オーストラリアでの就活の流れと必要なものを現地エンジニアが解説

takto, 2021 March 19

Category: 海外で就職する方法

  • 「オーストラリアで大学を卒業予定だけど現地でどう就活すればいい?」
  • 「オーストラリアで就職したいけど何をすればいいのかわからない・・・」

オーストラリアで就職したいと思っている人には「留学から新卒で就職」や「日本から転職」というようにいろいろなパターンがあります。

それぞれの状況によって就活のしかたは変わってきますが、この記事ではオーストラリアで留学する予定もしくはしている人を想定して書いていきます。ちなみに英語では就活を「job hunting」と言います。

日本での就活の違いや僕自身の経験も交えて就活のしかたと必要になるものを紹介していきます。

僕について少しだけ。日本の大学を卒業してからオーストラリアに語学留学。そして現地で工学の専攻で大学院を卒業して新卒未経験で技術者として就職しました。

オーストラリアでの就活は大学院に入ると同時に始めて、様々な方法を試しながらなんとか2年弱で仕事をゲットしました。

その後も転職をしたり人事の選考を手伝ったり面接官になったりもしたのである程度ノウハウはあるのでそれらをシェアしていこうと思います。

オーストラリアでの就活と日本との違い

オーストラリア現地で就職をしようとするとこっちのやり方を知らないとかなり不利になってしまいます。

なので就活の流れと日本での就活との主な違いを簡単に確認しましょう。

就活の流れ

オーストラリアでの採用は以下のような手順で行われます。

  1. 求人を探す
  2. 仕事に応募する:ジョブアプリケーション(履歴書・カバーレター・ポートフォリオ)
  3. 面接を受ける
  4. オファーをもらう
  5. 契約書にサインする
  6. 働き始める

この流れは日本の就活とほぼ同じですが「いつやればいいのか」や「何が大切なのか」といったことが大きく違ってきます。

採用期間

まず採用期間ですが、ポジションに空きができたりチームを拡大するときに必要に応じて企業は採用を始めます。

なので基本的にはある一定の時期に一斉に30人くらい採用するといったことはほぼありません。

ただしオーストラリアにも実は新卒採用というものがあり(Graduate Programと呼ばれてます)、これは大学がの卒業の時期と合わせて募集や面接などが行われます。

僕の場合も大学院在籍中にこのGraduate Programに応募して面接などを経て卒業する前にオファー(内定)をもらうことができました。

これは政府関係や大企業が多いので、中小だと決まった時期に採用というのは少ないです。

なので新卒やいわゆる第2新卒の人はこのシステムを活用しながらも、オーストラリアでは求人情報を常にチェックしておく必要があるということです。

外国人として扱われる

オーストラリアではもちろん外国人としての扱いになるので採用する側としては一種の不安材料になります。

とくに気を付ける点としては

  • 英語での意思疎通が十分にできるか
  • 文化や考え方の違いで一緒に働きにくくないか
  • オーストラリアの慣習や価値観を理解しているか

といったことです。こういったことは実際に面接などで確認することが多いです。

オージーと同じように考えなければいけないということではなく、あくまで違う価値観を尊重できるかということがポイントになると思います。

服装や身だしなみ

もう一つ日本での就活と大きく異なるのが服装・身だしなみです。

オーストラリアのような英語圏では割とゆるく、日本のリクルートスーツだったり長い髪を縛ったりということは必要ありません。

それよりも清潔感をもってフレンドリーにな印象を与えるほうがうまくいきやすいというのが僕の考えです。

相手に失礼かどうかよりも一緒に働きたいかどうかが重要になってくるので、その視点で準備するようにしましょう。

あとは面接でのマナーみたいなのはほぼありません。面接だからノックは何回だとか勝手に椅子に座ったらダメとかいう理不尽なことはないので心配はいりません。それよりもスマイルを忘れずに面接が終わったら面接官と友達になれるくらいに友好的な印象を与えることが大事です(結局は一緒に働きたいと思われるかどうか、ということです)。

オーストラリアで職を得るために必要なもの

オーストラリアで就活をする際のアピールポイントと必要なものは以下の通りです。

  • スキルと専門性
  • 英語力
  • ビザ
  • ローカルの経験
  • 人脈
  • アプリケーション
  • 面接

たくさんあって大変と思いきや・・・やっぱり大変です(汗)

すぐに成果を出せるものが少ないし運にも左右されるのでとにかく早く準備を始めていくことが大事です。

それぞれもう少し深く見ていきましょう。

スキルと専門性

オーストラリアを含む海外で採用されるためには、いかに即戦力であるかがものすごく重要になります。

なぜなら日本人のように何十年も同じ企業で働くことが珍しく、企業側も社員の教育やトレーニングに投資をしたくないからです。

そこで現時点で応募するポジションに求められるスキルと専門性をもっていることが必要になります。

具体的には

  • ポジションと同じか似た学歴がある
  • 似た仕事での職務経験がある
  • 歩んできたキャリアに一貫性がある

といったことでアピールしていく必要があります。たとえ新卒だとしてもできることはあるので工夫をして採用側を納得させられるようにしましょう。

英語力

就活においてはIELTSなどのテストのスコアは役に立ちません。

なぜならオージーは英語の試験のことなど知らないので評価しようがないからです。(日本で外国人を採用するときも「日本語能力検定2級ってどれくらいだよ・・・」と感じるのと同じです。)

それよりも実際に問題なく意思疎通できるかどうかで判断されます。

とはいえある程度の目安があったほうが良いと思うので、最低でもIELTS6.5と言っておきます。

それでもスムーズに意思疎通できないこともあれば上手くできる場合もあります。

大事なのは英語力はなるべく高くしつつも面接の練習などでカバーしていくことです。

ビザ

オーストラリアで働くためには相応のビザが必要になります。

法的に働けるビザは

  • 永住権
  • Temporary Skill Shortage visa
  • ワーキングホリデー
  • 学生ビザ

などがありますが、これらの要件やビザの種類は毎年のように変わるのでしっかりと自分でリサーチすることをおすすめします。

基本的には「若い」「特定のスキルをもっている」「高い学歴がある」「英語力が高い」というように就職に必要なものと似ているので、就職とビザは鶏と卵の関係です。

Department of Home Affairs: Immigration and Citizenshipは英語ですが政府公式の最も信用できるソースです。このサイトを読んでしっかり理解するためにも英語力を高めていきましょう:)

僕はビザ代行サービスなどは使わずに自分で何度もこのサイトで要件や手順をリサーチしてからアプリケーションをそろえて申請し、無事に永住権を手にすることができました。

ローカルの経験

オーストラリアは英語圏であるもののやはりローカルでの経験がある人は少し有利になります。

経験といっても職務経験だけでなく以下のようなことも考慮されます。

  • その地に住んでいる・過去に住んだことがある
  • 家族・親戚・友人がいる

なぜこういったことも考慮されるのかというと、外国人を採用するとホームシックになって仕事を辞めたり、住んでみたらつまらなくてイヤになったりする人がいるからです。

本人でも予期できない事だったりするので採用する側もなるべくそういったことが起こらない人が欲しいわけです。そんなときに「前に半年ほど住んでいた」とか「親戚が近くにいる」となれば採用する側も安心するというわけです。

ちなみに僕はオーストラリアからイギリスの仕事の面接を受けたときに知り合いがイギリスにいるか質問されました。そのときは「友達がロンドンに住んでいるので会いに行きたいと思ってます。」と答えました・・・実はウソなんですがバレないので問題ありません(汗)無事にオファーももらえました:)

人脈

日本の就活でも大事だといわれますがオーストラリアでも人脈というのは役に立ちます。

なぜなら企業からすると求人広告を出したり転職エージェントに依頼するとものすごい出費になるのに対して、すでに知っている人を採用するとなるとそのコストをおさえられて信用できる人を採用できるからです。

企業からすると新しく人を雇うというのはかなり費用と時間がかかり採用した人材の質にもリスクがつきまといます。

なので彼らから見た人脈であるあなたを選択肢に入れる可能性は十分にあるということです。

もう一つ人脈が大切な理由は、求人広告にでてこないポジションが8割ほどある(らしい)ということです。

なのでたとえ求人をチェックしてなかなか応募できそうな職がなかったとしても人づてで求人を知ることができる可能性があるということです。

ちなみに僕の大学院でのクラスメイトは人脈で新卒のポジションをゲットしました。このあたりの話はまた別の記事でしたいと思ってるので楽しみにしていてください:)

こういったことから、スキルや英語だけでなく人脈を築けるような活動をしていくことも大切になります。

アプリケーション

人脈ですぐに職が見つかれば最高なのですが現実ではやはり難しいです。なので求人をみつけて応募していく必要があります。

そのときに必要となるものが以下を含むジョブアプリケーションです。

  • 履歴書(レジュメ)
  • カバーレター
  • ポートフォリオ

履歴書に書いた内容がポジションに求められるスキルや経験を満たしていないと判断されたらその時点で採用の望みはなくなります。なのでしっかりと応募するポジションに求められる要素を満たすように書く必要があります。

カバーレターでも同じように自分がポジションに適しているということを証明できるようにアピールする必要があります。フォーマルな文体になるのでライティングの練習や添削は必須です。

最後のポートフォリオはあまり要求されることはないと思います(建築家などを除いて)。しかしだからこそ他の応募者との差別化ができる、というのが僕の考えです。たとえ職歴がなくとも大学でのプロジェクトや個人プロジェクトなどをして採用者にスキルを見せられるようにしておくと一気に信用されやすくなります。

スキルだけでなくその職種への興味や熱意なども伝わりやすくなるのでおすすめの方法です。専門分野にもよりますが工夫してプロダクト・サービス・実験などを実績としてアピールしていきましょう:)

面接

アプリケーションが通れば晴れて面接に呼ばれます。面接に辿り着けた時点でかなり採用の確率は高くなり、少なくともアプリケーションの質が認められたということになります。

面接ではもちろん英語でのコミュニケーション力が試され、それに加えて

  • 経歴の確認
  • 志望動機
  • 専門的な知識や経験
  • 価値観や働き方に対する考え
  • チームでの仕事力
  • 今後のキャリアの計画や目標
  • 応募するポジションや企業への質問

というような内容を話すことになります。

新卒だとこれらをまんべんなく聞かれることもありますが、経験者が転職する場合には専門の知識といった即戦力かどうかの見極めに重点をおくこともあります。

僕はこれまで4回転職して10回以上の面接をしたことがありますが、やはり職種・役職・企業の規模によっても重要視することが違っていました。なので一概には言えませんが、やはり専門的な知識と経験に関する質問は必ずあって時間を割いていることが多かったです。

面接にうまく対応するためにも自己理解やこれまでの経験の棚卸、対話の練習などを早めにはじめてしっかりと準備していくことが大切です。

まとめ

日本人がオーストラリアで就職する際の就活(job hunting)のしかたについて、日本での就活との違いを交えて紹介しました。

まとめると以下のようになります。

オーストラリアでの就活の流れ:

  1. 求人を探す
  2. 仕事に応募する
  3. 面接を受ける
  4. オファーをもらう
  5. 契約書にサインする
  6. 働き始める

日本との主な違い:

  • 採用期間が通年(決まった時期に行われる新卒採用もある)
  • 外国人として扱われるので英語力だけでなく文化や価値観の違いも関わる
  • 服装・身だしなみ・マナーはゆるい

就活で必要になるもの:

  • スキルと専門性を証明する
  • 英語力を高めておき練習でカバーする
  • ビザと就職に必要なものは似ているので両方とるつもりで準備する
  • ローカルの経験があると採用側の不安を和らげられる
  • 人脈をもてるように活動する
  • アプリケーションの質を高めて面接へ進める確率を上げる
  • 面接の準備と練習をして本番では友好的にコミュニケーションできるようにする

書いているうちについ楽しくなってたくさん書いてしまいました。振り返ってみるとけっこういろいろな経験や挑戦をしてきたと思うので皆さんとシェアできればいいかなと思っております。

個人的にはオーストラリアで活躍する日本人が増えればおもしろくなると思います。これまで僕自身が職場で唯一の日本人として働いてきて感じたことは

  • 働き方の違いや価値観の違いがお互いに刺激になる
  • 日本では当たり前なことがオーストラリアでは強みになる
  • オージーにとって日本人の採用に好意的になる

などです。こうした経験は人生でなかなか出来ることではないのでチャレンジする価値はあると思います。必要なことをしっかりとリサーチしてとにかく早めに行動していきましょう!

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Takto

セルフィー

海外(オーストラリアとイギリス)在住歴計10年ほどの takto です。ブログを通じて英語の勉強をサポートできればと思っています。

経歴:

  • 大学生の時にTOEIC330点から英語学習を開始
  • オーストラリアの語学学校へ留学・そのあとの大学院留学時にIELTS 6.5達成
  • 大学院修了時にIELTS 7.5達成
  • そのまま現地企業にエンジニアとして就職

プロフィールその1:ブログ主の過去と転換点

プロフィールその2:希望とともに行動に移す

プロフィールその3:絶望的な英語力と上達しないフラストレーション、そして道が開ける


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takto-english@takto-explorer.com

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