英語学習者ならだれでも効率よくなるべく短期間で成果を出したいと思っているかと思います。
しかし現実では学校で6年以上も英語を勉強しているのに日本人の英語力は世界的にみてもかなり低く、大人になって英語を学び直してもなかなか成果がでない人が多いです。
なぜこうなってしまうのかというと日本の英語教育がインプットや単語・文法にかたよっていて、その勉強法のまま英語の学び直しをしてしまう人が多いからです。
しかし実際に外国人と会話をしたり英語で仕事をするとなるとこのようなテスト向けに勉強した英語ではまるで歯が立ちません。
英語の勉強法は勉強をはじめる前に知っておくべきで、そうでないとたくさんの時間とお金をかけたとしても効率の悪い勉強になってしまいます。
この記事では「海外で働けるような高いレベルで実際に使える英語力」を目指している人向けの効率の良い勉強法について、僕の経験をもとにして提案させてもらいたいと思います。
記事の内容
英語の効率の良い勉強法
効率の良い英語の勉強法というのは
- より短期間で英語力を伸ばして目標を達成する
ということとして捉えて、そのためには以下のようなポイントを意識して学習していくことが重要になります。
- 学んだものを忘れないようにして学び直しを最小限にする
- 「暗記」ではなく「学び」をする
- 必要なものだけ学び、使わない知識は後まわし
- 知識はほどほどにスキルを伸ばす
- 1つの学びをほかのスキルに応用する
- 特定の勉強に偏らずにバランスよく学習する
これらを満たしつつ勉強するために、さらに具体的な行動を考えていくと以下のような方法が僕のおすすめする効果的な勉強のしかたとなります。
こうした勉強法でより短期間で英語力を上げていくことができます。
では1つづつ効率の良い勉強のしかたをその理由とともに具体的に解説していきます。
1.最初に発音を勉強する
まずは発音だけ集中して勉強するのがおすすめです。
なぜかというと、同じように英語の基礎である単語と文法に比べると、発音のレベルが明らかに低いからです(ほとんどの日本人の場合)。なぜ発音が単語や文法のように大切なのかというと:
- 発音ができないとリスニングができない
- 発音がよくないとスピーキングで英語が通じない
- 正しく発音できると音読や聴覚を使った勉強の効果が高まる
- 独学で1~2ヵ月ですぐにできるようになる
という理由からです。
どうすれば効率よく発音を習得できるかというと:
- 発音記号
- 単語
- 英文
という順番で勉強していくことです。発音記号のかたまりが単語であり、単語のかたまりが英文なので、この順番で学んでいくと発音のための知識やスキルが積み重なっていき効率よく学習できます。
よくある失敗パターンとしては「ネイティブの発音を聞いてマネをする」や「いきなり単語で練習する」という方法です。これらの問題点は、もっとも基礎である発音記号の発音のしかた(口や舌の位置・動きなど)を矯正できないことで、根本的な問題を解決できないのでいくら勉強をしても発音がうまくならないという状態になってしまいます。
勉強法に気をつければ、発音記号と単語の発音は独学ですぐに習得でき、そのあとの勉強の効果がグンとあがっていきます。その結果としてより短期間で効率よく学び、英語でのコミュニケーション力を高めていけるようになります。
さらに具体的な発音の勉強法については下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
英語において発音は単語や文法と同じように必須ですが日本の教育では軽視されてきました。この記事では発音が重要である理由と日本人が英語を発音できない理由そして発音を習得するための勉強法を解説します。
2.バランスよく勉強して相乗効果を得る
発音の勉強で単語がうまくできるようになったら他の勉強もはじめていきましょう。
重要なのは「文法だけに集中してやる」といった方法ではなく、すべて(発音・文法・単語・リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング)をバランスよく勉強することで相乗効果を利用することです。
そんなにたくさんできないと思うかもしれませんが、1つの勉強に何時間もかける必要はありません。バランスよく勉強する目的は以下の2つです。
- 視覚・聴覚・触覚をすべてつかって英語を学ぶことで忘れにくくする
- 学んだ知識(発音・単語・文法・フレーズなど)をほかの使い方で応用する
たとえばリスニングでは聴覚をメインにして英語を理解するトレーニングをし、スピーキングでは自分の英語を聞きつつ正しい発音による口のパーツの使い方を確認しながら勉強します。似たようにリーディングやライティングでは主に視覚で英語を理解していき、(正しい発音で)音読もおり交ぜていくことでうまく複数の感覚器官を使って英語の理解力を高めます。
学びの応用というのも効率よく勉強するためには重要な点で、たとえばリスニングで聞いた新しいフレーズは自分でスピーキングするときに使うことで脳が覚えやすくなります。同じようにリーディングで読んだ文をライティングでマネしてみたり、文法ででてきた例文を会話で応用したすることで忘れにくくなり、より効率的に学習することができます。
このインプットした知識を自分の英語としてうまく使っていくという学びのサイクルを回していくことで英語学習の効率を高めていくことができます。
3.英語で英語を勉強する
さらに効率よく勉強するためには英語で書かれた教材を使い、英語で英語を勉強するというやり方がおすすめです。
「そんなの難しすぎてムリ」という声が聞こえてきそうですが、それは使う教材次第といえます。英語の勉強でよくある失敗は、たとえ日本語で書かれた教材であっても、必要な英語力が自分の英語力よりもかなり高い、という状態です。
そうなると以下のような原因で効率の悪い勉強になってしまいます:
- 日本語に訳すことに頼って英語を理解しようとする
- わからない箇所が多すぎて時間を浪費する
- 難しすぎて自分では使えないのですぐに忘れる
この勉強法だと英語を日本語との関係で暗記するように学んでしまい、英語でものごとを思いついたり考えたりする力が一向に育ちません。その結果として、勉強を続けても英語でのコミュニケーション力がなかなか上達しないということになってしまいます。
それに対して自分のレベルにあった英語の教材を使い、英語で英語を勉強することによってこれらの問題を避けつつさらに効率よく学習することができます。
英語で勉強をするのに重要なのが、9割ほど理解できる英語の教材を使うことです。そうすることで、英語を使う力(聞きとりや読解もふくめたコミュニケーション力)を鍛えつつ、新しい知識もつけていくことができます。
バランスとしては
- 英語を使って聞く・話す・読む・書く訓練をする (60%)
- その過程で新たに出てくる単語・文法・フレーズなどを調べて学ぶ (20%)
- 英文や長い英語を発音する練習をする (10%)
- 英語での文法の勉強を継続する (10%)
くらいの感覚でやると良いかと思います。
9割わかる英語の解説や文章を読むことで、日本語に訳さずに英語のまま理解する訓練になります。そして英語のまま考えることが自然とできるようになっていき(英語脳ができる)、そうなると勉強をすればするほど英語力がどんどん上達する成長期に入ることができます。
あとはムリに難しい教材などを使わないようにしてこの勉強法を続けていけば、英語のコミュニケーション力を効率的に底上げしていくことができます。
もちろん英語でアウトプットしていくこともかなり重要で、教材で勉強するだけでは足りないということは頭に入れておいてください。このあたりはもう少し後で解説します。
下の記事で「英語で英語を勉強する方法」についてより詳しい理由・効果と勉強法について書いているので気になる方は読んでみてください。
英語で英語を勉強することの効果は大きく、勉強のしかたさえわかればそれほど難しくありません。この記事では英語で英語を勉強するべき理由とその効果、そして英語での勉強法について僕自身の経験をもとにして具体的に書いていきます。
4.単語は必要なものだけ勉強する
単語はたしかに大事ですが、必要なものとよく使うものを優先的に勉強しないと効率が悪くなってしまいます。
ほかの勉強をしているときに出てくるわからない単語を調べて学ぶのがオススメです。「そんなのもうやってるよ」と聞こえてきそうですが、それ以外のいわゆる「単語を覚えるための勉強」は必要ないと思っています。
たとえば単語帳で一気に単語を覚えてしまおうというのは逆に勉強効率が下がってしまうリスクが大きいと思います。なぜかというと
- 単語帳だと脈絡がないので覚えにくいしつらい
- 1日にたくさん詰め込んでもすぐに忘れる(短期記憶)
- 多くの単語をインプットすると自分で使いきれないので忘れる
- なるべく速くたくさん覚えるために日本語訳で覚えるので常に訳すクセがつく
- どのみちほかの勉強(文法など)でもわからない単語がでてくるので単語の勉強ばかりになる(英語の知識ばかりで使うスキルがつかない)
1日に勉強して長く覚えていられる新しい単語はせいぜい3~5つくらいかなと思っています。経験があると思いますが10個とか勉強しても1週間後にはほとんど忘れてます。学校での勉強がこんな感じでしたね。
基本的に使わない単語はいらないので単語のための勉強はするだけムダです。単語が分からなかったらどうしよう、とか単語を知らないと何もできない、と思うかもしれませんが大事なのは知ってる単語で何とかする力(英語コミュニケーション力)です。
さらに、単語帳を使わなくてもどのみち知らない単語はたくさん出てきます。そしてそれらを学ぶだけで十分です。とくに常用単語はどの勉強をしていても勝手にでてくるので、そのときの内容と紐づけて学んでいくと覚えやすいです。
なので効率よく英単語の勉強をしていくために以下の方法をとりいれるのがおすすめです。
- 単語帳は使わなくていい・ほかの勉強ででてくる(学ぶ必要のある)単語を学ぶ
- 常用単語や頻出単語を優先的に学ぶようにする
- 英英辞典を使って英単語の意味を調べて理解する
- 理解した英単語を使って自分の英文をつくる
以前に書いた、9割ほどわかる英語の教材で勉強するというのは知らない英単語ばかりにならないようにするためでもあります。そうすることで、本来の勉強(リスニングなど)の「スキル」を鍛えることに集中しないと、どの勉強をしても単語を調べてばかり、という事態になってしまいます。
そして単語帳を使わずとも十分に新しい英単語がでてくるし、それらはストーリー(たとえば友人同士の会話など)の中で出てくるので、ぽっと出の単語(たとえば単語帳)に比べて覚えやすいし「意味を知る必要がある」ため頭に残りやすいです。
そうした単語を英英辞典で調べて英語のまま理解し、さらにオリジナルの文をつくって学んだ単語を使うようにすれば効率的に学習するサイクルができあがります。
英英辞典での具体的な勉強方法や利点などは下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
英単語の勉強法は暗記に頼ってもすぐに忘れるし記憶のキャパオーバー起こしてしまい勉強時間をムダにしてしまいます。効率よく英単語と英語力を鍛えるために「ほかの勉強から新しい英単語を見つける」「英英辞書で学ぶ」「英文をつくる」というステップで勉強法を解説します。
5.イディオムを積極的に学ぶ
とくに英会話やよりカジュアルな表現としてイディオムを頻繁に使うので、イディオムを学ぶことでより効率的に英語力が伸びます。
イディオムを学ぶメリットとしては
- 単語がわからなくてもいろんなことが言えるようになる
- リスニングやカジュアルなリーディングで頻繁にでてくるので役立つ
- 少ない労力でたくさんの表現を学べる
といったものがあります。
どう勉強していけばいいのかというと
- 常用のイディオムを優先して学ぶ
- 英語で勉強する
- イディオム集のような教材でインプットする
- 理解したら実際に使っていく
という方法がおすすめです。
たとえばよく使われるものでは「go on」「find out / figure out」「catch up」というような簡単な単語や前置詞の組みあわせがとくに使い勝手がいいですし、会話でもよく耳にします。こういったよく使われる(必要なもの)を重点的に学んでいくと効率よく英語力を向上できます。
勉強のしかたは英語で書かれたイディオム集のようなものを使うのがおすすめです。「単語帳はダメだっていったのにイディオム集はいいの?」と思うかもしれません。なぜイディオムはこんな暗記みたいなやり方でも大丈夫なのかというと、すでに単語を知っている場合がほとんどだからです。
新しい単語を学ぶのと新しいイディオム(知っている単語の組みあわせ)を学ぶのとでは必要な労力が全然違います。やってみるとわかりますが、結構ポンポン時間をかけずに読んで理解できるので、とにかく「使いまくっていく」ことで学んでいけます。
ネイティブでも難しい単語は会話の中ではとっさに頭に浮かばないので妥協してイディオムをたくさん使います。僕らのような英語学習者もムリに難しい英単語を使おうとせずに積極的にイディオムを学び使っていきましょう。そうすると英会話でもスラスラと言葉が出てくるようになり、会話で詰まったり途切れることが少なくなります。
下の記事でもっと具体的にどう勉強していくかとおすすめの教材について解説しているので勉強の参考にしてもらえるとうれしいです。
英会話ができるようになりたいなら英単語よりもイディオムを勉強したほうがいいです。この記事では独学でも進めていけるように、優先すべきイディオムや勉強法について詳しく解説していきます。
6.アウトプットすることで学び直しを少なくする
英語の効率の良い勉強法にはたくさんのアウトプットが欠かせません。
なぜこれでより効率よく学べるのかというと
- インプット + アウトプットでようやく「学び」のステップが完了するから
- アウトプットすると自分の頭で考える必要があるので忘れにくくなる
- 学んだことを忘れなければ学び直しが必要なくなる
- 自分が話せることは聞きとれるし、書けることは読んで理解できるから
インプットばかりしていると詰め込み学習になってしまい、学んだことをすぐに忘れてしまいます。なのでなるべく学んだその日のうちに自分で英文をつくって使うようにするようにすると忘れにくくなります。
それに加えて、英語力は自分のアウトプット力に足を引っ張られてしまうので、逆にいうとそれらを向上すれば英語力全体を効率よく押し上げることができます。
なのでスピーキングとライティングを意識して勉強していきましょう。新しくインプットした英語を「話せば話すほど聞ける」、「書けば書くほど読める」ようになる、という感覚で英語力が成長していきます。
アウトプット力を高めるための効率の良い勉強をするには、以下のように環境づくりと習慣づけ、そしてテクニックを練習していくことが大切です。
- 常に英語でものごとを考える
- 頻繁に英語で人と話す、人に向けて書く機会をつくる
- フィードバックをもらって修正する
- スピーキングとライティングにおけるテクニックを教材などで学んで実践する
英語での自問自答をしたり英会話のイベントなどに参加したり、ライティングの添削サービスを使ったりしてなるべく人に対して話す・書くようにしましょう。そうすればいい緊張感で英語を使えるし、フィードバックも得られるので学習サイクルがよく回って効率の良い勉強法になります。そしてこのプロセスをたどって初めて英単語や文法といった基礎が身についていきます(インプットで終わってしまうとすぐに忘れます)。
それと同時に、英語における話し方や書き方のテクニックを学んで実践していくことでより効果的に英語コミュニケーション力が伸びていきます。日本語との違いがたくさんあるので(表面的なものから根本的な考え方や文化的な違いも含めて)、そのあたりを学んで実践できるようになると、さらに英語での意思疎通がうまくいくようになります。
このようにして自分のアウトプット力を向上することで英語を効率よく勉強していきましょう。
とくに1日の勉強がインプットだけで終わらないようにすることが大切です。
結局のところ肌で感じるような英語の上達は英語でたくさん話す・書くことが近道です。僕らが子供の頃に日本語を学んでいった過程を考えてみればわかりやすいです:
- 親からたくさんの日本語を聞く
- とりあえずマネして間違っててもたくさん日本語を話す
- 親に正しい日本語を教わる(フィードバックをもらって学ぶ)
- よくわからないけど「こういうときはこういう」という方法で学んでいく(僕らのような大人ならもっと論理的に考えて効率よく学べます)
母国語でもものすごい量の日本語をつかっていくことで学んできました。英語を学ぶためには同じように多くのアウトプットが必要です。
アウトプットであるスピーキングとライティングをどう勉強していくかについては下の記事でさらに具体的に勉強のプロセスを書いているので参考にしてください。
まとめ
この記事ではいかに効率よく短期間で英語を上達させていくかについて、僕の経験をもとにした勉強法を6つのポイントにまとめて解説しました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 発音を習得することで効率良く学ぶ下地をつくる
- バランスよく基礎と応用スキルを学んで相乗効果で英語力を高める
- 英語で英語を勉強することで英語コミュニケーション力を直接高める
- 英英辞典を使って必要な単語だけをほかの勉強のついでとして学ぶ
- イディオムを積極的に学んで使っていく
- インプットした知識をかならずアウトプットで使うことで自分のものにする
よくある勉強法とは違う点がいくつかあると思いますが、記事で書いた理由やリンク先の記事での説明を読むと納得してもらえるのではないかと思います。
これらは実際に僕がやってきた勉強法で、そのおかげでかなりのハイペースで英語力が伸び、テストのためではなく実際に使える英語のコミュニケーション力を効率よく高めることができました。その結果として目標の1つである海外でエンジニアとして仕事を得ることもできました。
僕が英語学習で一番大切なことは何かと聞かれたら迷わず「勉強法をまず勉強すること」と答えます。なぜなら勉強のしかたが悪いと本当にいつまでたっても上達しないし、挫折しやすく、目標も達成できないからです。
英語の勉強は継続することが大切ではありますが、何年もかけてだらだらと続けるよりも、なるべく短期間で効率よく勉強してしまったほうが貴重な人生の時間をムダにせずに、英語を使って人生をより楽しく生きていける期間が長くなるのでおすすめです。
下の記事では本記事で伝えきれなかったより具体的な勉強の道筋(ロードマップ)をまとめているのでよければ読んでもらえるとうれしいです。もちろんこの記事でおすすめしている効率の良い勉強法をとりいれたものになっています。
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