と共通なので、【ɜːr】と【ɒː】を練習していきます。
【ɜːr】の練習
まずは【ɜːr】の音です。これは日本人にとって難しい音ですのでしっかり練習していきましょう。
発音のしかたは以下の3つのポイントにまとめられます。
【ɜːr】の舌の位置↓
これを「巻き舌」ということがありますが、舌を「巻く」というより「立てる」ほうが正しい表現だと思います。
それと大切なのは舌や口を動かしながら音を出すのではなく、まず型をつくってそのままの状態で音を出すようにすることです。
【ɒː】の練習
これが最後の音です。【ɒː】は以下の2つのポイントを意識して練習してみてください。
【ɒː】の口の形↓
「ウォーク」だと思っている人は口の形がイギリス発音の【ɔː】に近くなってしまうので、「縦に口をあける」ことに注意して練習してください。
音をつなげて練習する
ここまでくればあとは音をつなげて発音する練習をします。
大事なことは、1つ1つの発音記号の「口の形・動き・舌の位置」を崩さずに音を出すことです。
単語 | イギリス発音 | アメリカ発音 |
---|---|---|
work | wɜːk | wɜːrk |
walk | wɔːk | wɒːk |
今の自分の発音でサンプルの音と比べてみてください。
【work】の音声(イギリス発音)
【walk】の音声(イギリス発音)
【work】の音声(アメリカ発音)
【walk】の音声(アメリカ発音)
どうでしょう。かなりサンプルに近いきれいな音が出せていると思います。
音をつなげた場合の「舌と口の状態」を比べると違いが一目瞭然です。
この違いによって音にも大きな違いが生まれます。
ここまでくれば【work】と【walk】の音の
- 何がどう違うのか
- どのようにして違いが生まれるのか
がわかったと思います。
あとは自分でしっかりと発音をしていけば、リスニングの時の聞き分けもできるようになっていきます。
自分自身に正しい発音を聞かせ続けていくことで、スピーキングとリスニングの両方が成長していきます:)
まとめ・さらなる上達のために
今回は【work】と【walk】の発音のしかたをかなり詳しく解説していきました。
本文のポイントをまとめると以下のようになります。
- 頭で「ワーク」と「ウォーク」だと思い込むと英語を聞き分けられない
- 発音は「口の形や舌の位置」で決まる
- 【work】と【walk】の発音記号を1つずつ練習して最後につなげて練習する
- 自分自身に正しい発音を聞かせ続けていけばスピーキングとリスニングが上達していく
この練習方法は他の単語や英文にも使えます。大事なのは一旦発音記号に立ち返って1つずつ習得していくことです。
そうすればさまざまな発音記号の組み合わせである単語、そして文章もうまく発音できるようになります。
その結果スピーキングとリスニングの下地ができて、話す・聞くことによって英語力が成長していきます。
もしこの下地がないと、いくら英会話に時間を費やしてもなかなか上達しません。英語の音の違い・その原理を理解していないから当然ですね。
この練習方法については別の記事にてさらに深く解説しているので、興味があればぜひ読んでみてください。
英語の会話に発音は必要不可欠です。まずは単語で発音の練習をする前に、発音記号を習得してください。単語は複数の発音記号からできているので、発音記号ができていないとただしく発音できません。しかし発音記号をマスターすれば、後々ネイティブのような発音ができるようになります。
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