更新日:2020/12/29
英語の聞きとりに苦戦している人はどうして上達しないのか悩んでいる人も多いかと思います。しかし英語のリスニングができないのにはちゃんと理由があります。
この記事では以下の2点を目標にして書いていきます。
- 英語のリスニングができない3つの理由がわかる
- 聞きとれるようになるために何を勉強すべきかがわかる
記事の内容
リスニングが全くできない理由とその対策
英語のリスニングができないのにはおもに以下の4つの理由があります。
それぞれの解説と対策について書いていきます。
そもそも聞いている英語が自分には難しすぎる
英語のリスニングが全くできないという人の一番の原因は、単に聞きとろうとしている英語が難しすぎるということです。
聞きとれない英語はいくら聞いてもわかりません。そしてそれを繰り返してもリスニング力は上がりません。得られるのはストレスと悲しみだけです。
例えば僕も英語の勉強をはじめたころにはTOEIC330点くらいの実力なのにアメリカの大学入試レベルのリスニング教材をひたすら聞いて練習していました。もちろん何を言っているのかさっぱりわからず挫折したのは言うまでもありません。
リスニング力というのは聞きとれて初めてスキルが上昇します。
- 聞きとって意味が理解できた:リスニング力の経験値が上がる(レベルも少しずつ上がっていく)
- 聞きとれなかった・意味が分からなかった:何がわからない・できないのか知るチャンスを得る
英単語や英文1つ1つのリスニングでこういったことが起きています。
なので理解できない「速い」「単語が難しい」「文法が難しい」「内容が難しい」といった英語を聞いているうちはリスニングが全くできないと感じるし、上達もしません。
なので自分のレベルにあった英語を聞くことが重要であり、教材のレベルを下げることが逆にリスニング力を伸ばす近道になります。
教材のレベルを下げる
教材のレベルを下げて自分が聞き取れる英語でリスニングの練習をすることで「聞きとって理解する能力」を伸ばすことができます。
どのくらいのレベルの英語を聞くべきかというと、9割ほど理解できるような英語です。
たとえば英会話のリスニングで30の英文を聞く場合にせいぜい3つほど理解できない・聞きとれない、くらいのものを聞きましょう。そのレベルを維持して練習することで「英語を聞いて理解する」訓練とし、残りの1割をスクリプトや解説で自分が「何を」「なぜ」聞きとれなかった・理解できなかったのかを考えて勉強していきましょう。
逆に教材のレベルが高いと知らない単語や文法を調べてばかりになるので、「聞きとる練習」になりません。
「リスニングができる」ということは単語や文法をたくさん知っていることではなく、なんと言っているかがわかりその意味が理解できることです知らない単語や文法ばかりの英語を聞いても当然わからないので、まずは自分の英語力で理解できる英語を聞いて「聞きとり理解する」訓練をしていきましょう。
レベル別のリスニング教材を下の記事で紹介しているので、いくつか試してみて自分が使うべきリスニングのレベルや教材を確かめてみてください。
英語のリスニングを着実に上達していくための教材と勉強のしかたについて解説します。今一度自分が使っている教材や勉強法と比べて、改善できるところがないか参考にしてみてください。
発音ができない|何を言っているかわからない
端的に言うと、正しい英語の音を脳が認識できないのでなにを言っているのかわからない、つまり理解できないということです。
発音ができていない状態でリスニングをしている人は、以下のようなことが理由で英語を聞き取れないでいます。
正しい発音ができない → 英語を聞いても知らない音なので認識できない → 聞いても何を言っているか分からない
なぜ耳に入ってくる英語の音がわからないかは日本語との違いを見れば明らかです。
日本語の音と英語の音は別物
英語と日本語の音が根本的に違うのには、2つの根本的な理由があります。
子音だけで発音する
日本語のすべての仮名を読むときに必ず母音を含めます。つまりひとつひとつの仮名を発音するときに「あいうえお」の音を出します。例外は「ん」と「~です」の「す」くらいです。
それに対して英語は子音のみで発音することが多く、日本人にとっては聞きとりにくい音になります。
口や舌の形が正しい音をつくる
日本語の発音をするときには音によって口の形を変えたり舌をはじいたりしていますよね?これは子供の頃からずっと練習してきてみにつけたもので、意識しなくてもできるようになっています。
英語にも同じように、音によって正しい口や舌の使い方、また息づかいをする必要があります。なのでそれらを1から学ばないとできるようにはなりません。
自分で発音できない音は聞いてもわからない
自分でできない発音を聞き取るのはほぼ不可能でしょう。
自分で出せない音を聞いて理解しようとすると、脳が混乱します。そしてなんとか理解しようと脳が働き、自分の知っている音で最も確率的に同じだと思える音にあてはめます。
つまり英語の発音ができないと、脳が聞いた英語の音を参照できないので日本語の音として認識しようとしてしまうのです。
それによって例えばLRは「らりるれろ」に、FHは「はひふへほ」として認識されてしまいます。
発音を習得すれば聞きとれるようになる
発音ができないとリスニングができない理由を説明しましたが、これは逆に言うと発音を習得すればリスニングができるようになるということです。
実はかなり簡単なのですが、日本人は恥ずかしがったり、発音は下手でも通じるという致命的に間違った考え方を教育されてきました。
僕がはじめてオーストラリアに行ったときに以下の事を思い知りました。
なのでリスニングの第一歩として発音の勉強をおすすめします。
発音の勉強法については下の記事でまとめているので目を通してみてください。
英語学習でも最も費用対効果が高い発音ですが、まずは発音記号をできるようにし、シラブル・単語・フレーズ・英文と段階的に練習していきましょう。あとは会話で実践しながら調整していけばOK。かなり即効性があり聞き手も喜んで自分の英語を聞いてくれるようになりますよ^^
発音を学ぶためのおすすめの教材は「UDA式30音練習帳」です。発音記号から発音矯正ができ、自分の発音がよくなることでリスニングで音を認識する力がつきます。
【おすすめ3冊】発音の本は使い方次第|勉強のしかたと注意点という記事で他の教材についても紹介しているので参考にどうぞ。
単語と文法がわからない|意味が理解できない
リスニングができない3つ目の理由は単語と文法がわからないからです。
これは分かりやすいと思いますが、せっかく英単語や文をすべて聞きとることができたとしても、その意味がわからないと聞いてもわかりません。
この問題についてはどうやって対処していくかについて注目します。
- わからない場合は推測する
- 単語と文法を継続して勉強していく
1つづつ解説していきます。
わからない場合は推測する
聞いた言葉や表現がわからないときにはその意味を推測して聞き続けることが大切です。
なぜなら程度は違えど英会話でわからない言葉や表現がでてくるのは当たり前で、それらを含めて聞いた英語を理解するのがリスニングだからです。
もちろんなるべくそうならないように勉強するのですが、リスニングでは知らない表現などが確実にでてきます。
少なくとも「良い・悪い」「した・しなかった」といった抽象的な意味をとらえるようにすれば話に完全についていけなくなるということは多くないはずです。
そして余裕があればもっと具体的な意味を推測するようにすれば、さらにリスニングで意味を理解できるようになります。
単語と文法を継続して勉強していく
もちろん英単語と文法の勉強は継続していきましょう。
もとを辿ればこの知識不足が原因なので、より多くの知識があればこの問題は解決できます。
ただ、数が多いので単語と文法の勉強には時間がかかります。なのでリスニングの練習をしつつ並行して勉強をしていきましょう。
単語と文法の勉強法については別の記事で解説しているので、どう勉強したらいいか困っている人はぜひ参考にしてみてください。
英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。
英文法の勉強法で大切なのは知識ばかり増やしていないで、学んだ文法を使いまくることです。使える英文法を習得するためには「1冊の参考書」で「アウトプットを重視」して「英語で勉強」するという勉強法がシンプルかつ効果的だということを解説します。
少しづつでいいので継続して知識を増やしていけばリスニングの聞きとり力が上がると同時に、より高度な単語や表現も理解できるようになっていきます。
英語のまま理解できない|速すぎてついていけない
英語のリスニングでは英語のまま意味を理解できないと基本的に間に合いません。
これも身をもって経験している人がたくさんいると思いますが、以下のように日本語に頼ろうとしてしまうとリスニングが追いつかなくなります。
- 英文を日本語に訳して理解しようとする
- 英語の語順を日本語の順番に並べ替えて理解しようとする
- 英単語を1つ1つ訳して意味を理解しようとする
とくに聞いている英語のレベルが高いとこのように日本語に頼ろうとして、その結果リスニングが追いつかなくなります。
1つづつもう少し詳しく見ていきましょう。
英文を日本語に訳して理解しようとする
短い文ならまだできそうですが、一番の問題はそもそも日本語に訳すことが難しくそのためのスキルが必要だということです。
「英語でわかることなら日本語でもわかる」、という思い込みがあるかと思いますが意外とそうでもないのが落とし穴です。
例えばリスニング教材で以下のようなセリフを聞いたとします。
要は「記憶力がもっと良ければいいな」と言っているわけですが、「best memory(最高の記憶力)」とか「photographic memory(映像記憶)」あたりの言葉は日本語にすると逆にわかりにくくなったり、そもそもいい日本語訳がでてこなかったりします。
そうなると理解するのに時間がかかってしまったり、肝心の意味を誤解してしまうこともおこります。
英語の語順を日本語の順番に並べ替えて理解しようとする
英語と日本語では語順が違うので訳しながら聞いていくと理解不能な日本語の文ができあがります。
例えば大学で以下のようなセリフを聞いたとします。
最初の文を日本語にするとしたら
となります。いかに語順が違うかが分かるかと思います。
そしてこの作業を一瞬でしないといけないのでまさに翻訳家のスキルが必要となるわけです。
これに聞きとりずらい発音やわからない単語が含まれたら考えただけでも日本語にするのがいかに難しいかわかると思います。
この問題に対処するには英語を英語のまま語順を変えずに理解する練習をすることです。このやり方は文法の勉強の一環として別の記事で書いていますので、参考にしてみてください。
英語の語順は日本語と違うため、慣れないと何度も聞き返したり読み返さないと理解できないことが多いかと思います。原因は文法における言葉の順番の違いと、英語と日本語を行き来することに起因します。この記事ではまず文法と語順の型について解説して、英語の語順のままスッと理解できるようにするための効果的な勉強のしかたを紹介していきます。
英単語を1つ1つ訳して意味を理解しようとする
リスニングのときには1回聞いて理解しないというプレッシャーがあるので、つい1語づつ意味を理解しようとしてしまいますが、このやり方は英語と相性が悪いです。
理由としては
という2つがあります。
英語は複数の単語(フレーズ)で意味をつくる言語なので、1つ1つの英単語を訳すと逆にわかりにくくなります。
さらに単語同士の音をつなげて発音するせいで1つ1つの言葉を区切るのが難しいです。
これらは日本語と大きく違う特徴なので、フレーズ単位で考える・聞きとるという練習が必要になります。つまり耳に入ってくる英語を塊でとらえ、さらに重要な意味を持つフレーズのみを抽出して残りは聞き捨てる、というテクニックが求められます。
どうやって練習すればいいのかについては下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
長文のリスニングは難しいですよね。長い文章や話を聞くと途中でついていけなくなったり、分からない単語がでてきてつまずいてしまったりすると思います。こういった悩みを持っている人は聞いている言葉すべてを理解しようとしていませんか?長文の聞きとりには、言葉の取り捨て選択やフレーズで理解するというテクニックが有効です。
以上、英語のまま理解できないことがリスニングができない理由であることと、その対策についての解説でした。
まとめ
今回は英語のリスニングがうまくできない理由を3つ紹介しました。
- そもそも聞いている英語のレベルが高すぎる
- 英語の発音ができないので何を言っているかわからない
- 単語と文法がわからないので何を言ってるかわかるけど、意味が理解できない
- 英語のまま理解できないので速すぎてついていけない
これらの原因と本文で解説した解決法をもとにして勉強していけばじわじわとリスニング力が上がっていきます。
まずは聞く英語のレベルを下げてみる、そして発音を習得してその効果を確認してみてください。あとは勉強すればするほどリスニングができるようになっていくはずです。
リスニングの勉強法については別の記事で解説しているので、参考までにどうぞ。
リスニングの勉強法は英語を聞きとれない根本的な原因である「聞いている英語の難易度」「発音」「単語と文法」「英語のまま理解」を解決するように進めていきましょう。ひたすら聞くといった方法ではなく、原因と結果を結びつけた学習のしかたを紹介します。