オーストラリアで就職したいなら学歴が大事?個人の経験から解説

takto, 2021 March 20

Category: 海外で就職する方法

  • 「学歴が低くてもオーストラリアで就職できる?」
  • 「どれくらいの学歴があれば就職で有利になるの?」

オーストラリアで就職を目指している人はこういった疑問をもつと思います。僕も留学する前にいろんなことを考えて悩んでいました。

結論から言うと、専門的なスキルが必要な職を得るためには学歴が重要になります。

しかしただ学歴が重要といっても、どれくらい重要なのか、学位はどうなのか、成績は大事なのかといった疑問が残ると思います。

そこでこの記事ではさらに踏み込んで「学位」「大学のネームバリュー」「日本の学歴」「成績」についてそれぞれ現地での就職に与える影響について僕の経験をもとにして解説していきます。

僕はオーストラリアの大学院を卒業して新卒で技術者として就職しました。その後も3回転職をして採用する側の経験もあります。

この経験をもとにして学歴の重要性や準備すべき事などをアドバイスできればと思っています。

この記事の内容は僕の経験によるところが大きく、とくに技術職の場合に当てはまることが多いのでご了承ください:)

オーストラリアは学歴社会

オーストラリアで専門的なスキルが必要な職に就きたいとなると学歴が重要になります。

学歴と一口に言っても以下のようにいろいろな要素を総合的にみて評価されます。

  • 出身大学
  • 学位
  • 専攻
  • 成績
  • 学内での活動

これらを総合的にみて最終的には「企業にとってプラスになるか」「即戦力であるか」といった視点で判断されることが多いです。

逆に人種、年齢、性別などで判断されることは(建前上は)ないです。(この辺のことはまた別の機会に書こうと思います)

学歴でもとくに学位と専攻については仕事の応募の条件として明示されていることが多いです。

例えば求人でも

Applicant must hold a Bachelor degree of Engineering, Science or Technology.

などと書かれているのをよく目にします。

ただし関連する職務経験がある場合には考慮する、という場合も多いです。たとえば

You must have Masters in Business or have at least 2 years of relevant experience.

つまりたとえ高卒でも職務経験があれば大丈夫、というものですがそもそもの職務経験を積むために学位が必要だったりするので難しいところです。日本で経験がある人は使えるので絶対にアピールしましょう:)

結局のところ応募条件を満たすためにも学歴は重要になることが多いですが、採用側としては即戦力が欲しいのでそれさえ証明できれば仕事をとれる可能性を高めることはできるということです。

それに学歴がどうしても必要なら社会人であってもとれるので、いっそ留学してしまうというのももちろん選択肢になります。

学位による有利不利

学歴が大事だからといって学位が高ければいいということではありません。

学位には博士・修士・学士・ディプロマなどがありますが、それぞれで採用側の都合があるのでその理解をしておく必要があります。

博士(PhD)

日本でも就職に有利だから博士をとろう、ということにはならないと思いますがオーストラリアでも同じです。

実際に採用するほうから見ても博士をもっている人というのは以下の点で採用機会が減る傾向にあります。

  • 給与ベースがある程度学位に応じて決まっていることがあり博士だと高くなってしまう
  • 仕事内容が博士にそぐわない(over-qualified)

博士は専門的な知識や経験に加えて素養が高い人が多いですが、世の中ではそれを活かすための仕事そのものが少ないです。そのため博士をもっていれば即戦力になるとは一概に言えないので採用側も博士枠ではポジションを用意しないことが多いです。

そのかわり研究職や大学でのポジションには必要なこともあるので競争を避けて就活することができるメリットもあります。さらにビザで有利になりやすいこともあり(要確認)、それを目的に博士を取る人もいるくらいです(僕の知り合いにも何人かPhDもちがいますが就職先が見つからない人も多いので一概におすすめはできません・・・)。

修士(Masters)

修士はオーストラリアでいうところのMastersで、大学院を卒業すればもらえます。

修士の良いところはMastersが求められる職に応募できるかたわら学位枠でのポジションでも採用してもらえる可能性があることです。

さらに学士を取り直す場合と比べて2年ほどで済むので費用もある程度おさえることができます(それでも高いですが・・・)。

不利な点としては学士の給与ベースで雇われるかもしれないということです。しかし1~2年くらいで転職してしまえば給与アップもできるのでまずはオーストラリアでの最初の就職を果たすことが最優先なので大きな問題だとは思いません。

ちなみにMastersではなく「Graduate Diploma」や「Graduate Certificate」という学士と修士の中間の学位もあり、これらでもちゃんとした学歴として認められます。ただしビザの取得に関して有利にならない場合もあるので確認しておく必要があります。

学士(Bachelor)

専門的なポジションで就職をしたい場合には学士(Bachelor)が求人も多く学位のレベルもover qualifyしづらいのでおすすめできます。

Bachelorでの強みはインターンシップなどの機会も多めだったり大学側が紹介してくれる場合もあるので就職のサポートは修士よりも手厚いということです。

無給でもインターンで経験をつめれば他の応募者よりも一歩先に行けるのでかなりの強みになります。

ただし学士をもっている人は当然修士よりも多いので競争が激しくなります。その中でどう自分を差別化していくかが重要になってきます。

ほかには期間が長くなる(3~4年)ため、時間がかかりさらに学費が高くなってしまうのが一番の問題点かもしれません。これらを減らすためにも転入や単位のトランスファーができないかリサーチしてみましょう。

専門学校(Diploma/Certificate)

オーストラリアにも専門学校・職業訓練校のようなものがあり、TAFE (Technical and Further Education) と呼ばれています。

TAFEを卒業すればDiplomaやCertificateという学位をえることができ、専門的なスキルを必要とする職での就職に有利になります。

たとえば「グラフィックデザイン」「電気技師」「ホスピタリティー」「セラピスト」といったいわゆる「手に職」系の職業で就職したい場合にはいい選択肢になります。

とくに特定のスキルを伸ばすためのプログラムを受けられるので、実務経験をつむためのインターンにもつなげられる場合があります。

ただしポジションが限られたりマネージャーのようなポジションにつくにはさらに上の学位、もしくは相応の学歴を要求されることもあるのでその点には注意しておく必要があります。まずは就職して働きながら大学に通うということもできるのでそのあたりは柔軟に対応できます。

どの学位をもっていたとしても採用側からすれば「そのポジションにとって高すぎず低すぎず」の学位でなおかつ「即戦力である」人を求める傾向が強いです。

さらに自分がどういった職業で働きたいかというのが大事なので折り合いをつけて考えていくことが大切なのはどの学位をとるにしても変わりません。

出身大学による差はあるのか

オーストラリアにも大学ランキングのようなものがありますが、そこまで気にする必要はないというのが僕の考えです。

よくあるランキングだと「Australian National University」とか「University of Melbourne」とかが上位にきていますが、だからといって上位の大学でないといけないということはありません。

感覚としては確かに上位の大学を優先しているような企業もあります(とくに大企業)。しかし採用する側には他にもいろいろと考えがあります。たとえば

  • 専攻がポジションにマッチしているか
  • 職場と同じ町や州での学歴
  • これまで採用してきた人の学歴(採用リスクの軽減)

少し個人的な考えでもありますが、採用側はリスクを嫌っている人が多く、たとえ有名な大学(MITとか)の出身だったとしても今まで採用したことのない大学出身者だと考えてしまう、というようなこともあります。

逆にローカルの大学出身だとそれだけで信用できるというか安心できることもあり、好意的になる採用者もよくいます。

「オーストラリアみたいな英語圏では合理的にものごとを判断するんじゃなかったの?」と思うかもしれませんが案外感情的な部分もあります。(最近では採用する側の仕事にも関わるので生の意見を聞いているとそういう部分があるのも事実です)

日本の学歴は評価されるのか

すでに日本の学歴をもっている場合はどうなのかというと、とくに有利になることは少ないと思ったほうがいいです。

日本の学歴は日系企業に入る場合などでは評価されやすいかもしれませんが、ローカル企業となると特段有利になることはありません。むしろローカルの学歴を持った人を優先される可能性のほうが高いので不利になる可能性のほうが高いです。

とはいえ日本の学歴でもいくつかの対策は可能です。たとえば

  • 専門分野がしっかりとポジションにマッチしていることを強調する
  • オーストラリアの学歴と同等だということを証明する
  • 即戦力になるような日本での実績をアピールする
  • オーストラリアでも通用するスキルであることをアピールする

まず専門性がしっかりとマッチしていることが重要で、そうでなければ職務経験でカバーしないと門前払いになる確率がかなり高くなってしまいます。

日本の大学について知っている人はかなり少ないので、それに頼ろうとせずに自分が何を学びどういった実績を残したのかをアピールしないとローカルの学歴を持った人に対抗するのはかなり厳しいです。

それ以外にも日本の学歴がオーストラリアでの学歴と同等であるということを伝えることも多少は有効です。

僕の場合には日本の学士があったのですが、それがオーストラリア基準のBachelor degreeに相当していることをアピールしていました。実際にどれほどの効果があったのかは確かではないですが、少なくとも多少は採用側の不安を和らげる効果はあったかと思います。(詳しくはまた別の記事で)

これらの対策をしたとしても日本の学歴だけではやはり分が悪くなりがちです。なのでオーストラリアで学位をとるというのも考えておくのが現実的だと思います。

大学での成績は重要か

最後に大学の成績が採用に与える影響についてですが、これはそんなに意識しなくても大丈夫だとうのが僕の意見です。

とくに新卒ではなく経験者の場合にはGPAなんてそもそも書かなくてもいいくらいに重要ではありません。専門スキルと知識をアピールしていきましょう。

新卒の場合には確かに成績(GPA)が高いほうがいい印象ではあるのですが、そこまで重要ではないと思います。

成績よりも

  • 採用したいときにできる人材(応募のタイミングがいい)
  • コミュニケーションがうまくとれる
  • チームメンバーと相性が良さそう
  • ポジティブで仕事をやり遂げる粘り強さがある
  • 自信があり自分をアピールするのがうまい

というような採用側の都合だったりソフトスキルが重要だったりもします。新卒だと面接でもこれらに関する質問も多めにでてくるのでしっかりと準備する必要があります。

少なくとも求人でGPAのスコアが求められることは珍しく、履歴書でも書く義務はありません。

もし成績がDistinction以上(7段階で6以上)の場合は履歴書に書き、それ以外は記載してもしなくてもOKです。

それよりも専門のスキル・知識とソフトスキルをアピールしていくことが大事です。

まとめ

今回はオーストラリアでの就職を目指す際に学歴が重要なのか、僕の就活・転職・採用の経験をもとに意見を書きました。

内容をまとめると以下のようになります。

  • オーストラリアで専門的なスキルが必要な職につく場合には学歴が重要
  • 学位は高ければいいというわけではなく、就職のしやすさは需給バランスと専門性に大きく左右される
  • 大学のネームバリューは大企業では考慮されるがそれ以外ではあまり重要でない
  • 日本の学歴は不利になることはあっても有利になることはめったにない
  • 大学での成績は高いに越したことはないが重要なのはどういったスキル(ハード・ソフト)や知識をもっているか

たとえ新卒であってもいかにすぐ企業のビジネスに貢献できるかをアピールすれば採用の可能性が高まるので、オーストラリアでの就職のためには学歴がいいというだけではなく「即戦力であること」がある意味本質的な部分になります。

ただし僕の経験はもちろん限られていて、採用のしかたは企業やポジションによっても大きく異なるので、うのみにせずに自分でもリサーチをするようにしてください。

この記事では最終学歴が高卒の場合について書きませんでしたが、正直かなり難しいと思います。しかしすでに職務経験があるかもしれないし、オーストラリアで学士やTAFEで学位をとれば一気に可能性が高くなるので勉強込みで就職計画をたてるのが懸命かと思います。

オーストラリアで就職したいのであればとにかく早くリサーチと準備をはじめること、そして就活に必要なものを逆算して今からできることをしていきましょう:)

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Takto

セルフィー

海外(オーストラリアとイギリス)在住歴計10年ほどの takto です。ブログを通じて英語の勉強をサポートできればと思っています。

経歴:

  • 大学生の時にTOEIC330点から英語学習を開始
  • オーストラリアの語学学校へ留学・そのあとの大学院留学時にIELTS 6.5達成
  • 大学院修了時にIELTS 7.5達成
  • そのまま現地企業にエンジニアとして就職

プロフィールその1:ブログ主の過去と転換点

プロフィールその2:希望とともに行動に移す

プロフィールその3:絶望的な英語力と上達しないフラストレーション、そして道が開ける


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