英語のスピーキングは苦手にしている人も多く、勉強法も他のスキルと比べてわかりにくいです。
とくに多い失敗としては、上手く話せないし英語でなんて言うかわからないからまずはとにかく単語を勉強する、といったことです。
そうするとスピーキングの練習をしなくなってしまうので一向に話せるようにはなりません。
この記事では英語のスピーキングの勉強法を具体的に解説していき、上達させるために必要な行動を理由とともに紹介していきます。
記事の内容
英語のスピーキングの勉強法
勉強方法とポイントを以下のようにまとめました。
- 発音の勉強と実践
- 独り言と自問自答
- シャドーイングと演技
- パラフレーズの練習
- 英会話フレーズとテクニック
- 文章の接続
- 英文と話の構成
- 英会話での実戦練習
英語のスピーキングの勉強と聞くと「まずは知っている単語を増やさないとダメだ」とか「文法がわかってないとダメだ」と言って単語と文法の勉強をする人がたくさんいます。
しかしスピーキングというのは「今知っている単語や文法その他の知識を使って、相手に伝えたいことを口頭で伝える」ことです。
つまりあなたの語彙力や文法がどのレベルにあろうとも、限られた知識でなんとかするのがスピーキング力であり、鍛えるべきスキルです。
そしてそのための勉強法が上のリストです。
それでは勉強法をひとつずつ解説していきます。
発音の勉強と実践
発音がきれいにできない限りいくら完璧な単語と文法を使っても通じないので最初に勉強しておきましょう。
もしあなたが英語のリスニングで音を正しく聞きとれないとすれば、それは発音のせいであり、逆にあなたの発音が良くなければ他の人はあなたの英語をリスニングできません。
スピーキングの練習をはじめる前に優先して発音の矯正と練習をしておきましょう。そうしないとおかしな発音のまま話すクセがついてしまいます。
発音の勉強法については下の記事で詳しく解説しています。
英語学習でも最も費用対効果が高い発音ですが、まずは発音記号をできるようにし、シラブル・単語・フレーズ・英文と段階的に練習していきましょう。あとは会話で実践しながら調整していけばOK。かなり即効性があり聞き手も喜んで自分の英語を聞いてくれるようになりますよ^^
独り言と自問自答
スピーキングの向上でおそらく最も重要なのが、毎日英語で独り言と自問自答をすることです。
スピーキングはそもそも英文(もしくは英文の一部)が思いつかないと何も言えません。そこで独り言と自問自答によって英文を頭でつくる練習をします。
この練習ではいくつかのポイントがあります。
- 「日本語で考えてから英語に直す」は絶対にしない
- 常に英語で考えてそのまま英文をつくる
- 思いつく言葉で英文をつくる(いちいち辞書で調べたりしない)
- なるべく自問自答が続くように5W1Hの質問をする
- できれば声に出してしっかりと発音する
このように少なくとも頭で英文をつくることをしない限り英語が使えるようにはなりません。そして声に出して練習すればそれだけ人と話すときにも上手くいきやすくなります。
もう1つの重要な理由は、この練習を日頃からすることで英語脳を鍛えるためです。常に英語で考えて英文をつくることで、日本語をムシしてコミュニケーションできるようになる土台ができます。英語脳ができれば英語力の成長が圧倒的に速くなるので、それだけ独り言と自問自答の練習が重要になります。
具体的な自問自答のやり方を含めた、1人でできるスピーキング練習のしかたを下の記事で紹介しているので参考にしてください。
ネイティブと話さないと上手くなれないとか思っている人がいるかもしれませんが、むしろ自信を無くす可能性も高いのでスピーキングの自主練はかなり重要だったりします。この記事では一人でもできるスピーキングの練習方法とツールについて紹介していきます。
シャドーイングと演技
英語のスピーキングを伸ばすのには演技力が大事だったりします。ネイティブのように大げさにイントネーションをつけたり表情を変えると、明らかに通じやすくなるし相手の反応がよくなります。
なぜかというとネイティブたちにとってはそういったおおげさすぎるくらいの話し方を自然に感じるからです。もし日本人の感覚で話すと伝わりずらいし、機嫌がよくないのかと思われたりします。気をつけましょう。
勉強法としてやりやすいのはリスニングの教材を使って復唱することです。ただし以下の点に注意してください。
- 復唱する英文の意味が理解できている
- あらかじめ発音を矯正して正しい発音で復唱できるようにする
- マネするだけでなく自分で似たような英文をつくって言う
シャドーイングは何も考えずにできる練習です。なので発音を直すとかフレーズの切れ目を意識して話すとか、自分で似たような英文をつくって言うといった工夫をしましょう。そうしないとただ言われるがままに復唱するだけでなにも改善しません。
下の記事ではリスニングの教材と選び方をレベル別に解説しているので参考にしてください。
英語のリスニングを着実に上達していくための教材と勉強のしかたについて解説します。今一度自分が使っている教材や勉強法と比べて、改善できるところがないか参考にしてみてください。
パラフレーズの練習
会話では言いたい言葉が浮かばないのが普通です。いくら頑張って単語を覚えても必要なときに限って思い出せないなんてよくあることです。なのでスピーキングでは瞬時にパラフレーズするスキルが必要になります。
たとえば「コーヒーを挽く」と言いたいのに「挽く」がわからなかったら「prepare/process coffee beans」などで言い換えることができます。ほかにも「ステーキが生焼け」と直接的に言えないときは「this steak isn’t cooked」など、言いたいこととは逆のことを否定形にする(isn’t cooked)ことでパラフレーズできます。
パラフレーズするコツは以下のような方法があります。
- 類義語に置き換える
- 主語を変える
- 反対の意味の動詞を使う
- 否定形にする
- 違う視点で表現する
言葉だけでなく文法がわからないときも同様にパラフレーズしましょう。意思疎通することが優先事項で、完璧な言い回しをするのは二の次です。
日本語で考えてから英語にしようとするとこういった問題がしょっちゅう起こります。なので最初からずっと英語で考えましょう。常に英語で考えていると似たような意味の英語を頭の中から探し出す訓練になって段々とパラフレーズができるようになります。
肝心のどうパラフレーズのスキルを伸ばす勉強法ですが
- 単語を調べるときは英英辞書を使う
- 類義語と反意語を学ぶ
- イディオムを学ぶ
が有効です。これらの具体的な勉強法は下の記事で紹介しています。
「英英辞典は難しすぎる」「上級者向けでしょ」といった意見が多いですがそれは難しい辞書を使ったことによる失敗やイメージが原因であることが多いです。この記事ではなぜ英英辞典が英語の勉強法において強力な道具になるのか、そして具体的にどうやって使えばいいのか書いていきます。
英会話ができるようになりたいなら英単語よりもイディオムを勉強したほうがいいです。この記事では独学でも進めていけるように、優先すべきイディオムや勉強法について詳しく解説していきます。
あとは言葉がでてこないときには考え込まずにすぐに諦めましょう。そして「同じような意味」になることをパラフレーズで探すようにすれば自然とできるようになります。
英会話フレーズとテクニック
英会話にはよく使うお決まりのフレーズがあり、それらを勉強しておくと精神的にかなり楽になります。
例えば「How are you?」以外にも「How’s going?」とか「What’s up?」などいろんな言い回しがあります。そういった決まり文句は文法とかを考えてもしょうがないので何も考えずに受け入れて使っていきましょう。
実際に人と英会話をするときにはスピーキングにおけるテクニックも重要になってきます。スピーキングでは何も言えなくなってしまうというのがトラウマになりかねないので、そうならないような以下のテクニックを練習しましょう。
- リアクションのとり方
- 考えるための時間稼ぎ
- 質問のしかた
- 確認や言い直し
例えば考えるための時間稼ぎは意味のない英会話フレーズ(「you know what…」とか「well, I think I get what you say…」など)を多用して次に言うことを考えるのに役に立ちます。似たように、相手が言ったことを理解したのにわざと確認したりすることで会話のスピードをコントロールしたりできます。
こういったテクニックを練習していくことで自分が話しやすいペースをつくっていきましょう。
スピーキングのテクニックに関しては下の記事で紹介しています。
人の話を聞いているだけで自分からは何も言えなくなってしまう。英会話でよくある状況です。こういった聞く専になってしまっている人がもっと話せるようになる3つのステップを紹介しています。それは会話中にできる工夫で、相づち、質問、確認からの感想・意見というステップを練習していくことです。この記事ではこれらのより詳しい方法を紹介しています。
英会話に役立つフレーズについては下の記事を参考にしてください。
英会話を上達させるにはフレーズが重要になってきます。頻出フレーズやネイティブが使う自然なフレーズをいくつかのシーンにまとめて紹介しています。長めの表現やあまり知られていないものなどに例文をつけたので、分かりやすくなっていると思います。
ほかにも英会話のフレーズはたくさんあるので随時記事にしていこうかと思います。
文章の接続
スピーキングではあなたの言う英文を論理的につなげていく必要があります。そのために接続語を学んで使う練習をすれば相手が話の流れをつかんで理解しやすいスピーキングになります。
接続語にも種類があり、話の流れに適したものを使って文と文をつなげていきましょう。
接続語の種類と使い方 | 接続語の例 |
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理由や原因を伝える |
|
結果を伝える |
|
反対のことを言う |
|
追加の情報 |
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例をだす |
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順序をつける |
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何かと比較する |
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条件を付ける |
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話題の変化 |
|
こういった接続語を駆使して英文から次の英文へとスムーズに移り、聞き手にある程度の予測がしやすいように話していきましょう。
そうすると相手からすると聞いてて理解しやすい話し方になり、コミュニケーションがうまく運びやすくなります。
英文と話の構成
英語では結論を先に言うことが多いので、それにあわせて話すことの順序を意識して練習しましょう。
結論が先に来る、というのは英文法との親和性も高いです。例えばまずは「I bought two shirts」と言ってから「because I could get one for free if I bought two」と言います。
これは日本語と英語の語順の違いによるもので、英文をつくる練習をしていくことで自然とできるようになっていきます。具体的な練習方法については下の記事で解説しています。
英語の語順は日本語と違うため、慣れないと何度も聞き返したり読み返さないと理解できないことが多いかと思います。原因は文法における言葉の順番の違いと、英語と日本語を行き来することに起因します。この記事ではまず文法と語順の型について解説して、英語の語順のままスッと理解できるようにするための効果的な勉強のしかたを紹介していきます。
1つ1つの英文の構成だけでなく話の全体の流れにも構成があります。とくにプレゼンテーションやスピーチなど、自分のスピーキングがで完結するような場合に話の構成が必要になります。
スピーキングの構成の勉強法はライティングの文章構成を学んで応用することをおすすめします。
ライティングでも同じように文章の構成が必要で、教材で構成のつくりかたを学び、それを実際に書くときに使うことで学習します。その勉強で得た知識をスピーキングでも使うことで話の内容を論理的で理解しやすくすることができます。
大学やビジネスで議論・プレゼン・スピーチなどをするときに話がうまく構成されるように練習していきましょう。
スピーキングのための教材
スピーキングのための教材としてはまずリスニングとリーディングの教材を利用しましょう。
- リスニングの教材をシャドーイング(演技)用として使う
- リーディングの教材を声に出して読む
- ライティングの文章構成の教材をスピーキングに応用する
という使い方をするだけでも新しい言い回しや表現を学ぶことができて、それらを声に出して言うことで練習していくことができます。
基本時にリーディングでは文語が多くなってきますが、文語をスピーキングで使っても何の問題もありません。むしろ同じ意味でもフォーマル度の違いを表現できるようになるので、リーディングの文章を会話に応用するのは効果的です。
これらの教材を使って語彙やフレーズを学んで、それらを独り言・自問自答・英会話で使っていくことでようやく「自分の英語」になります。ただ聞いた英語や書かれていることを声に出すだけではスピーキングは伸びません。自分で英文をつくる作業がなによりも重要です。
スピーキングの構成や論理展開を勉強するためにはライティングの教材を利用しましょう。
ライティングではエッセイのように論理的な文章を書く際に構成を学ぶ必要があります。たとえば議題であるトピックに対して
- 背景情報とイントロダクション、本文とConclusionといった大まかな構成
- 本文のパラグラフにおける論点・主張と例文やSupporting Sentenceといった構成
といったことをそのままスピーキングに応用できます。そうすることでプレゼンテーションやスピーチなど、自分が先導して話す場合にうまく話を展開していくことができるようになります。
英会話での実戦練習
ここまでは独学でできるスピーキングの勉強法を紹介しましたが、実際に人と話すことはスピーキングの上達のために絶対に欠かせません。
人に対してスピーキングができるようにオフラインとオンラインでの英会話をしていきましょう。機会をつくるにはいくつも方法があります。たとえば
- 異文化交流Meetupなどのイベントに定期的に参加する
- オンライン・オフラインでLanguage Exchangeなどに参加する
- 大学や会社の英会話サークル等に参加する・サークルをつくる
- 大学の留学生や会社の外国人社員などと友達になる
- オンライン英会話サービスを使う
- 語学学校に通う
- 留学する
僕はこの中のいくつかを実際にやりましたが、ひとつ言えることはスピーキングが上達するかどうかは結局のところ自分次第だということです。
- インプットをほどほどにしてたくさん話してフィードバックをもらう
- 常に英語で考えながら話す
- 新しく学んだ知識をスピーキングでとり入れて試す
といったことを能動的・積極的に続けていくことでスピーキング力が向上していきます。
英会話となると緊張してしまったり自信がなくて怖く感じる人も多いです。なのでうまくスピーキングするためにはメンタルも必要になってきます。
下の記事ではどうすれば自信をもって話せるようになるかについてアドバイスしているので参考にしてください。
英会話でスピーキングが苦手な人は自信をなくしてしまいがちです。そういった人はまず日々の自分の成長に注目しましょう。そして英会話ごとに小さな目標をもってそれを達成することに注力しましょう。この記事ではこの方法が効果的であるという理由と僕の経験をもとにしたアドバイスを提供しています。
まとめ
この記事では英語のスピーキングの勉強法についてまとめました。内容は以下のとおりです。
- まずは発音の勉強をして矯正しておく
- 独り言と自問自答で英文をつくる練習
- シャドーイングと演技でイントネーションと表現を学ぶ
- パラフレーズの練習
- 英会話フレーズとテクニックを学ぶ
- 文章の接続で理解しやすく話す
- 英文と話の構成を学んで論理的に話す
- 英会話での実戦練習
勉強することが多く思えるかもしれませんが、これらの勉強で得た知識やスキルはライティングにも使えるものが多く、さらにリスニングやリーディングの役にも立ちます。
また、英語の基礎力として単語・文法・イディオムを並行して学んでいくと、新しく知識を増やしてスピーキングでその知識を実際に使う、という学習のサイクルができあがります。英単語・イディオム・文法の勉強法は別の記事で詳しく解説しています。
英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。
英文法の勉強法で大切なのは知識ばかり増やしていないで、学んだ文法を使いまくることです。使える英文法を習得するためには「1冊の参考書」で「アウトプットを重視」して「英語で勉強」するという勉強法がシンプルかつ効果的だということを解説します。
スピーキングはあくまで英語学習の一部で、それ以外にも勉強することはたくさんあります。英語学習の全体の流れをロードマップとしたものを下の記事で解説しているので、勉強の参考にしてみてください。
英語学習は長く険しい道のりで、多くの人が成果が出せずに苦悩しています。この記事ではそんな人たちの助けになるように英語の勉強法とロードマップを公開します。オーストラリア・イギリスに計10年住む僕が実践した「海外で暮らし・働くための英語」を手にするための過程と勉強方法です。