海外で就職するためには履歴書だけでなくカバーレターが必要です。
すでに海外にいる人、たとえば学生だったら卒業後の進路に不安を感じていると思います。
「もし現地で就職できなかったらどうしよう・・・ビザ延長は?バイトでしのぐ?日本に帰って就活する?」
僕の場合は当時オーストラリアの大学院に在籍していて、もし現地で就職先が見つからなかったら学生向けの一時的なビザ延長を使ってとにかく現地での就活を続けていって、日本では就職しないと覚悟を決めておりました。もちろんハイリスクですが、早めに就活を始めたことと背水の陣効果のおかげでなんとか卒業間近に現地で就職が決まりました。
しかし就活中は刻一刻とせまるビザの期限や卒業までのカウントダウンに精神的プレッシャーを受けていました。
最悪の場合には仕事がとれずにビザの期限が切れてしまい日本に帰らざるを得なくなる、そして海外にいたせいか日本でもなかなか就職できないという状況になるかもしれません。
そうした状況を避けるためにもしっかりとカバーレター・履歴書・面接の準備をして現地での就活を攻略していく必要があります。
今回の記事ではカバーレターの書き方と例文や役立つフレーズなどを書いていきます。自分に合うようにカスタマイズして使ってみてください。
僕の経験上オーストラリアで新卒で専門職としての就活話になります。同じような境遇の人に参考になると思います。
記事の内容
カバーレターとは何なのか
カバーレターは仕事に応募するときに履歴書と一緒に提出するレターで、採用担当者に向けて志望動機や自己アピールなどを文章にして書くものです。
対して履歴書は自分のプロフィール・経験・スキルなどを客観的な事実をもとにしてまとめたものです。 カバーレターは通常A4サイズで1~2ページとなりますが、「no more than 1 page」などと指定されるケースもあります。
日本の就活にあるマナーとか服装とかはあまりないんですが、絵画就職の場合にはカバーレターを書かないといけないのがちょっと面倒です。
カバーレターは絶対に必要なのか
応募する企業や仕事によってはカバーレターは求められないこともあります。
募集要項には履歴書のことしか書いていなかったのに、いざ書類を提出しようと思ったらカバーレターも必要だった、なんてこともたまにあります。
僕の場合には自分で応募・転職エージェント経由・友人経由の3つのパターンで就職転職してきましたが、カバーレターが必要だったのは自分で応募したときだけでした。
なので絶対に必要ではないので事前に確認しておきましょう。
カバーレターの書き方
カバーレターの内容には基本的な構成があります。
- 自分の情報
- 相手企業の情報
- あいさつ
- カバーレターの主旨(Introduction)
- 自己アピール(Body)
- 締めのあいさつ
全部合わせると↓のような文書になります(職務経験0で新卒ポジション狙いの例)。
僕のやり方で恐縮ですが、1つずつ書き方を解説していきます。例文やフレーズもいくつか書いていくので自分用にカスタマイズして使ってみてください。
自分の情報
一番最初に書くのは自分についての簡単な情報です。何を書くのかというと
- 名前
- 住所
- Eメール
- 電話番号
これだけで十分です。右詰めにしてますが左に詰めてもOKです。
もしLinkedInやポートフォリオサイトなどがあればそれらのURLを書いておくのもいいと思います。
海外就職を目指しているのであればLinkedInを使わないという選択肢はないでしょう。この記事ではLinkedInが重要である理由・アカウント開設方法・プロフィール設定方法について書いていきます
相手企業の情報
次に応募先である企業の情報を書きます。内容は自分の情報とほぼ同じになります。
- 採用担当者名
- 担当者のポジション
- 企業名
- 所在地
採用担当者の名前は募集要項に書いてない場合が結構あります。そういうときは企業名と所在地だけで十分です。
あいさつ
あいさつはお決まりの文句で「Dear Mr ~,」や「Dear Ms ~,」で「~」に採用担当者の名前を入れましょう。
もし採用担当者名がわからない場合には「Dear Mr/Ms,」でOKです。
ほかにも「Dear Sir/Madam,」とか「To whom it may concern,」なんて書き方もありますがかなりお堅いので使わなくて大丈夫です。
カバーレターの主旨(Introduction)
最初のパラグラフで「どのポジションに応募するのか」と「あなたは何者なのか」ということをはっきりさせるのが目的です。
どのポジションに応募するのか:
- I am writing to apply for the ~ opportunity as listed on Seek.com.
- I am writing to express my interst in the ~ position which has been advertised on LinkedIn.
などのようにして、このレターがジョブアプリケーションであることと、どのポジションに応募しているのかを明確にします。
さらに自分が何者なのかと自信があることをアピール:
- I currently study ~ at ~, and I believe that my experience and competencies will satisfy the requirements of the position.
- Having ~ years of experience as ~, I am highly confident that my skillset and professionalism will meet the demand of the position.
Highly confidentとか言うのは気がひけるかもしれませんが、採用側からするとそもそもconfidentじゃない人は面接したくないのでアピールしときましょう。
この最初のパラグラフはなるべく簡潔にカバーレターの目的を伝えられるように書きます。
自己アピール(Body)
自己アピールはいくつかのパラグラフに分けて、それぞれで仕事に求められる経験やスキルなどを自分が持っていることを証明していきます。
例としてSeek.comで見つけた「Graduate Civil Engineer」の仕事に応募するとします。以下が募集要項に書かれたRequirementsになります。
- Previous engineering design experience is advantageous
- Exposure to AutoCAD and Microsoft applications
- Good knowledge of local design guideline and regulatory requirements
- Well-developed interpersonal skill to build client relationship
これらの条件を満たしている(addressing these points)ことを証明するようにして自己アピールを書いていきます。今回は4つポイントがありますが、上の3つと下の1つをそれぞれ1つのパラグラフにして書いてみます。
しかしいきなりパラグラフを書くのは難しいので、まずはキーワードを拾って、それらをフレーズにするとパズルのピースが集まるようになって書きやすくなります。
1.Job requirementsからキーワードを抽出
- engineering design
- AutoCAD
- Microsoft applications
- design guideline and regulations
- Interpersonal skill
- client relationship
2.フレーズにする
- civil “engineering design” for road bridge and pavement
- operation of “AutoCAD” to produce high quality engineering drawings
- “Microsoft Word” for report writing and “Excel” for bridge heavy load assessment
- compliance with Australian Standards, AustRoad “guideline” for bridge technology and DTMR bridge design criteria
- proactive and honest “interpersonal” communication to encourage team members to achive the goal together
- a lecturer as a hypothetical “client” who I managed his expectations and built positive relationship throughout the project period
3.文章にする
こんな具合になります。いきなり文章に取り掛からずにステップバイステップで肉付けしていきましょう。
自己アピールで使いやすい表現をいくつか↓に書いておくので参考にしてみてください。
経験やスキルのアピール:
- I have demonstrated experience in ~
- I have in-depth understanding of ~
- I have delivered ~ projects where I was responsible for ~
- I am highly capable of ~
- My extensive knowledge in ~ will contribute to ~.
- My professional industry experience as a ~ is directly transferrable for ~.
程度を表すフレーズ:
- highly skilled in ~
- absolutely capable of ~
- extensive knowledge in ~
- in-depth understanding of ~
- advanced skills in ~
- demonstrated experience of ~
- I was a leader of ~
まずはパラグラフをつくってみて、それから読み直してムダな言葉を消したり言い方を変えたりして微調整していくといいです。
あとは文法や言葉遣いの間違いを探したり、より読み手の心に刺さるような言い回しになるようにしていくとQualityが上がっていきます。
今回の例文は学生が実務経験ナシで新卒ポジションに応募する場合を想定して書きました。もし大学のプロジェクトでのリーダーシップ経験などがあればそれらもアピールできますし、インターンや日本での職務経験があればそれらを全面に押し出していきましょう:)
締めのあいさつ
最後に締めとして「お礼」と「よければ話しましょう」的なことを書きます。あとは履歴書も一緒に提出している場合にはそれについても触れておきましょう。
文章にすると↓のような感じになります。
それぞれのパーツについていくつか例文を書いていきます。
お礼:
- Thank you for your time to consider my application.
- I am grateful for your interest in me as a candidate.
レジュメのReminder:
- Please find attached resume for more detail about my experience for your reference.
- Attached resume showcases my experience and accomplishments in great details for your information.
次のステップ:
- I welcome any question and further discussion to proceed for the next step.
- I look forward to opportunity to discuss further in detail.
- Please do not hesitate to contact me for any query.
そのあとにフォーマルな締めの言葉を書きます。
Yours sincerely,
Takto
みたいな感じです。ほかにも「Sincerely,」だけや「Best regards,」などがあるので好きなのを使いましょう。
以上がカバーレターの構成と書き方になります。
カバーレターの書き方のコツ
カバーレターの書き方のコツをここで紹介していきます。
とりあえず思いつくものとして4つ挙げています。
- 仕事をこなせる信用や安心感を与える
- チームや企業文化へフィットしそうだと思わせる
- ライティングにミスがない
- 関連性の低いことは書かない
とくに最後のやつは新卒だと実務経験がなくて書くことがない、もしくはいろんな経験がありすぎるとやってしまいがちです。
ですが応募するポジションの役に立たないのであれば書かないほうがいいです。
たとえばバイトの経験なんかは応用できそうなスキル(transferrable skill)でもない限りはのせないようにしましょう。
しかし接客・カスタマーサービスのような経験はstakeholderやclientとのコミュニケーションにも応用できるし、単純な業務だとしてもタスクの優先づけ(task prioritisation)や時間配分(time management)なんかにも応用できます。
ものは言いようなんでうまくアピールできそうなら書くようにしていきましょう。
カバレターは英語ライティングの応用なので、ライティングの知識やスキルがあるとかなり役に立ちます。↓の記事で英語のライティングの勉強法について書いているので興味があれば読んでみてください。
英語のライティングには文章構成や文語表現といった知識が必要で、さらにパラフレーズや英語のまま英文をつくるといったテクニックも求められます。この記事ではこれらを上達させるための勉強法を解説していきます。
就活で結果をだすために必要なこと
最後に就活を成功させるために必要不可欠なこととして継続してトライアンドエラーをしていくことについて書かせてもらいます。
試行錯誤の流れとしては:
- 書き方を調べる(ネット)
- 添削してもらう(添削サービス・就職課・友人知人)
- 実際に応募してみる
- 反応をもらえるように改善していく
です。これらをなるべく早く始めて、実際にカバーレターと履歴書を提出するところまでやってしまいましょう。
最初はものすごい抵抗があると思いますが、やっていくうちに慣れてきます。そして最初の方は企業から返事すら来ないと思いますが、めげずにどこが悪かったのかを考えて改善していってください。
企業が欲しい人物像にマッチしていることを伝えられればおのずと良い反応が返ってきます。
添削については大学の就職課だったり、友人知人に頼んでみるといいです。もしお金に余裕があるなら履歴書やカバーレターライティングのチューターなんかもネット見つけられるので頼んでみてもいいかもしれません。
ちなみに僕は友人数人に添削してもらってそれぞれのいいところどりをした感じで書き上げました。そのあとは仕事にたくさん応募して玉砕しながら少しずつ修正していった感じです。
まとめ
今回の記事では海外就職のためのカバーレターについて書きました。内容をまとめると以下のようになります。
- カバーレターはどの仕事に応募するのかと自己アピールを文章にしたもの
- カバーレターの基本的な構成は:
- 自分のプロフィールと連絡先
- 企業の名前と所在地
- あいさつ
- どの仕事に応募するかと自己紹介
- 経験や人柄などの自己アピール
- 締めのあいさつ
- 書き方のコツは「求められていることに応える」「チームの文化や人へのフィット」「ミスなく書く」「関係ないことは書かない」
- 「添削」「仕事に応募」「カバーレターの改良」を繰り返していくことで面接に呼ばれる確率を上げていく
1度書き上げたカバーレターはテンプレートとして使えるので、内容を応募するポジションの要件に応じて変更して使いまわしていきましょう。
ただしアピールすることはあくまで募集要項で求められていることにしっかりと沿うようにしないといけません。
あとは添削・応募・改良を繰り返していけば段々と企業から返事がもらえるようになって、面接に呼ばれる確率も高くなっていくはずです。
大事なのは早めに就活を始めること、そして継続して改善していくことです。
↓の記事では英語の履歴書の書き方について解説しているので参考にしてみてください。あとは質問等あればメールかフォームを使ってくれればアドバイスできると思います:)
海外就職のためには英語での履歴書が必要ですが、単に日本語の履歴書を英訳しても結果はでないでしょう。この記事では英語圏における履歴書の書き方・アピールのしかた・暗黙のルールについて解説していきます。
それではAll the best :)