英語の勉強法について考えるときにどの辞書を使うかというのは重要です。和英・英和・英英辞典といった言語や出版社など辞書にもいろいろあり、人によっておすすめしている辞書が違うので迷ってしまうものです。
タイトルのとおり僕は英英辞典を使うべきだと考えており、その中でもロングマン英英辞書の一択だと思っています。
「英英辞典は難しすぎる」「上級者向けでしょ」といった意見が多いですが、それらにも答えつつ以下の3つの点について解説していきます。
- 本気で英語の勉強をしたい人は英英辞典を使うべきである理由
- 使うべき英英辞典の選び方
- 具体的な勉強法
というか子供の頃どうやって日本語を学びました?国語辞典を使って日本語で日本語を学びましたよね?同じことを英語でやりましょう(もちろんコツがあるので解説していきます ^^)
記事の内容
英英辞典に対する固定観念
英英辞典にたいして拒否反応を起こしてしまったり、使ってみて失敗したという人は使った辞書が悪かったという事が多いです。
英英辞典を使いたくない人の理由としては以下のようなものがよくあげられます。
- 難しすぎる・意味がわからない
- 意味の説明に知らない単語がでてくる
- 英語がわからないのに英語の辞書が使えるわけがない
とくにオックスフォード(Oxford)、マクミラン(MacMillan)やコリンズ(Collins)を使ってしまうとこういった感想になってしまうでしょう。
僕が推奨する英英辞書はロングマン(Longman)です。詳しい理由はもう少し後で説明しますが、英語ができない人にとってとにかく理解しやすく、英語の説明でもかなり簡単な言葉で説明してくれます。
例として「thorough」をロングマンとコリンズの英英辞書で比べてみましょう。
ロングマンの説明文 | コリンズの説明文 |
---|---|
including every possible detail | A thorough action or activity is one that is done very carefully and in a detailed way so that nothing is forgotten. |
ロングマンだと短く簡単な言葉で説明していますが、コリンズは長めの文で文法的と単語でもう少し高いレベルが必要になります。もちろん単にこの単語だけでなく、他の単語でも同じように理解しやすいのがロングマンの特徴の一つです。
いろいろな英英辞書がありますが、どういった利用者を想定してつくられているのかを知っておかないと難しすぎて使えないということになってしまいます。
そのほかに英英辞典を使いたくないという人の意見としては
- 日本語じゃないとちゃんと理解できない
- 効率が悪い
というものがあります。しかし
- 日本語だと意味が曲解される
- 英語のまま理解せずに日本語に訳して理解するほうが効率が悪い
といえます。
たとえば「deliver」という単語をWeblioの英和辞書とロングマン英英辞典で調べてみます。
Weblio英和辞書 | ロングマン英英辞典 |
---|---|
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|
Weblioのような英和辞書は英単語に対応する日本語の単語をのせています。そしてそれが原因で本質的な意味がわかりにくいです。
英英辞典では同義語ではなく文で説明しているので具体的な意味を理解しやすく、その結果として本質的な単語の使い方がわかりやすいです。
このように英語から日本語にしてしまうと本来の意味からずれてしまい、使い方を間違えてしまいます。
さらにわざわざ日本語に訳さないと意味を理解できないのでいざ使おうというとき(リスニングやスピーキングなど)に時間がかかります。
そして英単語と日本語をペアで覚えなければいけないので余計に脳のスペースをとることになります(単語をたくさん学ぶほど余計に)。
このように
- ロングマンなら英語の説明がはるかにわかりやすい
- 日本語に訳すと時間がかかり、記憶する量も増えてしまって非効率
というであり、英英辞書は難しすぎる・ちゃんと理解できないといった考えはある種の固定観念だと考えられます。
英英辞典を使うことによる効果
英英辞典を使うべきだという一番の理由はもちろんかっこいいからではなく、それによって英語力が圧倒的に伸びるからです。
なぜ・どうやって英英辞書で英語力が上達するのかというと、以下のような仕組みです。
- 日本語に訳さずに英語のまま理解できるようになる
- わからない単語を英語で説明できる(間接的に伝えられる)ようになる(極論だと、ほぼ何でも英語で言えるようになる)
- わからない単語を人に質問できるようになる(極論だと、たくさんの単語を知っている必要がなくなる)
- 日本語訳によるおかしな意味で学ばずに済む
- より自然な単語を選んで使えるようになる(Word Choice)
ひとつづつ簡単に説明していきます。
日本語に訳さずに英語のまま理解できるようになる
英英辞書を使うことによって重要な勉強法の1つである「常に英語で思考する」ことがしやすくなり、その積み重ねによって「英語脳」をつくりあげることができます。
英語の説明文を読んで英語のまま考えて意味を理解する、という作業をしていくことによって「最初に思い浮かぶ言葉が英語になる」というときがやってきます。
こうした英語脳は本来の伸ばせる英語力の限界を突破するようにできるもので、いったん身につければそのあとは成長速度が爆あがりします。
そして英語脳は早く(初心者のうち)につくったほうがその恩恵に多くあずかることができるので、今すぐに英英辞典を使うことを考えてみてほしいと思います。
わからない単語を英語で説明できるようになる
たとえ英語の上級者になったとしてもわからない単語なんて普通にたくさんあります。なので重要なのはたくさんの単語を知っていることよりも、「いかに知っている単語だけで相手に伝えるか」というスキルだと思っています。
英英辞書の説明はまさにこの「知らない単語を英語で説明」しているものです。そしてたくさんの単語を調べていくうちに「どうやって単語を説明するのか」を(無意識にでも)学んでいきます。
そしてこの英語で説明する力こそが英会話、とくにスピーキングが上手くなるための重要なスキルです。
詳しくは別の記事で解説しているのでそちらを参考にしてみてください。
英語のスピーキングがうまくいかないからといって安易に英単語の勉強に走ってはいませんか?中学を卒業したのであれば会話に必要な単語はすでに持っており、それ以外のところにスピーキングがうまくいかない原因があります。この記事では単語でスピーキングがうまくできないと思っている人ができる3つの工夫について解説しています。
わからない単語を人に質問できるようになる
似たように、もし英単語がわからない場合や思いつかないときには、相手に英語で質問することができるようになります。
英英辞典の説明文を質問文に変換すればクイズのように相手に質問して単語を教えてもらうことができます。
そうすることで英会話が途切れにくくなるし、英語でのコミュニケーションに必要なテクニックを身につけやすくなります。
日本語訳によるおかしな意味で学ばずに済む
日本語と英語では、単純に文化の違いや習慣の違いから訳すのが不可能だったり、表面的な意味しかとらえられないことがよくあります。
いわゆる直訳と意訳の違いのようなものですが、日本語訳だと日本語の単語1つで説明されるせいで本質的な意味がわかりにくいです。
そしてその本質的な意味のズレから自分が意図した意味とは違った意味で受けとられてしまう(誤解につながる)ことがよくあります。
より自然な単語を選んで使えるようになる
言語には「こういうときはこの単語を使う」というような、理屈ではなく習慣で決まっていることがたくさんあります。
子供が得意なのはこういった丸暗記ですが、大人は論理的に考える(ルールやパターンを使う)ので、この自然な言葉選びが難しいです。
しかし英英辞書であれば本質的な意味をくみとりやすいので、そのおかげでより自然な場面で単語を使うことがしやすいです。
- 日本語で文をつくってから英語に直す(日本語に当てはまる英単語を探す)と不自然な言葉を選びやすい
- 英語で文をつくると、この変換作業がないぶんだけ不自然な単語を選ぶ可能性が低くなる
もちろんスピーキングやライティングでフィードバックをもらって学んでいく必要もありますが、英英辞典で勉強をしていくと自然な言葉選びがしやすくなります。
このように英英辞典を使うことで英語のまま理解する「英語脳」をつくりやすくなり、そのあとの英語力の上達が加速します。英語で英語を勉強することの効果や具体的な勉強法については下の記事を参考にしてください。
英語で英語を勉強することの効果は大きく、勉強のしかたさえわかればそれほど難しくありません。この記事では英語で英語を勉強するべき理由とその効果、そして英語での勉強法について僕自身の経験をもとにして具体的に書いていきます。
英英辞典の選び方
つづいてどの英英辞書を使うべきかについて以下の3つの点に絞って書いていきます。
- 英英辞書の種類
- 内容・情報
- 電子・紙・アプリ
1つづつ解説していきます。
英英辞書の種類
すでにおすすめとして挙げましたが、ロングマン一択です。ここではなぜロングマン英英辞典を使うべきかをもう少し深掘りして説明します。
ロングマン一択である理由をまとめると
- 英単語の解説を常用単語2000語のみでしている
- 英語学習に必要な情報がそろっている
ロングマンは英語学習者向けにつくられており、そのため利用者は英語があまり出来ない人を想定しています。
そのため説明に使われる単語の数を常用単語の2,000語のみでしています。このおかげで説明文の中にさらにわからない単語が出てきてそれを調べる、その単語の説明文でさらにわからない単語が・・・という無限ループがおこりにくいです。
試しに「particular」の意味をオックスフォード(Oxford Learner’s Dictionary)とロングマン英英辞典で調べてみましょう。
オックスフォードの説明文 | ロングマンの説明文 |
---|---|
used to emphasize that you are referring to one individual person, thing or type of thing and not others | a particular thing or person is the one that you are talking about, and not any other |
もちろん単語にもよりますがロングマンのほうがずっとシンプルでわかりやすいと思います。
オックスフォードの説明だと、「emphasize」「referring」「individual」などがわからなくてさらに辞書をひくことになる可能性が高いです。
ロングマンだと常用単語なので少し大味な説明文になりますが、だいたいの意味と使い方を理解して覚えられるようになるほうが大切です。
内容・情報
英英辞典でどんな情報を得るかも重要なポイントです。
英英辞書から得たい情報をまとめると以下のようになります。
- 英単語の意味
- 類義語・反意語
- 例文
- 発音記号とアクセント(IPA式がおすすめ)
- 頻出度
- 口語か文語か
- カジュアルかフォーマルか
基本的には英単語の意味を理解し、使い方がわかることが目的です。これらの情報はその目的を達成するのに役立つ情報です。
ためしにロングマンで「seem」を調べてみます。
ロングマンのウェブサイトで調べたので電子辞書とはデザインが違いますが、欲しい情報がたくさんのっているのがわかるかと思います。
他の英英辞書、たとえば「Cambridge Learner’s Dictionary」などもわりと簡単に解説してくれますが、情報が足りないことが多いです。ロングマンでもすべての単語に得たい情報の全部があるわけではありませんが、とくに重要な部分はカバーされてます。
これらの情報を生かした具体的な英英辞典を使った勉強法はもう少しあとで詳しく見ていきます。
ちなみに「seem」はかなりの高頻度で使う単語なのでぜひ覚えていってください:)
電子・紙・アプリ
辞書の媒体についてですが、電子もしくはアプリが一番おすすめです。具体的には
- 電子もしくはアプリ
- ウェブサイト
- 紙
というおすすめ順です。
- 電子・アプリなら検索が速くできるので効率的・軽い・小さい
- 紙だと調べるのに時間がかかって非効率・いらない情報が多すぎる・重い・場所をとる
という理由のためです。
たまに紙の辞書なら調べた単語のページにある他の単語もついでに覚えられる、何て言う人もいますが一度にそんなにたくさん覚えられるわけがありません。
最悪の場合は調べた単語は忘れたのにほかのどうでもいい単語を覚えてしまったという場合です。
今必要のない単語を覚えても使わないのですぐに忘れます。そうなると結局なにも学ばなかったのと同じです。
なるべくすぐに必要な単語だけを調べることができる電子かアプリ版がおすすめですが、紙が好きな人もいるかと思うので↓にそれぞれのリンクを貼っておきます。
最終的には個人の好みですが、少なくとも説明が難しい辞書だと挫折する可能性が高いので気をつけてください。
英英辞典での具体的な勉強法
英英辞典を使って実際にどうやって勉強をしていけばいいのかについて解説していきます。
英英辞書が活躍するのは主に以下の2つの勉強です
- 発音の勉強・練習
- わからない英単語を調べる
1つづつ見ていきます。
発音の勉強の場合
発音の勉強では発音記号を知ることが必要不可欠で、英英辞典でチェックすることができます。
具体的には単語の発音練習をするときに
- 単語を調べて発音記号を確認する
- 口や舌の位置や動きを理解して練習する
- 頻出度をチェック
- 頻出単語でなければ意味はムシしても良し
というような流れで英英辞典を使いましょう。
たとえば「pleasant」という単語の発音記号をロングマン英英辞典で調べてみましょう。
「ˈplezənt」となっており、これでどういった口の形や舌の位置・動きをさせればいいのかがわかります。
ちなみに「ˈplezənt」は僕が長いこと「pˈli:zənt」だと勘違いしていた単語です。。。
英語の発音記号の表記のしかたには辞書によって違うのですが、ロングマンでも使われているIPA式がシンプルで理解しやすいのもこの英英辞典をおすすめする理由の1つです。
また、英単語が頻出でない場合には意味を覚えようとしなくてもいいでしょう。あくまで発音の勉強なのでそれに集中するのが吉です。
このあたりの発音の勉強法は別の記事で深く解説しているので、そっちを参考にしてください。
英語において発音は単語や文法と同じように必須ですが日本の教育では軽視されてきました。この記事では発音が重要である理由と日本人が英語を発音できない理由そして発音を習得するための勉強法を解説します。
英単語の勉強の場合
つづいて英単語を調べるときに具体的にどう英英辞書を使うかについて書いていきます。
英英辞典を使った英単語の勉強法は以下の手順でおこないましょう。
手順がたくさんありますが時間はかからないはずです。
例として「conscious」をロングマン英英辞書で調べてこの勉強法を使ってみましょう。それぞれの手順に対応する部分に番号をふってます。
「conscious」にはありませんでしたが、フォーマルな単語には*formal*のマークがついているのですぐにわかります。たとえば「prosperous」は以下のように「rich and successful」のフォーマル(格式高い・丁寧)な言い方だということがわかります。
意味や使い方などを理解したら、その単語を使って自分で英文をつくって誰かに話すか書くのが一番オススメです。
逆に単語帳などで一気に詰め込もうとするのはおすすめしません。それよりも他の勉強(とくに文法・リスニング・リーディング)ででてきたわからない単語を調べて自分で使っていくという勉強法がおすすめです。
このあたりは別の記事で理由も含めてさらに詳しく解説しているのでそちらを読んでください。
英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。
ロングマン英英辞典でもムリなものもある
ここまでなぜ英英辞典を使うべきか語ってきましたが、もちろん完璧ではありません。
専門用語や特定の名詞などは理解するのが難しい場合もあります。意味が全く理解できない場合にはGoogleの画像検索を試してみましょう。それでもわからなかったら最終手段として英和辞書で調べてしまいましょう。
もし英会話の相手がすでにいるなら単語の意味を質問してみるのもいい話のネタになります。
まとめ
今回は英英辞典を英語の勉強法にとりいれるべき理由と具体的な勉強のしかたを紹介しました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 「英英辞典は難しい」という固定観念で使うのを避ける人が多い
- 英語学習者向けの英英辞書はかんたんな単語や文法で説明しているので思っているよりも理解できる
- 英英辞典を使って勉強していくことで英語脳をつくる、単語がわからなくても話せるようになる、などの効果がある
- おすすめは説明がわかりやすく内容も充実しているロングマン英英辞書
- 英英辞典はおもに発音と単語の勉強で使い、類義語・反意語・頻出度・口語文語といった情報も得ながら学習できる
とくに海外で働くといった高い目標があるひとは英語脳を早くつくることが重要で、英英辞典をつかった勉強法がかなり効果的です。
ロングマン英英辞典を試してみたいという人は↓にリンクを貼っておいたのでチェックしてみてください。
- Apple Store: ロングマン現代英英辞典
- Google Play: Longman Dictionary English
- Longman Dictionary of Contemporary English LDOCE (ウェブサイト)
- 電子辞書(ロングマン英英辞典入り)
- ロングマン英英辞典(紙)
英語で英単語を学ぶというのは一見時間がかかりそうですが、僕は経験から言うと効率の良い勉強のしかたでした。僕が実践した単語の勉強法について下の記事でまとめているので気になる人は参考にしてみてください(単語帳が嫌いな人におすすめです)。
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英英辞典以外にもおすすめの英語の勉強法についてのステップをロードマップとしてまとめた記事があるので、全体の流れや重要なポイントを知りたいという人はぜひ目をとおしてみてください。
英語学習は長く険しい道のりで、多くの人が成果が出せずに苦悩しています。この記事ではそんな人たちの助けになるように英語の勉強法とロードマップを公開します。オーストラリア・イギリスに計10年住む僕が実践した「海外で暮らし・働くための英語」を手にするための過程と勉強方法です。