更新日:2021/01/16
英語学習者のほとんどが単語帳で大量の英単語を勉強をしますが「そんなにたくさんの単語を覚えてどうするの?」といつも思っていました。
僕はTOEIC330点のときから単語帳を一切使わずに勉強を始めてIELTS7.5をとり、今ではオーストラリアとイギリスでエンジニアとして働いて10年になります。
英単語の勉強における僕の基本的なスタンスは「必要かもしれないから覚える」ではなく「必要になったから覚える」です。
なぜかというと、「どれだけたくさん英単語を知っているか」よりも「知っている限りの英単語で意思疎通ができる英語コミュニケーション力を鍛える」のが目的だからです。
知っている英単語が多いに越したことはありませんが、僕の場合はムリに詰め込もうとするよりもこのコミュニケーション力や表現力のほうが重要だと考えました。
この記事ではその考えにもとづいて僕が行った英単語の勉強法とその手順について理由とともに解説していきます。
紹介する勉強法の概要は以下のようになっています。
- 他の勉強の中で英単語を学んでいく
- 英英辞書で意味や使い方を学ぶ
- オリジナルの英文をつくる
- この勉強法に必要なのは:
- 中学生レベルの単語力(1000語くらい)
- 英英辞書(おすすめは「ロングマン英英辞典」)
- 9割わかる英語の教材
- 独学でできるが会話や添削の相手がいるとなお良し
それでは始めていきましょう:)
記事の内容
英単語の勉強法
僕が実践した英単語の勉強法を簡潔にまとめると以下の4つのステップになります。
- 文法・リスニング・リーディングの勉強をする
- わからない英単語を英英辞書で調べる
- 自分で英文をつくって独り言・誰かに向けて使う
- 少しでいいから毎日やる
これらの手順について具体的に「なぜ」「どうやって」勉強していくのかを解説していきます。
文法・リスニング・リーディングの勉強をする
英単語の勉強法のはずなのになぜ?と思うかもしれませんが、文法・リスニング・リーディングの勉強の中ででてくる新しい英単語を学ぶことで詰め込み式ではなく、必要な英単語を学びつつ他のスキルもムダなく成長できます。
なぜかというと
- 知ってのとおり1日に覚えられる英単語や新しい知識には限界がある
- しかし文法・リスニング・リーディングの勉強をしていても新しい単語が十分にでてくる
- なのでこれらの単語を学んで知識として蓄え、同時に文法・リスニング・リーディングの技能をつけることができる
という理由です。
既に経験があると思いますが、もし単語の勉強だけに集中して1日に30単語も覚えようとするとキャパオーバーしてしまい、すぐに忘れてしまってせっかく費やした勉強時間がムダになります。これを毎日のようにしていけば当然ムダになる勉強時間がどんどん増えていき、なかなか英単語を覚えられないし英語力が伸びないという問題に陥ります。
なので文法・リスニング・リーディングの勉強をしていくことで、記憶のキャパを超えないように知識(英単語)とスキル(文法の使い方・聞きとり・読解)をバランスよく伸ばしていくことができます。
スポーツで例えるなら、1日のトレーニングメニューとして「座学で知識をつける」だけでなく「実際に体を動かしてテクニックを磨く」の両方をやる、といったことに似ています。
ただしこの勉強法には1つコツがあります。それは
「ほかの勉強も英語で考えながら勉強して、教材は9割ほど理解できるレベルのものを使う」
ということです。そうすることで
- 英語のまま理解する訓練になり英語脳が鍛えられる
- わからない単語の数が多くなりすぎない
- 英語のまま文脈を考えて英単語の意味を推測する練習になる
というメリットがあります。理由としてはあくまで使える英単語を増やすため、そして英語コミュニケーション力を鍛えるためです。つまり単語がわからなくても意思疎通できる能力を鍛える、ということです。でないと単語がわからないだけで何もできなくなってしまいます。
この「英語で英語を勉強する」「9割わかる英語で書かれた教材を使う」に関しては「英語で英語を学ぶ勉強法こそがリアルで使える英語力をつくる」の記事で詳しく解説しています。
わからない英単語を英英辞書で調べる
ほかの勉強をしていく中でわからない英単語が出てきたら、英英辞書を使って英単語の意味を理解し使い方を学びましょう。
なぜ英英辞書なのかというと
- 短い英語の説明を読んで理解する(読解する)訓練になる
- 類義語などを使った英単語の説明のしかたがわかる
- 英語脳を鍛えられる
といった効果があるからです。英語力の成長に置き換えて考えると
- 英単語の意味や使い方は(易しめの)英語を読めば理解できる
- そうすると次第に自分で英単語の意味を説明できるようになる
- そうすると単語がわからなくても英語で説明したり知っている単語で言い換えられるようになる
- 結果として英語コミュニケーション力が伸びる
となり、これが英英辞書を使う狙いでもあります。多くの人は英和辞典で単語の意味を調べて終わりですが、それだとせっかくの英語を使う機会を失ってしまいます。さらに日本語に訳して理解するせいで英語でものごとを説明する能力が伸びません。
実際に英語を使って生活したり働く場合には「何かについて英語で説明する」ことが常に求められます。英単語の意味を説明することは少ないですが、英語での説明能力はほかの何をするにも必要なスキルです。
英英辞典を使う理由をわかってもらえたかと思いますが、具体的な勉強は以下の手順で進めていきましょう。
英英辞書での英単語の勉強法と手順
- わからない英単語を調べる
- シラブルと発音記号を確認して発音してみる
- 頻出度や口語・文語としての使われ方を確認する
- 意味を読んで理解する
- 類義語と反意語を確認する
- 例文をからコロケーションやフレーズとして使い方を学ぶ
ステップがたくさんありますが1つ1つの手順は時間がかからないはずです。
おすすめする英英辞書ですが「ロングマン英英辞書」一択です。ロングマンは常用の英単語2000語のみを使っているので、中学校を卒業したなら十分ついていけるはずです。
では例として実際に「anticipate」という英単語をロングマン英英辞書で調べてこれらの情報を見てみましょう。
- 「anticipate」をオンラインのロングマン英英辞書で検索する
- シラブルは「an-tic-i-pate」で発音記号は「ænˈtɪsəpeɪt」となるので発音してみる(説明は省きますが発音の基礎を勉強しておきましょう:「英語の発音の勉強法と手順を解説:音の最小単位から英文へ」)
- 頻出度は「2」で口語と文語ともによく使われる(レベル2)ので優先的に覚える
- 意味は3つ(上のほうがよく使われる意味)あるので意味をそれぞれ理解する。
- 「to expect that something will happen and be ready for it」
- 「to think about something that is going to happen, especially something pleasant」
- 「to do something before someone else」
- これらの意味から類義語がわかります。
- 「expect」
- 「look forward」(辞書に「SYN」のマークとともに書かれています)
- 3つ目は説明文そのもの
- 例文がいくつかあるのでどういった単語と一緒に使われているのか文法的な部分を確認します。一番よく使われる「expect」の意味で例文を確認します。
- 「We don’t anticipate any problems.」文法的には「anticipate (expect) something」
- 「It is anticipated that the research will have many different practical applications.」文法的には「It is anticipated (expected) that something happens.」
- 「I didn’t anticipate having to do the cooking myself!」文法的には「anticipate (expect) doing something.」(「expect」は「expect doing」という使い方はしないので注意です)
こういった流れで英単語の意味と使い方を学びます(すべて英語で考えながら行い、日本語は全く使わないし考えないようにする)。すると「anticipate」≈「expect」というのが一番わかりやすく簡単に覚えられると思います。
理想としてはこうしてすでに知っている単語との関連付けによって知識を膨らませて勉強していくことです。そうすると1つの意味から芋づる式にいくつもの似た英単語が頭に浮かぶようになります。
そしてこのステップで英単語の使い方を学んでおくことで次のステップである、自分で英文をつくるというのがしやすくなります。
ここで紹介した英英辞典を使った勉強法については下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
「英英辞典は難しすぎる」「上級者向けでしょ」といった意見が多いですがそれは難しい辞書を使ったことによる失敗やイメージが原因であることが多いです。この記事ではなぜ英英辞典が英語の勉強法において強力な道具になるのか、そして具体的にどうやって使えばいいのか書いていきます。
英英辞書での勉強は最初は大変だと思います。しかし数週間も使っていけば段々と慣れていき英語を英語のまま受け入れる体質へと変化し始めるはずです。そして「英語の教材で勉強する」「普段から英語で考え事をする」「英語で独り言をする」というような勉強法と組み合わせることによって英語脳が発達していきます。そうなれば一気に英語力の上達が速くなっていきます。
英語脳の鍛え方については下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
英語の上達に欠かせない英語脳のつくりかたについて解説しています。英語脳は意識して正しく勉強していけば誰にでも作ることができます。具体的な勉強方法と必要な考え方について詳しく説明していきます。
自分で英文をつくって独り言・誰かに向けて使う
英単語について英英辞書で学んだら、その単語を使った英文をつくりましょう。そして英文を独り言で言ったり、誰かに向けて話すか書くかしていきましょう。
英単語を学ぶ上ではこのステップが大切です。なぜかというと
- 学んだ英単語を使わないと脳が重要でない情報だと認識するので忘れやすい
- 英文に組み込むためには意味と使い方を深く理解する必要がある
という理由があるからです。つまり
- 英文をつくる練習になる
- 英文をつくろうとすると論理的な筋の通った意味にしようとする
- そのために英単語の意味をしっかりと理解しようとする
- 結果的に英単語を覚えやすくなる
という算段です。英文を1から考えてつくるのは大変なのでほとんどの人がやりません。しかしこのプロセスを経てようやく「学び」のステップが完成します。
僕自身も特に意識してこの英文をつくる作業をしていたおかげで、数日後や数か月後になっても英単語を思い出すことができ、そして繰り返し英単語を使うことでさらに長期間覚えていくことができました。
理屈はわかってもらえたと思うので、どのようにして英文をつくればいいかとどうやって人に向けて使うかについて解説します。必要なステップは
- 頭で英文をつくり独り言もしくは書く
- 人に向かって英文を使う
- わからなかったら聞く
この3つだけです。
では具体的にどうやるか見ていきましょう。例としてさきほど調べた「anticipate」を使って英文をつくります。
- 学んだフレーズや使い方で考えられるだけの文を時間をかけずにつくる(文法など間違っても良しです)
- I anticipate heavy rain soon.
- I anticipate this food is delicious.
- I anticipate the exam will be easy.
- I anticipate the gym is crowded now.
- It is anticipated that I will be busier next week.などなど何でも思いつくがままに声に出したり書きだしていきましょう。
- つくった英文もしくは思いつく新しい英文を英会話やライティングで使う
- 英会話の機会をつくり、あらかじめ「anticipate」を会話の中で必ず使うと心に決めて臨む。例えば「I anticipated that I would be late.」と言うと決めておくなど(「thought」のほうが自然ですが気にしなくてOKです)
- エッセイや日記を書くときに「anticipate」を使った英文を必ず入れる。そしてそれを添削してもらい使い方が正しいか確認してもらう
- もし新しい英単語をうまく会話やライティングで使えないというときは相手に質問しましょう。
- 例えば「I learnt the word anticipated but I don’t know how to use it.」などと言って「Can you teach me how?」と質問してしまう
大切なのは簡単でいいから1つだけでなくいろんな文をつくっていくことです。自分でオリジナルの英文をつくるという作業によって、脳内では英英辞書で学んだこととこれまでの知識による情報の整理が行われます。そしてこのプロセスが学習につながります。
もう1つのポイントは英文の意味や文法の正しさを気にしすぎないことです。間違っててもいいので独り言ではとにかくたくさん英文をつくってみるようにしましょう。
3つめの相手に英単語の使い方を質問するという方法ですが、英英辞書で勉強してきたなら相手に英語で説明されても理解できるはずです。そしてこれが英語コミュニケーションの体現となります。つまり英単語だけでなくあらゆることについて、英語で説明されてそれを理解するスキルが鍛えられているということです。これが英英辞書で学ぶことの大きな強みです。
実際には英会話やライティングをするときにはすでにいくつかの新しい英単語を学んでいると思うので、それらを英文の中で使えるように意識して臨むことが重要になります。
これをさらに次の日そのまた次の日と続けていくことでさらに深く学習でき、英単語を忘れにくくなります。
詳しくは下の記事で解説していますが、英語での独り言はスピーキングを上達させる勉強法としても効果が高いです。英語を話せるようになりたいという人はぜひ目を通してみてください。
英語のスピーキングの勉強法は自分で英文をつくることときれいに発音する練習をしましょう。そして英会話やプレゼンなどに必要な知識とスキルを身につけていくことでスピーキング力を底上げしていきます。
少しでいいから毎日やる
最後に、紹介した英単語の勉強法は1日に詰め込まずに毎日少しづつやっていきましょう。
本文で紹介したように、「単語帳を使わない代わりに9割わかる英語教材での文法・リスニング・リーディングででてくる英単語を学ぶ」という方法で勉強すれば1日に調べる英単語が20個とか30個とかになることはないはずです。
新しい英単語の数が増えるほど辞書で調べる時間やアウトプットする必要がある単語の数が膨大になってしまい、キャパオーバーしてしまいます。それでは単語帳による詰め込み暗記型の勉強と変わらずにすぐに忘れるし英文に組み込むスキルが育ちません。(「昨日覚えたばっかりなのにもう忘れた」という経験はかなり多いかと思います・・・)
目安としては1日に最大で10個くらいの英単語が限界だと思います。大事なのはとにかく英文をつくって学んだ単語を実際に使っていくことです。
これを毎日少しづつやっていけば一夜漬けとは違う長期的な記憶として残り、さらにアウトプットでの練習によってすぐに英文の一部として英単語を使えるようになっていきます。
さらにもし英単語を思い出せなくても知っている単語だけで表現することができるように夏ので、意思疎通ができるしコミュニケーションが途切れずに続けていくことができるようになります。
まとめ
理屈は十分書いたと思うので勉強法だけをまとめると以下のようになります。
- 文法・リスニング・リーディングの勉強をする
- 英語で書かれた教材で9割わかるものを使う:わからない英単語が多すぎない
- わからない英単語を英英辞書で調べる
- わからない英単語を調べる
- シラブルと発音記号を確認して発音してみる
- 頻出度や口語・文語としての使われ方を確認する
- 意味を読んで理解する
- 類義語と反意語を確認する
- 例文をからコロケーションやフレーズとして使い方を学ぶ
- 自分で英文をつくって独り言・誰かに向けて使う
- 頭で英文をつくり独り言もしくは書く
- 人に向かって英文を使う
- わからなかったら聞く
- 少しでいいから毎日やる
よくよく考えるとこの勉強法は学校での国語の勉強に似ている気がします。
- 小説などを読んで読解していき、その中で出てきた単語を辞書で調べて理解する
- 文末には新しい単語のリストがあってそれで確認する
学んだ単語で文をつくる、まではしないかもしれませんが母国語で毎日大量のインプットとアウトプットをしているのでそこまでしなくてもいいのかもしれません。しかし英語でではそう簡単にはいかないのは想像できると思います。なので意識して新しい英単語を使った英文をつくってアウトプットしていく必要があるというわけです。
1日に何時間も単語を勉強する必要はないので、その代わり新しい英単語を使って話す・書く練習に時間を使っていきましょう。
賛否両論あるかもしれませんが、少なくとも僕はこの方法で海外の語学学校、大学院留学、IELTS7.5、そして現地就職をすることができました。
オーストラリアとイギリスに計10年ほど住んでいますが、やはり一番大切なことは「知らない単語を知っている単語だけで説明できる」ことだと思います。
もし単語帳などの詰め込み式の勉強で上手くいっていないのであればこの記事で紹介した勉強法を検討してみてください。
イディオムを学ぶ目的や勉強法については下の記事で解説しているので興味があればチェックしてください。
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この記事内で紹介した英単語の勉強法は他の英語スキルのための勉強にも通じています。下の記事では英語学習のロードマップとして全体の流れとポイントを紹介しているのでぜひ読んでみてください。
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