今回はリスニングの教材の選び方と勉強のしかたについて書いていきます。
僕はもともと日本で大学生だったときに英語の勉強をはじめて、今ではオーストラリアの現地企業でエンジニアとして働いています。僕のリスニング学習の経験をもとに勉強の仕方や考え方を書いていきたいと思います。
あなたも経験があると思いますが、英語のリスニングができないと精神的にもダメージを受けるのでなかなか辛いです。
一度聞きとれないとどんどんハマっていってしまうのがリスニングです。
- 「実は知っている単語を言っているのになぜか聞きとれない」
- 「言葉は聞きとれてるけどどういう意味なのかわからない」
というのはちょくちょく経験があると思います。
僕ももちろんリスニングには苦戦していて、英会話でも「聞きとれなかったらどうしよう」という不安をもってました。
そういった不安から抜け出したいからこそリスニングの勉強を続けていくわけですが、リスニングの教材にできそうなものはたくさんあるのでどんなものを使って勉強すればいいのかわからなくなりますよね。
人によっては映画とかやっていて楽しいものを教材として使うかもしれませんし、問題集をひたすらに解いていく、という人もいると思います。
ですが教材によって向き不向きがあるので、どんな教材なら何をどう上達できるのかということを意識して考えながら勉強していく必要があります。
というわけで、この記事ではまずはリスニングができない原因について書いていき、そのあとにおすすめするリスニング教材と勉強法について書いていきます。
記事の内容
リスニングができない原因と解決法
そもそもリスニングをしていて理解できないのには大きく分けて以下の3つの理由があります。
- 発音ができていない
- 単語・文法・フレーズがわからない
- 英語のまま理解できない
端的に言ってしまうと自分の英語力に対して「使っている教材が難しすぎる」ということです。
リスニングだけでなくほかの勉強でもそうですが、自分の今の英語力と教材のレベルのバランスをうまくとらないと上達しづらいです。簡単すぎてもダメだし難しすぎてもダメという感覚です。
じゃあどれくらいがいいのかというと、たとえば1つのリスニングのスクリプトを通しで聞いて9割くらい理解できる感じです。
こう聞くと「それって簡単すぎて意味なくない?」と思うかもしれませんが、リスニングの上達には「聞く⇨理解する」を何度もくりかえすことが必要です。言いかえると、聞いて理解できないものはいくら聞いても意味がないということです。(よくある聞き流しなんかは理解しようとせずに流すだけなら無意味です。詳しくは「」で解説してます。)
もし6割くらいしか理解できないようなリスニング教材を使ったらどうなるかというと
といった悪循環になってしまいます。
なので教材の音声のほとんどで「通しで聞いて理解する」ということをして、残りの1割をあとで聞き直したりスクリプトで確認するなどして自分に足りないものを勉強して補う、というのが勉強の流れになります。
リスニングができない原因については↓の記事でさらに詳しく解説しているので興味があれば読んでみてください。
英語のリスニングが全くできないのには理由があります。この記事では「聞いている英語が難しすぎる」「発音」「単語と文法」「英語のまま理解できていない」という理由とそれぞれの解決策を書いていきます。
この学習の流れをつくるためにも自分に合ったレベルの教材を使うことが重要になります。なので次はどうやって教材を探すか、どんな教材を使えば良いのか、そしてどう勉強していけばいいのかについて詳しく書いていきます。
レベル別リスニングおすすめ教材
ここからはレベル別のおすすめのリスニング教材と、上のレベルへ上がっていくための勉強のしかたについて書いていきます。
巷にはいろんな英語力のレベルの分け方がありますが、ここでは初級・中級・上級とわけておすすめの教材と勉強法についてまとめていきます。それぞれの感覚的な目安としては:
- 初級(TOEIC400点)
- 中級(TOEIC600点)
- 上級(TOEIC800点)
3つのレベルに分けていますが、もちろんそれぞれのレベルの中にも差があります。なので自分で教材のレベルがちょうど良いかを判断しながら勉強していく必要があることを覚えておいてください。
初級(TOEIC400点)
初級レベルの人におすすめの教材は以下の無料で聞けるポッドキャストです。
これらの初心者(elementary/beginner)向けのものを聞いていきましょう。まずはほとんど理解できるくらいのレベルを聞いていき、英語のまま意味を理解することに慣れていくことが大事です。
中級(TOEIC600点)
中級レベルくらいの人ならポッドキャストなどの音声だけでなくテスト問題集も使っていくとリスニングのスキルとテクニックを練習できます。
たとえばポッドキャストでいうと以下のようなサイトがあります。
こういったものを普段から使って「聞く⇨英語のまま理解する」をたくさんやっていってください。
さらにテスト対策用の問題集もテクニックを実践できるのでいい勉強になります(本だと音源がいまだにCDという残念なものが多いので、代わりによさそうなアプリも紹介しておきます)。
日本語版の問題集だと日本語訳を見ることになってしまうので僕はおすすめしません。常に英語で考えられるように英語の教材を使いましょう。
これらに限らず初級者向けに紹介したサイトでも中級者用のものがあるのでそれらも使っていきましょう。
この間まで聞き取れなかったものが聞けるようになると自分のレベルが上がってきている実感が湧くはずです。
上級(TOEIC800点)
「自然な言い回し」「間違った文法」「スラング」など、ネイティブ同士における会話についていけることを目指しましょう。そして自分が会話に参加する・意見を言えるようになるのが理想的です。
実際の英会話ではビジネスにおけるミーティングや大学でのディスカッションなどで他の人の会話についていきながら自分の意見をまとめて発言できるようにならないと海外就職や英語での仕事は難しいです。
なのでまずは聞いて理解する、そして余裕がでてきたら聞きながら自分の意見を頭で(もちろん英語で)考えるようにしていきましょう。そうすればネイティブとも対等に議論できる域に達していきます。
上級者におすすめの教材はより自然な英語が聞けて専門性のあるものです。
難しすぎると感じたら初級・中級者向けで紹介したサイトの中にある上級者向けのものを使うのもおすすめです。リアルな英語よりは聞きやすいものが多いはずです。
リスニング教材での勉強法
リスニング教材をレベル別に紹介しましたが、これらを使いつつどうやって勉強していくのかも重要です。
なのでここからはリスニングの具体的な勉強法について書いていきます。ポイントは4つあります。
- 日本語で考えない・訳さない
- 音声を止めずにとおして聞く
- 聞きとれなかった原因を考える
- 原因を取り除けるように勉強する
1つ1つもう少し詳しく解説していきます。
日本語で考えない・訳さない
英語のリスニングをするときにもっとも大切なのが、英語のまま意味を理解することです。
難しいと思うかもしれませんがこう考えてください。いちいち日本語に直さないと理解できないものは難しすぎるのでもっと教材のレベルを下げた方がいいです。
すでに簡単な英語なら頭で日本語に訳さなくても理解できるはずです。
たとえばネイティブの幼稚園児向けの音声なんかはかなり簡単で、わざわざ日本語に訳すまでもなく理解できると思います。でも小学生レベルだと意外と難しかったり日本語に頼ってしまったりします。
そういったレベルの教材でまずは英語を英語のまま理解できるように耳を慣らしていきましょう。
そして慣れてきたら少しずつ難易度を上げていき、常に英語のまま理解できるように調整しながらリスニングの練習をしていってください。
音声を止めずにとおして聞く
リスニングの練習をするときはなるべく音声を止めずに通して聞きとるようにしましょう。
英会話ならまだしもいつでも話し手を静止できるわけではないので、話をききながらほぼ同時に理解するスキルが必要になります。
もちろん言い直してもらうことができない場面もたくさんあるので、1度だけ聞いて内容を理解する必要もあります。
そうしたスキルを養うためにもリスニング教材の音声は止めずに練習していきましょう。
聞きとれなかった原因を考える
冒頭で言ったように、そもそもリスニングで理解できないのには「発音」「単語・文法・フレーズ」「英語のまま理解できない」といた理由があります。
リスニングしてわからなかった箇所がどういった理由なのかをはっきりさせて、それを克服するように勉強しましょう
原因を取り除けるように勉強する
リスニングができなかった原因がわかったらそれに対応した勉強をしていきましょう。
発音の勉強をまだやっていないという人はリスニングの勉強の前にひととおりやっておくことを強くおすすめします。自分で発音できない音は聞き取るのが格段に難しくなります。
英語学習でも最も費用対効果が高い発音ですが、まずは発音記号をできるようにし、シラブル・単語・フレーズ・英文と段階的に練習していきましょう。あとは会話で実践しながら調整していけばOK。かなり即効性があり聞き手も喜んで自分の英語を聞いてくれるようになりますよ^^
単語やフレーズは普段から勉強していると思いますが、学んだ知識をしっかりと使っているでしょうか?↓の記事で単語とイディオムについての勉強法を解説しているので参考にしてみてください。
英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。
英会話ができるようになりたいなら英単語よりもイディオムを勉強したほうがいいです。この記事では独学でも進めていけるように、優先すべきイディオムや勉強法について詳しく解説していきます。
基本的には単語やフレーズの学習と同じ要領です。文法の勉強法や参考書の選び方を↓の記事に書いているので参考にどうぞ。
英文法の勉強法で大切なのは知識ばかり増やしていないで、学んだ文法を使いまくることです。使える英文法を習得するためには「1冊の参考書」で「アウトプットを重視」して「英語で勉強」するという勉強法がシンプルかつ効果的だということを解説します。
英語の上達に欠かせない英語脳のつくりかたについて解説しています。英語脳は意識して正しく勉強していけば誰にでも作ることができます。具体的な勉強方法と必要な考え方について詳しく説明していきます。
9割ほどわかる教材を使っているはずなので、この「リスニングができなかった原因を取り除く勉強」の部分にかける時間はそんなに多くならないはずです。
教材選びと勉強法の注意点
最後に教材選びと勉強の仕方について注意しておくべきことを書きます。
具体的には以下の4つあります。
- おもしろいものよりも理解できるものを優先する
- 聞き流しはあまり意味なし
- ディクテーションはあまり重要ではないが使えるテクニック
- 音声は必ずネイティブでなくともOK
それでは1つずつ理由とともに解説していきます。
おもしろいものよりも理解できるものを優先する
いろんな英語の音声をリスニングの教材にすることができますが、おもしろいものよりも理解できるものを優先しましょう。
たとえば洋画とかドラマとかを使う人も多いと思いますが、一番重要なことは「音声を聞いてほとんど理解できる」ということです。
なのでいかに内容がおもしろくても何度も音声をリピートしたりスクリプトをみないと理解できないようなものは肝心のリスニングのスキルが伸びません。
聞き流しはあまり意味なし
聞き流しにおいて「音声をただ流しっぱなしにする」状態だと聞いて理解するということをしていないのでリスニングスキルは伸びません。
聞き流しで効果を得るためには「集中力を下げた状態で理解する」という勉強をする必要があります。
普段は英語のリスニングの勉強をするときには100%集中していると思いますが、日本語だと他のことをしながら聞く「ながら聞き」でも日本語のリスニングができます。つまり80%とか60%くらいの集中力でも要所要所の情報をキャッチすることができるということです。
このスキルを英語でも体得しようとするのが聞き流しです。なのでおのずと100%集中すればすべて理解できるような音声を聞くくらいの方がうまくいきます。
聞き流しについては↓の記事で詳しく解説しています。
英語の聞き流しって楽してリスニングを上達できそうで魅力的ですよね。でも実際に効果があるのかというとよくわからないかと思います。僕も英語を聞き流ししてたことがあるんですが、効果があるときとないときがあったので、その両方を紹介していこうと思います。
ディクテーションはあまり重要ではないが使えるテクニック
聞いたことを文字におこすディクテーションも勉強法として知られていますが、どちらかというとテスト対策や実用テクニックになります。
ディクテーションも聞いた言葉のすべてを書くということに意味はなく、そもそも速すぎてムリがあります。
「音声を聞きながら重要な情報だけをキーワードで書きだす」ということがディクテーションになり、書きだした情報を繋げることで音声の要約ができるように練習するとリスニングテストや仕事なんかで役に立ちます。
音声はネイティブでなくともOK
英語のリスニングをするときにはネイティブの英語だけにこだわる必要はありません。現実にはいろんなアクセントや訛りをもった英語をたくさん聞くことになります(ネイティブにも人によって大きな差がありますが)。
いろんな英語を聞くことによってさまざまなアクセントに対応できるようになるし、違った英語で練習をしていくことで逆にスタンダードな英語がものすごく聞き取れるようになったりします。
なのでリスニング音声がネイティブかどうかはあまり気にしなくて大丈夫です。
まとめ
今回は英語のリスニングに使える教材と勉強法について紹介しました。内容をまとめると以下のようになります。
- リスニングができないのには大きく分けて3つの原因がある
- 「発音がわからずに聞きとれない」
- 「単語・文法・フレーズがわからず理解できない」
- 「英語のまま理解できず置いていかれる」
- リスニングの教材選びで一番重要なことは「教材の難易度」「英語のまま9割理解できるもの」を使うようにする
- おすすめするリスニング教材の傾向をレベル別にまとめると:
- 初級:英語学習者向けのポッドキャストなど
- 中級:英語学習者向けのものでレベルが高めのものとテスト対策問題集など
- 上級:よりネイティブ向けのもの
- リスニングの勉強法で重要なことは主に4つ
- 「訳さない」
- 「音声は止めずにとおして聞く」
- 「聞いて理解できなかった原因を明らかにする」
- 「原因を取り除くように勉強する」
- 気をつける点は以下の4つ
- 「おもしろい教材より理解できる教材を使う」
- 「聞き流しの目的を知っておく」
- 「ディクテーションは優先度低め」
- 「ネイティブ英語にこだわる必要はない」
記事内で紹介した教材を↓にまとめておきます。
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もう1度言いますが9割くらい理解できるもので勉強しないとあまり意味がないので、ムリして難しい教材で勉強しなくていいです。
この記事で紹介した教材は世にある英語オーディオのほんの一握りなので自分でも探してみるといいと思います。
とくにネットで英語で検索すると日本語で検索するよりも圧倒的にいろんなサイトがでてくるし、すべて英語で書かれているのでおすすめです。「English listening resources」とか「English learning radio」とかで検索してみてください。英語のサイトを回っていくのも英語を使う練習になるので、それ自体が勉強の一環になります:)
あとは教材を使った独学以外にも英会話で人とコミュニケーションをしていきましょう。英語で人と話せるようになるためにリスニングを勉強していると思うので、英会話を実際にやっていくことが必要不可欠です。リスニングの勉強全般に関することは↓の記事にまとめてあるのでぜひ参考にしてください。
リスニングの勉強法は英語を聞きとれない根本的な原因である「聞いている英語の難易度」「発音」「単語と文法」「英語のまま理解」を解決するように進めていきましょう。ひたすら聞くといった方法ではなく、原因と結果を結びつけた学習のしかたを紹介します。