英語のライティングは4技能のなかでも難しく、必要な知識やテクニックが多いです。個人の日記などであればまだいいのですが、他の人に見せるものや仕事でレポートを書くなどとなると英語そのものに加えて内容の良し悪しも求められるのでかなり難易度が上がります。
ライティングを上達させるには闇雲にたくさん書くよりも必要な知識を勉強してそれを応用しながら書く練習をしていくようにしないと、数をこなしてもなかなか質があがりません。さらに自分のライティングの問題点は添削をしてもらわない限り見つけることが難しいので、添削してもらえる環境も必要不可欠です。
この記事ではこれらを踏まえて、ライティングに必要となる知識とそのつけ方、テクニックとスキルの種類とその練習方法について解説していきます。
記事の内容
英語のライティングの勉強法
英語のライティングは知識をつけてスキル・テクニックを応用して文章を実際に書いていき、それを添削してもらって学んでいきという流れで上達していきいます。
ライティングに必要な知識をまとめると以下のようになります。
- 英単語と英文法
- 英語の文章構成を学ぶ
- エッセイのスタイルと書き方を学ぶ
- 文語表現の幅を広げる
これらを教材や英語の基礎勉強で底上げしていくとライティングの仕方や使える英語表現の幅が増えていきます。
さらに以下のライティングのスキルとテクニックを練習して身につけることで、ライティングの質を上げていきましょう。
- 日本語から訳さずに書く
- 英文はシンプルにミスを最小限にする
- パラフレーズを駆使する
たくさんありますが、実は日本語のライティングを国語の授業で習ったことと似ています。本質的な部分では英語でのライティングにも通用するので、練習していけばすぐに身につくものが多いです。
それでは1つずつ解説していきます。
ライティングに必要な知識
まずは英語のライティングに必要となる知識の習得ですが、教材を使って独学していくのが効率がいいです。
この知識は多いほうがいいですが、知識がたまるのを待つ必要はありません。知識をつけつつライティングを始めていきましょう。
それぞれの知識をつけるための勉強法を紹介していきます。
英単語と英文法
まずは基本となる英単語と英文法ですが、人によって勉強のしかたが違うところ僕がオススメするのはざっくりと以下の方法です。
- 英単語は他の勉強(リスニングやリ-ディングなど)で出てくる知らない単語を英英辞書で学ぶ
- 文法は「English Grammar in Use」で英語のまま考えて英文を自作しながら学ぶ
個人的には単語帳はおすすめしてません。なぜかというと単語帳はインプットばかりで学んだ単語を使わないのですぐに忘れる、さらに他の勉強をしてても十分に新しい単語が出てくるからです。
そして文法に関してはすでに中学高校でほぼ習っているので、どちらかというと復習をして自分で英文をつくり、英語で考えながら勉強することで英語脳をつくるという勉強法をおすすめしています。
賛否あると思いますが、理由や詳しい勉強法は下の記事で解説しているので気になる人は読んでみてくれると嬉しいです。

英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。

英文法の勉強法で大切なのは知識ばかり増やしていないで、学んだ文法を使いまくることです。使える英文法を習得するためには「1冊の参考書」で「アウトプットを重視」して「英語で勉強」するという勉強法がシンプルかつ効果的だということを解説します。
もし中学1年生レベルの単語や文法しかわからないとしてもライティングを始めていきましょう。ライティングは今使える英語力で読み手に伝えたいことを書いて伝えるスキルのことです。
英語の文章構成を学ぶ
英語でのライティングをする場合には文章の構成(Structure)についての知識が必要です。
日本語で小論文を書くときには序論・本論・結論という構成が1つの型となっているように、英語にも文章の型(構成)があるので、それを知っているだけで何をどういった順番で書けばいいのかがわかるようになります。
逆にライティングの構成のしかたを知らないと以下のような問題がおこります。
- そもそも何を書けばいいのかわからない
- 主張したいことがあるのに途中で論点がずれてしまう
- どこに要点があるかわかりにくい
- 主張に信憑性がない
英語のライティングでの構成はエッセイの書き方を基本の型として学ぶといろいろなスタイルへと応用がしやすいのでおすすめです。
エッセイの基本的な構成は以下のようになっています。
- Introduction
- Background
- Narrowing
- Thesis Statement
- Body
- Paragraph
- Topic Sentence
- Supporting Sentences
- Concluding Sentence
- Paragraph
- Topic Sentence
- Supporting Sentences
- Concluding Sentence
- Paragraph
- Conslusion
- Restatement
- Summary of Key Topics
- Concluding Statement
これらの説明は長くなるので別の記事にまとめますが、構成を意識したライティングの流れは以下のようになります。
- ライティングする題目に対して自分の主張を決める(Thesis statement)
- 自分の主張をサポートするためのトピックをいくつか考える(Topic sentenceのためのトピック)
- それぞれのトピックの例やエビデンスを考える(Supporting sentenceのネタ)
- 題目に対する背景やトレンドを考え、主張へと結びつける(Introduction)
- 1~4で考えたパーツを英文にしていき接続語を使って論理的につなげていく
大体はこの流れでライティングをすれば大抵のことはしっかりとした構成で文章を書けるようになります。
ライティングの文章構成については下の記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。

ライティングのコツの一つとして構成について解説します。構成は全体のパーツをつくることとそれをうまく組み合わせるために必要なスキルです。エッセイで使われる基本の型を用いて構成についての知識をつけましょう。
エッセイのスタイルと書き方を学ぶ
さきほどはエッセイの文章構成について書きましたが、Bodyの部分はエッセイのスタイルによって書き方を変える必要があります。
少しアカデミックなライティングになりますが、エッセイのスタイルにはいくつかの種類があります。例えば
- Description
- Cause and effect
- Problem and solution
- Argumentative
- Agree or disagree
- Personal opinion
- Recommendation
- Discussion
- Advantages and disadvantages
- Strengths and weaknesses
- Opportunities and constraints
エッセイの題目として指定される場合もあれば、自分で適切だと思うスタイルを選ぶこともあります。これらのスタイルによってどのような荒グラフを組み立てていくかを学んでおかないと、文章全体として目的を果たせなくなってしまい、見当違いなことを書いてしまうことにつながります。
例えば「Discuss the advantages and disadvantages of remote work」というライティングの題目であれば、BodyのParagraphは以下のように組み立てることができます。
- Paragraph 1: more job opportunities (advantage)
- Paragraph 2: reduction of traffic congestion (advantage)
- Paragraph 3: requires self-discipline (disadvantage)
- Paragraph 4: sense of isolation (disadvantage)
もしスタイルが変わればこのパラグラフの組み立てを変更してエッセイの題目にうまく答えられるように調整する必要があります。
いくつかのスタイルを混ぜることもできるので、まずはそれぞれのスタイルを勉強・練習して、慣れて来たら複数のスタイルを組み合わせてみるのもいいと思います。
このような違うスタイルでのライティングの書き方を教材を使って知識をつけていきましょう。
文語表現の幅を広げる
ライティングでは表現の種類によって使える単語やフレーズを整理して学んでおくと、実際に書くときに様々な書き方から適切なもの使えるようになります。
例えばエッセイを書くときにはConclusionを書きますが、Concluding sentenceの始め方にはお決まりの言い方があります(In conclusionやTo sum upなど)。
ライティングで役に立つ表現をいくつかまとめました。こういった表現の幅をひろげていくことでライティングをするときにいろいろな書き方ができるようになります。
表現の種類 | 例 |
---|---|
順序(始まり) |
|
順序(次) |
|
順序(終わり) |
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追加 |
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反対 |
|
結果 |
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原因 |
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要約やまとめ |
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例を与える |
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確証 |
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程度 |
|
これらの表現も同じ種類だとしても意味が微妙に違ったり、使いどころが違うこともあるので気をつけましょう。
表現の幅を増やすためにはいくつかの勉強法がありますが、おすすめは
- ライティングの教材で学ぶ
- 英単語の類義語や反意語を学ぶ
という方法です。
ライティングの教材では文語的な表現が多く、エッセイの構成に合わせた言葉なども紹介されているものがあるので役に立ちます。
英単語の類義語や反意語は英英辞書で調べるときに行うことで、いろいろな単語の意味の関係性によって記憶しやすくなります。あとはライティングで実際に使っていくことでつでも頭に浮かぶようにすることができれば表現の幅が広がります。
英英辞書を使った勉強のしかたについては下の記事を参考にしてください。

「英英辞典は難しすぎる」「上級者向けでしょ」といった意見が多いですがそれは難しい辞書を使ったことによる失敗やイメージが原因であることが多いです。この記事ではなぜ英英辞典が英語の勉強法において強力な道具になるのか、そして具体的にどうやって使えばいいのか書いていきます。
ライティングのテクニックとスキル
英語のライティングに必要な知識をつけながら実際に書く練習もしていきましょう。
ライティングをするときにはテクニックを練習しながら行うことで質を高めていくことができます。
ライティングに必要なテクニックとスキルは以下のとおりです。
- 日本語から訳さずに書く
- 英文はシンプルにミスを最小限にする
- パラフレーズを駆使する
これらを身につけるための勉強法を1つづつ解説していきます。
日本語から訳さずに書く
英語でライティングをするときには英語で考えてそのまま書くようにすることです。
逆によくある間違いが日本語で文をつくってから英語に直すという方法で、以下のような問題が起きてしまいます。
- 日本語の単語が英語ではわからない
- 英語の文法に直せない
- 不自然でおかしな表現のしかたになる
- 翻訳するので書くのに時間がかかる
ライティング力はいうなれば知っている英語だけで書いて相手に伝えるスキルです。なので和英辞書などに頼らずに限られた英語力で表現できるようになる練習が必要になります。
そのために必要なことが初めから常に英語でものごとを考えて、英文をつくってそのまま書くという書き方です。
常に英語で考えられるようにするには独学でもいいのでトレーニングが必要となります。下の記事ではその方法を解説しているので参考にしてください。

英語の上達に欠かせない英語脳のつくりかたについて解説しています。英語脳は意識して正しく勉強していけば誰にでも作ることができます。具体的な勉強方法と必要な考え方について詳しく説明していきます。
この英語脳ができれば自然と英語でアウトプットができるようになり、勉強すればするほど英語コミュニケーション力が向上するようになります。優先的にトレーニングすることをおすすめします。
英文はシンプルにミスを最小限にする
実際にライティングをする際には自分の知っている範囲の単語、文法、知識で書くようにすることが重要です。
そのためにはなるべく以下の2つを意識しましょう。
- シンプルな表現で書く「Keep it simple」
- ミスを最小限にする「Minimise mistake」
よくやってしまうのがムリに難しい言葉や言い回しをしようとすることです。日本語から英語に翻訳してしまうと同じように難しく考えてしまうことが多いです。しかし日本語と英語では表現力に差があるのでうまく英語に落とし込むことは難しいです。
もう1つ大切なことがミスを最小限にすることです。たとえば以下のような点で間違いをなくすようにしましょう。
- 冠詞(a, an, the)
- 前置詞
- 単数・複数形
- 文法の時制
- スペル
- コンマやピリオドの使い方(Punctuation)
- 大文字と小文字
どれも小さなことですが、こういった点でのミスは極力しないように書き終わってからチェックするようにしましょう。
English Clubの記事に役に立つ情報があるので、こういった教材を使って自分のライティングをチェックするのも良いかと思います。
パラフレーズを駆使する
英語のライティングではパラフレーズ(言い換え)をしていろいろな表現で書けるように練習しましょう。
ライティングで何度も同じ言葉を繰り返していると文章が単調になってしまうので、意味を変えずに単語や言い回しを変えて表現することによって読み手にとって没入感があるライティングになります。
しかしいきなりパラフレーズをしろ、といわれてもそう簡単にはできないものです。なぜなら英語から日本語に訳すと「fast = 速い」というように1対1で覚えてしまい、「fast, quick, rapid, instantly, in a short time」など他の英語で表現する機会がないからです。
そこでおすすめの勉強法はさきほども書いたように英単語を調べるときに英英辞典を使うことです。なぜなら英英辞典での単語の説明がパラフレーズそのものなので、いろいろな単語の説明を読むうちにパラフレーズのしかたや英語を英語で説明する方法を学ぶことができるからです。
そしてライティングでは最初に頭に浮かんだ言葉をわざと別の言い方に替えて書くようにしてみましょう。そうすると自分の頭で考えてパラフレーズする練習になります。もし思いつかなかったら英英辞書で調べればわかるので詰まって先に進めないということはないはずです。
添削してもらう
ライティングの勉強のために添削をしてもらうようにしましょう。
ライティングに関しては誰かに頼まないかぎりフィードバックを得られません。そしてフィードバックがないとどこが悪いのかを自分で判断できないのでなかなか上達しません。
添削してもらうときに意識しておきたいことを書いていきます。
- 全体の流れが自然に論理的に書かれているか
- 構成がわかりやすく正しく接続詞などでつながっているか
- Thesis StatementとTopic Sentencesが矛盾していないか
- Topicに対して例文が機能しているか
- 文法に間違いがないか
- 正しいもしくは自然な単語が使われているか
- スペルミスは無いか
添削されて間違いの指摘や修正された箇所は質問してなぜダメなのかしっかりと理解しましょう。
また、添削する人によって修正のされ方が変わってくるので、複数の人に代わる代わる添削してもらうと個人の癖などに影響されにくくなります。添削する人にも上手い人とそうでもない人がいるので、自分にあった人を探すことも必要になるかもしれません。
練習用のライティングでは新しい単語や表現を使っていくように言いましたが、添削してもらうときにしっかりと質問するようにすると理解が深まります。単語などは、意味合いは同じだけど特定のシチュエーションで使い分けられたりすることが多々あります(Word Choice)。
この違いは添削してもらわないとなかなか学習できないので、もし修正されなかったとしてもどのような違いがあるのか・どう使い分けるのか質問するといいと思います。
まとめ
この記事では英語のライティングの勉強法を知識とテクニックの両面から紹介しました。内容をまとめると以下のようになります。
- ライティングに必要な知識をつける
- 英単語と英文法
- 英語の文章構成を学ぶ
- エッセイのスタイルと書き方を学ぶ
- 文語表現の幅を広げる
- ライティングのテクニックを習得する
- 日本語から訳さずに書く
- 英文はシンプルにミスを最小限にする
- パラフレーズを駆使する
- 添削してもらう
ライティングの一番の問題は添削してもらわないと間違いがわからない、そして質問しないとなぜ間違っているのかがちゃんと理解できないということです。
スピーキングはうまくできないと自分でもすぐに気づけることが多いですが、ライティングは違います。なので添削をしてもらい自由に質問できる環境が必要となります。オンラインのサービスなどをうまく使って継続的に勉強できるようにしましょう。
ライティングは自分で英文をつくる良練習になり、間接的に他の技能の上達を助けてくれます。リーディングに偏ってしまわないようにライティングでのアウトプットも心がけていくことが英語力全般の底上げには欠かせません。
ライティングも含めた英語の勉強法については下の記事で紹介しているので、興味があれば読んでみてください。

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