オーストラリアで就職したいと思っている人には「留学から新卒で就職」や「日本から転職」というようにいろいろなパターンがあります。
それぞれの状況によって就活のしかたは変わってきますが、この記事ではオーストラリアで留学する予定もしくはしている人を想定して書いていきます。ちなみに英語では就活を「job hunting」と言います。
日本での就活の違いや僕自身の経験も交えて就活のしかたと必要になるものを紹介していきます。
記事の内容
オーストラリアでの就活と日本との違い
オーストラリア現地で就職をしようとするとこっちのやり方を知らないとかなり不利になってしまいます。
なので就活の流れと日本での就活との主な違いを簡単に確認しましょう。
就活の流れ
オーストラリアでの採用は以下のような手順で行われます。
この流れは日本の就活とほぼ同じですが「いつやればいいのか」や「何が大切なのか」といったことが大きく違ってきます。
採用期間
まず採用期間ですが、ポジションに空きができたりチームを拡大するときに必要に応じて企業は採用を始めます。
なので基本的にはある一定の時期に一斉に30人くらい採用するといったことはほぼありません。
ただしオーストラリアにも実は新卒採用というものがあり(Graduate Programと呼ばれてます)、これは大学がの卒業の時期と合わせて募集や面接などが行われます。
僕の場合も大学院在籍中にこのGraduate Programに応募して面接などを経て卒業する前にオファー(内定)をもらうことができました。
これは政府関係や大企業が多いので、中小だと決まった時期に採用というのは少ないです。
なので新卒やいわゆる第2新卒の人はこのシステムを活用しながらも、オーストラリアでは求人情報を常にチェックしておく必要があるということです。
外国人として扱われる
オーストラリアではもちろん外国人としての扱いになるので採用する側としては一種の不安材料になります。
とくに気を付ける点としては
といったことです。こういったことは実際に面接などで確認することが多いです。
オージーと同じように考えなければいけないということではなく、あくまで違う価値観を尊重できるかということがポイントになると思います。
服装や身だしなみ
もう一つ日本での就活と大きく異なるのが服装・身だしなみです。
オーストラリアのような英語圏では割とゆるく、日本のリクルートスーツだったり長い髪を縛ったりということは必要ありません。
それよりも清潔感をもってフレンドリーにな印象を与えるほうがうまくいきやすいというのが僕の考えです。
相手に失礼かどうかよりも一緒に働きたいかどうかが重要になってくるので、その視点で準備するようにしましょう。
あとは面接でのマナーみたいなのはほぼありません。面接だからノックは何回だとか勝手に椅子に座ったらダメとかいう理不尽なことはないので心配はいりません。それよりもスマイルを忘れずに面接が終わったら面接官と友達になれるくらいに友好的な印象を与えることが大事です(結局は一緒に働きたいと思われるかどうか、ということです)。
オーストラリアで職を得るために必要なもの
オーストラリアで就活をする際のアピールポイントと必要なものは以下の通りです。
たくさんあって大変と思いきや・・・やっぱり大変です(汗)
すぐに成果を出せるものが少ないし運にも左右されるのでとにかく早く準備を始めていくことが大事です。
それぞれもう少し深く見ていきましょう。
スキルと専門性
オーストラリアを含む海外で採用されるためには、いかに即戦力であるかがものすごく重要になります。
なぜなら日本人のように何十年も同じ企業で働くことが珍しく、企業側も社員の教育やトレーニングに投資をしたくないからです。
そこで現時点で応募するポジションに求められるスキルと専門性をもっていることが必要になります。
具体的には
といったことでアピールしていく必要があります。たとえ新卒だとしてもできることはあるので工夫をして採用側を納得させられるようにしましょう。
英語力
就活においてはIELTSなどのテストのスコアは役に立ちません。
なぜならオージーは英語の試験のことなど知らないので評価しようがないからです。(日本で外国人を採用するときも「日本語能力検定2級ってどれくらいだよ・・・」と感じるのと同じです。)
それよりも実際に問題なく意思疎通できるかどうかで判断されます。
とはいえある程度の目安があったほうが良いと思うので、最低でもIELTS6.5と言っておきます。
それでもスムーズに意思疎通できないこともあれば上手くできる場合もあります。
大事なのは英語力はなるべく高くしつつも面接の練習などでカバーしていくことです。
ビザ
オーストラリアで働くためには相応のビザが必要になります。
法的に働けるビザは
などがありますが、これらの要件やビザの種類は毎年のように変わるのでしっかりと自分でリサーチすることをおすすめします。
基本的には「若い」「特定のスキルをもっている」「高い学歴がある」「英語力が高い」というように就職に必要なものと似ているので、就職とビザは鶏と卵の関係です。
Department of Home Affairs: Immigration and Citizenshipは英語ですが政府公式の最も信用できるソースです。このサイトを読んでしっかり理解するためにも英語力を高めていきましょう:)
僕はビザ代行サービスなどは使わずに自分で何度もこのサイトで要件や手順をリサーチしてからアプリケーションをそろえて申請し、無事に永住権を手にすることができました。
ローカルの経験
オーストラリアは英語圏であるもののやはりローカルでの経験がある人は少し有利になります。
経験といっても職務経験だけでなく以下のようなことも考慮されます。
なぜこういったことも考慮されるのかというと、外国人を採用するとホームシックになって仕事を辞めたり、住んでみたらつまらなくてイヤになったりする人がいるからです。
本人でも予期できない事だったりするので採用する側もなるべくそういったことが起こらない人が欲しいわけです。そんなときに「前に半年ほど住んでいた」とか「親戚が近くにいる」となれば採用する側も安心するというわけです。
ちなみに僕はオーストラリアからイギリスの仕事の面接を受けたときに知り合いがイギリスにいるか質問されました。そのときは「友達がロンドンに住んでいるので会いに行きたいと思ってます。」と答えました・・・実はウソなんですがバレないので問題ありません(汗)無事にオファーももらえました:)
人脈
日本の就活でも大事だといわれますがオーストラリアでも人脈というのは役に立ちます。
なぜなら企業からすると求人広告を出したり転職エージェントに依頼するとものすごい出費になるのに対して、すでに知っている人を採用するとなるとそのコストをおさえられて信用できる人を採用できるからです。
企業からすると新しく人を雇うというのはかなり費用と時間がかかり採用した人材の質にもリスクがつきまといます。
なので彼らから見た人脈であるあなたを選択肢に入れる可能性は十分にあるということです。
もう一つ人脈が大切な理由は、求人広告にでてこないポジションが8割ほどある(らしい)ということです。
なのでたとえ求人をチェックしてなかなか応募できそうな職がなかったとしても人づてで求人を知ることができる可能性があるということです。
ちなみに僕の大学院でのクラスメイトは人脈で新卒のポジションをゲットしました。このあたりの話はまた別の記事でしたいと思ってるので楽しみにしていてください:)
こういったことから、スキルや英語だけでなく人脈を築けるような活動をしていくことも大切になります。
アプリケーション
人脈ですぐに職が見つかれば最高なのですが現実ではやはり難しいです。なので求人をみつけて応募していく必要があります。
そのときに必要となるものが以下を含むジョブアプリケーションです。
履歴書に書いた内容がポジションに求められるスキルや経験を満たしていないと判断されたらその時点で採用の望みはなくなります。なのでしっかりと応募するポジションに求められる要素を満たすように書く必要があります。
カバーレターでも同じように自分がポジションに適しているということを証明できるようにアピールする必要があります。フォーマルな文体になるのでライティングの練習や添削は必須です。
最後のポートフォリオはあまり要求されることはないと思います(建築家などを除いて)。しかしだからこそ他の応募者との差別化ができる、というのが僕の考えです。たとえ職歴がなくとも大学でのプロジェクトや個人プロジェクトなどをして採用者にスキルを見せられるようにしておくと一気に信用されやすくなります。
スキルだけでなくその職種への興味や熱意なども伝わりやすくなるのでおすすめの方法です。専門分野にもよりますが工夫してプロダクト・サービス・実験などを実績としてアピールしていきましょう:)
面接
アプリケーションが通れば晴れて面接に呼ばれます。面接に辿り着けた時点でかなり採用の確率は高くなり、少なくともアプリケーションの質が認められたということになります。
面接ではもちろん英語でのコミュニケーション力が試され、それに加えて
というような内容を話すことになります。
新卒だとこれらをまんべんなく聞かれることもありますが、経験者が転職する場合には専門の知識といった即戦力かどうかの見極めに重点をおくこともあります。
僕はこれまで4回転職して10回以上の面接をしたことがありますが、やはり職種・役職・企業の規模によっても重要視することが違っていました。なので一概には言えませんが、やはり専門的な知識と経験に関する質問は必ずあって時間を割いていることが多かったです。
面接にうまく対応するためにも自己理解やこれまでの経験の棚卸、対話の練習などを早めにはじめてしっかりと準備していくことが大切です。
まとめ
日本人がオーストラリアで就職する際の就活(job hunting)のしかたについて、日本での就活との違いを交えて紹介しました。
まとめると以下のようになります。
オーストラリアでの就活の流れ:
日本との主な違い:
就活で必要になるもの:
書いているうちについ楽しくなってたくさん書いてしまいました。振り返ってみるとけっこういろいろな経験や挑戦をしてきたと思うので皆さんとシェアできればいいかなと思っております。
個人的にはオーストラリアで活躍する日本人が増えればおもしろくなると思います。これまで僕自身が職場で唯一の日本人として働いてきて感じたことは
- 働き方の違いや価値観の違いがお互いに刺激になる
- 日本では当たり前なことがオーストラリアでは強みになる
- オージーにとって日本人の採用に好意的になる
などです。こうした経験は人生でなかなか出来ることではないのでチャレンジする価値はあると思います。必要なことをしっかりとリサーチしてとにかく早めに行動していきましょう!