“have”を使った英語の文法に悩まされていませんか?
- 学校で習ったはずなのに思い出せない
- 1度勉強したけどあやふやなままになっている
- 実際に英語を読むとどの文法なのかはっきりとわからない
こういった経験をしている人も多いと思います。
文法のための”have”には、おもに3つの使い方があります。
この記事ではこれら3つの文法の使い方・意味について解説して、似た表現との本質的な違いについて説明していきます。
その結果
- “have”の文法を正しく使って文章をつくり、話せる・書ける
- “have”の文法を使った文章を聞いて・読んで理解できる
ようになります。
それではさっそく見ていきましょう。
目次
“have done something”での完了形「~した」「~したことがある」
“have”を使ったおもな文法の1つが完了形です。
英会話でも読み書きでもよく使われる文法の基礎なのでしっかりとおさらいしていきましょう。
“have”による完了形の構文は
have + done
と、動詞を完了形にしてhaveのあとにつけます。
完了形による意味はおもに以下の2つになります。
- 完了した状態「(今)~した。(今もその状態にある)」
- 経験「(今までに)~したことがある」
どちらも今の状態と関係があるということが完了形の文法の本質です。
それではそれぞれの使い方を詳しく見ていきましょう。
完了した状態としての”have done”
完了した状態というのは、
「過去になにかをして、その状態が今も続いている」
ということです。
たとえば
このように行動(eat)が完了した結果(pudding is not in the fridge)が今も続いている、というときに完了形の文法を使います。
他にもいくつか例文を見てみましょう。
2つの例文ともに過去になにかをした(しなかった)という点では同じですが、完了形では「その状態が今も続いている」というところが本質的な違いになります。
完了形の文法は以下の表にあるように、さらに過去と未来にも使うことができ、進行形にすることもできます。
時制 | 完了 | 完了進行 |
---|---|---|
現在 | have done | have been doing |
過去 | had done | had been doing |
未来 | will have done | will have been doing |
“done”と”doing”は好きな動詞に変えて使ってください
これらの解説は完了形の解説の記事にまとめて解説したいと思います。
過去形との使い分け
完了形は過去形と似ているのでどっちを使うべきかわからないときがあると思います。
本質的な違いは↓のとおりです。
- “did”による過去形は、過去のある時に注目している
- “have done”による完了形は、過去の行動による今の状態に注目している
以下の2つの文章を比べてみましょう。
- I finished the job.
- I have finished the job.
どちらも仕事を終わらせたことを言っていますが、これらの違いを解説すると
過去形は何かをしたその時に、完了形は何かをした結果による今の状態に焦点を当てているのが分かると思います。
これが過去形と完了形の本質的な違いです。
この違いを理解したうえで、より自然な使いわけができるように練習していきましょう。
経験としての”have done”
“have done”には「~した経験がある」の意味にもなります。
なぜでしょうか?完了形の本質を見ると理解できます。
完了形の本質的な意味は「~をした結果、今~の状態にある」
別の見方をすれば、
1度なにかをした結果、その経験が今もある
ということになります。それによって完了形が経験の意味をもつ、ということです。
↓の例文を見てみましょう。
このように1度したことは経験として残るため、完了した行動=経験の意味で使われるということです。
ひとつだけ注意したい点が”have been to”と”have gone to”です。これらは
- have been to = 経験「行ったことがある」
- have gone to = 完了「行った・行ったきり」
という明確な違いがあります。
↓の例文で比べてみましょう。
“have been to”は経験なのに対して”have gone to”は完了した状態の意味になっているのが分かると思います。
この違いを理解して正しい言い方をできるように練習していきましょう。
“have something done”による使役「~してもらう」
2つめの”have”を使った文法が「~してもらう」「~させる」といった意味の使役です。
have something done
というように、何かをさせる目的語(対象)をhaveと完了形の動詞の間にいれて文をつくります。
いくつかの例文を見ていきましょう。
「~させる」というと上から目線で命令しているように聞こえますが、そういった意味ではありません。
どちらかというと何かをお願いして「~してもらう」というのが本質的な意味になっています。
“have”以外にも以下の単語で使役の意味にすることができます。
- let
- make
- get
この中では”get”と”have”がかなり近い・似たような使われ方をします。
“let”と”make”も”have”の代わりになりますが、使い方や意味が少し変わることもありますが本質的には同じです。
これらをまとめた使役の文法についてはまた別の記事にまとめようと思います。
“have to”「~しないといけない」
“have to”で「~しなければいけない」という意味の文法になります。
これもかなり頻繁に使う文法なのでしっかりと復習しておきましょう。
have toの意味を、おすすめの文法の本である”English Grammar in Use”で調べてみると、以下のように書かれています。
I have to do somethig = it is necessary to do it, I am obliged to do it.
(Source: “Have to and Must”, “English Grammmar in Use)
ようは「~する必要がある」「~する責任がある」といった意味です。
たとえば
I have to work tomorrow.
で「明日働かないといけない。」という意味になります。思わずため息が出ます。
“have to”と”must”の違い
“have to”でなくとも”must”で「~しないといけない」という意味をつくれます。
これら2つに違いがあるのか、以下の2つの場合で解説していきます。
- 肯定系での”have to”と”must”
- 否定形での”have to”と”must”
肯定系での”have to”と”must”
肯定系での”have to”と”must”の意味を比べてみましょう。
どちらも話す・書くの両方で使いますが、傾向としては”have to”が会話で”must”が読み書きでよく使われます。
このせいで”must”を会話で使うと以下のような表現に聞こえることもあります。
- 命令口調
- 強制性が強い
それでも意味については同じと考えて大丈夫なのですが、過去や未来の文法になると”have to”を使わないといけません。
逆に”have to”ならあまり強く「~しないといけない」というように聞こえることは少ないので、安心して使ってください:)
↓の表に”have to”と”must”の時制とそれぞれの文法をまとめました。
時制 | have to 文法 | must 文法 |
---|---|---|
現在 | have to | must |
過去 | had to | X |
未来 | will have to | X |
“must”には過去形と未来形はないのですが、その意味でも使われます。
たとえば
これは未来形ですが、単純に”must”を使うことができます。考えてみると本質的な意味は同じだということが分かると思います。
このあたりの解説は助動詞の記事でするつもりです。
否定形での”have to”と”must”
否定形で使われる”have to”と”must”は意味がまったく違います。
つまり”don’t have to”=してもしなくても許される、”must not”=したら許されない、という違いです。
これは間違えないようにしないとトラブルになりそうですね・・・しっかりと使う練習をして正しく理解できるようにしましょう。
以下の表にまとめてあるように、否定形でも”must”には過去形と未来形が存在しません。
時制 | have to 文法 | must 文法 |
---|---|---|
現在 | don’t have to | must not |
過去 | didn’t have to | X |
未来 | won’t have to | X |
意味が違うので”must not”を”don’t have to”で言いかえることはできません。ではどうすればいいでしょうか。
同じ意味になるような表現で代用します。たとえば以下のようなものです。
- was not allowed to / won’t be allowed to
- was not permitted to / won’t be permitted to
- was banned to / will be banned to
- was restricted to / will be restricted to
こういった許可に関する言葉を使う、もしくは”had to do”の”do”を逆の意味の単語にする方法もあります。
たとえば
を
と言いかえることができます。これなら本質的な意味は保たれていますよね。
他にも言い方はありますが、このような表現を使うことで否定形での時制にも対応できます。
まとめ
今回は”have”を使う文法のうち習得しておくべき以下の3つについて解説しました。
- “have done something”での完了形
- “have something done”による使役
- “have to”「~しないといけない」
“have done something”で完了形にするときは
- 完了した状態としての”have done”
- 経験としての”have done”
の2つがあり、過去形と違って「今の状態」に焦点があてられています。
“have something done”による使役として使う文法では、「~してもらう」「~させる」という意味を持たせることができます。
“have to”を使うことで「~しないといけない」という”must”と同じような意味をもたせることができます。
ただし以下ようなポイントがあります。
ここまで読んで疑問が晴れたり、より理解が深まってくれれば幸いです。
ここで紹介した3つの”have”文法はどれも日常的に使われるものなのでしっかりと学習しておきましょう。
これらを実際に会話にとりいれたり、文章を書くことによってより効率的に学んでいけます。